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2020年8月4日【アフター市場】

akippaら、衛星+AIで駐車場区画候補の検出プログラムを開発

坂上 賢治

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衛星データの実用化を目指し、衛星データとAI画像認証を活用した共同研究開発

 

 駐車場予約アプリ運営のakippa(代表取締役社長 CEO:金谷 元気)とサーバ運営のさくらインターネット(代表取締役社長:田中 邦裕)並びにAI技術のRidge-i(代表取締役社長:柳原 尚史)は衛星データプラットフォーム「Tellus(テルース)」の実用化を目的に、共同で衛星データとAI画像認証を活用。駐車場用のスペースを自動検出するための初期プログラムを開発した。(坂上 賢治)

 

 

 上記のTellus< https://www.tellusxdp.com/ >とは、さくらインターネットが経済産業省の「政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利活用環境整備・データ利用促進事業」を受け、開発・運用に取り組んでいる衛星データプラットフォームだ。

 

また、Tellusには衛星データに加え気象、人流などの地上データを順次搭載するなど機能拡張が進んでいる。ちなみに同プラットフォームであるTellusの名称は、宇宙から得られる地上のデータにより豊かな未来を作り出したいという意を込め、大地の女神Tellusから取っている。

 

写真は、2019年2月29日のTellus概要発表中の記者会見風景

 

 実のところ目下、同プログラムは開発途上にあるのだが、近々サービスが完全実用化された暁には、akippaがこれまで足で稼いでいた自動車の駐車場用スペースを衛星データから確認できるようになり、駐車場開拓の効率化が期待できるという。

 

 ちなみにakippaでは、全国の空いている月極や個人の駐車場、空き地などの遊休地を駐車場として一時利用できるシェアリングサービスとして2020年7月現在、全国に累計37,000拠点の駐車場が登録されている。しかしドライバーニーズに100%応えられる駐車場数は確保できておらず、今も新しいスペースを見つける際に現地開拓のための時間が掛かるといった課題があった。

 

そこで同課題を解決するため、効率的に新たに駐車場として活用できる遊休地を発見する新手法として、衛星データと機械学習・ディープラーニングの技術を活用。特定エリアの「自動車駐車場用スペースの候補を自動検出するプログラム」の開発を目指してきた。

 

 

 今回の開発初期モデルでは、Tellusの開発・利用を促進するべく、鋭意開発を進めているさくらインターネットが衛星データの提供を。Ridge-iが機械学習・ディープラーニングの技術を使い、ひとまず衛星データだけで、駐車場用スペースの候補地を検出できるプログラムを開発したもの。実際、2019年10月〜2020年2月に福岡・札幌にて実証実験を行ったところ、約75%の精度を実現したという。

 

これを踏まえ、今後さくらインターネットはTellusへの搭載と実用化に向けて、衛星データの提供とプラットフォーム改善を行い、一方akippaは、同プログラムをビジネス上で駐車場用スペースの候補地検出のために本格的な活用を検討していく。

 

 具体的には、今回の福岡・札幌の2都市から活用を開始。順次全国への展開を検討していく。またRidge-iは、機械学習・ディープラーニングプログラムの更なる精度向上に加え、地上データや時系列の衛星データを利用した駐車場用スペースの候補地の把握などの検討をしていく。3社は宇宙ビジネスが注目される中「今後も衛星データの実用化に向けて3社で取り組んでまいります」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。