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2024年1月25日【アフター市場】

GfKジャパン用品調査、EN規格バッテリーが3割増

坂上 賢治

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2023年カー用品販売動向、バッテリーEN規格が数量約3割増加の傾向

 

GfK Japanは1月25日、全国のカー用品店、タイヤ専門店、ガソリンスタンド、ホームセンター、インターネットの販売実績データ等を元に市場規模相当に拡大推計した2023年のタイヤ、エンジンオイル、自動車用バッテリーの販売動向を発表した。

 

それによると、タイヤ全体は数量前年比7%減と低調。夏タイヤでは同8%減、冬タイヤ(9‐12月期)では同10%減であった。またエンジンオイル4L缶は数量前年比6%減のなか、0W-16(同22%増)など販売を伸ばした粘度も見られた。自動車用バッテリーに関してはEN規格が数量前年比29%増と著しい伸長を見せ、数量構成比は5%に拡大したという。

 

なおタイヤはカー用品店、タイヤ専門店(メーカー系列を除く)、ガソリンスタンド、インターネット、エンジンオイル及びバッテリーはカー用品店、ガソリンスタンド、ホームセンター、インターネットを集計対象として調査されている。個別の用品概要は以下の通り。

 

タイヤ全体・夏タイヤ
2023年のタイヤ全体の数量前年比は7%減と低調であった。夏タイヤは全体で数量前年比8%減、店頭では数量前年比7%減、インターネットでは同10%減とマイナス成長であった。特に14インチ以下の軽自動車サイズが店頭では数量前年比9%減と減少し、インターネットでは同20%減と大幅に落ち込んだ。

 

 

夏タイヤの平均価格は店頭では前年から8%上昇し10,782円、インターネットでは15%上昇し9,639円となった。2年連続で価格改定が実施されたこともあり、2021年の平均価格からは店頭で14%、インターネットで26%の上昇となった。販売数量は減少したものの平均価格の上昇に支えられ、金額前年比は店頭では1%増、インターネットでは4%増と微増となった。

 

夏タイヤをサイズ別にみると、主要なサイズでは155/65/14が数量前年比11%減、145/80/12が同14%減など多くのサイズで減少が見られた。こうした中ではあるが、205/60/16では同4%増、185/60/15では同7%増と前年を上回り、235/50/18では同16%増と大幅な伸長を見せるサイズもあった。

 

【冬タイヤ・オールシーズンタイヤ】
冬タイヤの2023年9-12月期の数量前年比は全体で10%減と二桁マイナスとなった。店頭では数量前年比14%減、特に関東・甲信越では同21%減と前年を大幅に割り込み、インターネットでは同5%減であった。

 

 

冬タイヤの最盛期である12月の販売が、数量前年比25%減と著しく減少したことが影響した。冬タイヤの平均価格は店頭では13,123円と前年から7%上昇したことに対し、インターネットではプレミアム製品の構成比が下がったことが一因となり、11,682円と1%下落した。金額前年比は店頭では8%減、インターネットでは2%減となった。

 

オールシーズンタイヤの2023年の数量前年比は全体で3%増と成長の鈍化が見られるものの前年に引き続き販売を伸ばした。インターネットでの伸長が数量前年比9%増と全体をけん引した。

 

一方、店頭では同6%減と前年を下回る結果となった。185/65/15では数量前年比9%増、175/65/15では同8%増などコンパクトカーが多いサイズで伸長が見られた他、SUVが多い225/55/18では同21%増の二桁成長を示した。

 

【エンジンオイル】
2023年の販売量前年比は6%減と低調で、2年連続で前年を下回る結果となった。店頭では6%減、インターネットでは2%減とであった。

 

 

4L缶は数量前年比6%減で、店頭では同5%減、インターネットでは同11%減と大きく落ち込んだ。平均価格は、店頭では4,141円と前年から12%上昇、インターネットでは4,222円と7%上昇した。その結果、金額前年比は5%増となり、店頭では6%増であった一方、インターネットでは4%減に留まった。

 

GfKが2023年10月に実施した消費者調査では、エンジンオイル交換経験者13,036人のうち、40%は『前回の交換から一定の期間が過ぎた』、36%は『前回の交換から一定の距離を走行した』ことをきっかけにエンジンオイル交換を実施しており、定期的なメンテナンスの意識が持たれていることがうかがえる。交換の頻度では、6か月ごとに交換する人が49%と最も多く、次に1年ごとに交換する人が18%を占めた。

 

4L缶の主要な粘度では、0W-20が数量前年比3%減、5W-30が同9%減、10W-30が同10%減と減少した(図3)。そうした中、0W-16は数量前年比22%増と二桁成長を見せた他、0W-30は同4%増、10W-40は同2%増と前年を超える粘度も見られた。

 

【自動車用バッテリー】
2023年の数量前年比は2%増と微増であった。店頭では6%減であったことに対し、インターネットでは19%増と二桁成長であった。アイドリングストップ車向け製品が拡大傾向にあり、数量構成比は前年の28%から32%に至った。その反面、標準車・充電制御車向け製品は同66%から62%に縮小した。

 

 

平均価格は、店頭では15,279円と前年から9%上昇、インターネットでは11,200円と11%上昇した。金額前年比は10%増と二桁成長を見せ、店頭では2%増と微増にとどまるも、インターネットでは31%増と大幅に拡大した。

 

自動車用バッテリーのサイズ構成をみると、最も販売の多いB19の数量構成比は29%に縮小した。その一方でD26が数量構成比を12%へと拡大させており、数量前年比では16%増、特にインターネットでは36%増と著しい伸長が見られた。

 

また、近年国産車でも採用車種が広がっているEN規格バッテリーは全体で数量前年比29%増と顕著な伸長を示した。数量構成比では前年の4%から5%に増加し(図4)、インターネットでは9%を占めるに至った。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。