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2019年8月9日【アフター市場】

あいおいニッセイ同和損保、事故対応を通信技術で改革

山田清志

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新たなテレマティクス損害サービスシステムを富士通など7社と共同開発

 

 あいおいニッセイ同和損害保険は8月9日、最先端のテレマティクス技術を活用した全く新しい事故対応サービス「テレマティクス損害サービスシステム」を野村総合研究所、SCSK、富士通、大日本印刷、インテリジェント ウェイブ、日本アイ・ビー・エム、SBIフィンテック インキュベーションの7社と共同開発したと発表した。

 

各社の最新技術とテレマティクス情報を複合して事故対応で実用化する取り組みは業界初で、これまでにない革新的かつ高品質な事故対応サービスを保険契約者に提供できるという。

 

 

「自動運転社会の本格化により、クルマから得られるさまざまの情報がデータとしてつながってモビリティサービスが社会のインフラとなっていく中で、保険の在り方が大きく変化する時代に直面している。

 

こうした背景を踏まえて、当社はテレマティクス保険のパイオニアとしてさまざまなニーズに合う商品を開発してきた。これからもテレマティクス技術は不可欠で、他社に先駆けて取り組んでいくことに意義があると考えた」とあいおいニッセイ同和損保の樋口昌宏取締役専務執行役員は説明する。

 

 このテレマティクス損害サービスシステムの開発では、各社がそれぞれの強みを持ち寄ったことによって高品質かつ短期間で実現できたそうだ。例えば、野村総研はドライブレコーダー映像など車両から得られるビッグデータや、道路・天候情報等を地図上にビジュアル化し、事故状況を瞬時に把握できるシステムを開発した。

 

 

SCSKはあいおいニッセイ同和損保が保有する国内および海外のテレマティクスデータの走行波形・衝撃波形と、SCSKの独自のソリューションを活用し、事故検知アルゴリズムを開発。

 

富士通は自社が保有するドライブレコーダーの映像を分析するAI画像認識とその結果から三次元位置を高精度に推定するVisual-SLAM技術により、事故相手の車両速度や運転軌跡を業界最高水準の精度で推定するシステムを開発し、運転車でも気づけない事故原因や事故発生時の状況を正確に再現できるようにした。

 

大日本印刷は自社が提供する高精度文書検索システムのデータ分析技術を活用し、過去の交通事故判例を自動的に表示し、過失割合を自動判定するシステムを開発。そして、日本アイ・ビー・エムとSBIは複数のサービスや車両から得られるデジタルデータを取り扱う企業との間で、インターネットを介して、サービスやデータを連係するAPI連携基盤を開発した。

 

 このように各社が開発した技術を合わせたことによって、車両が衝撃を検知すると即座に保険会社から保険契約者へ連絡が行き、ドライブレコーダー映像などのデジタルデータをもとに過失割合まで迅速かつ適切に判定できるようになった。しかもこのシステムの導入によって、対物賠償保険金の支払いまでの日数を約50%短縮できるという。

 

「これまでのお客さまとの電話のやりとりを中心とした従来の事故対応からデジタル活用による高度な事故対応へと変わり、お客さまの負担は飛躍的に軽減、またはなくなっていく。当社にとっても、現場の業務効率化や省力化が図れ、経営にとってもプラスになる」と樋口専務執行役員は話していた。(経済ジャーナリスト・山田清志)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。