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2025年3月11日【IoT】

JADRAA、国内初の中古車EDR事故履歴鑑定を開始

坂上 賢治

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一般社団法人 日本自動車データレコード鑑定協会(JADRAA/所在地:東京都中央区、代表理事:伊藤 久雄)は、国内初(自社調べ/2025年2月末時点「中古車EDR事故履歴鑑定サービス」に於いて)となるEDR(イベント・データ・レコーダー)を利用した中古車事故履歴鑑定サービスの提供を開始した。

 

同サービスは、中古車購入に伴う不安を解消し、消費者がより安心して車を選べる環境を整えることを目的としている。JADRAAは、公正かつ透明性の高い事故履歴鑑定を行い、車両の過去の事故履歴を正確かつ客観的に評価することで、中古車市場の健全な発展に貢献していく。

 

今後は2025年春より、まずは関東圏および全国の一部エリアでサービスを開始し、順次全国へ展開する予定としている。

 

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協会設立の背景は、近年の自動車技術の進化により、多くの車両が電子制御システムを搭載し、EDR(イベント・データ・レコーダー)をはじめとする膨大なデジタルデータを記録するようになったことがある。

 

EDRは事故発生時の車両の挙動や運転操作の詳細を記録し、事故解析において重要な役割を果たす。しかし、こうしたデータを公正かつ適正に解析し、透明性のある形で活用できる仕組みは、これまで十分に整備されていなかった。

 

特に中古車市場では、車両の事故履歴に関する信頼性の高い情報を取得することが難しく、消費者にとって不安要素となっていた。また、事故や故障に関するデータの取り扱いに統一基準が存在しないため、関係者間での認識の相違やトラブルの原因となるケースも少なくない。

 

こうした課題を解決し、中古車市場の健全化と消費者の安全・安心の確保を目的として、全国のEDR解析資格を有する専門家をはじめとする関連分野の専門家が結集し、公平・公正かつ中立的な第三者機関として「一般社団法人 日本自動車データレコード鑑定協会」を設立した。

 

JADRAAでは、「当協会は、EDRデータを活用した事故履歴鑑定を通じて、中古車取引の透明化を推進し、自動車業界全体の信頼性向上に貢献してまいります」と話している。

 

 

なお協会代表者理事の伊藤久雄氏は、事故解析鑑定および事故研究の専門家として財団法人日本自動車研究所(JARI)に於いて30年間に亘り、交通安全分野の広範な研究に従事してきた人物。全米プロフェッショナル事故鑑定士協会会員であり、BOSCH認定 CDRアナリストでもある。

 

過去実績では、国内自動車メーカー、国土交通省、警察庁、科警研、および法人企業からの委託を受け、3,000件以上の交通事故再現実験や車両安全性能試験を実施。国内外のNCAP試験に携わる他、交通鑑識や交通事故救助講座の講師を務め、更には鉄道や航空機を含む多様な交通安全分野の研究プロジェクトや、国内外の衝突安全基準の策定にも関与してきた。

 

 

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協会の取り組みとサービス内容は以下の通り

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同協会は、サービスの第一弾として、国内初となるEDR(イベントデータレコーダー)を活用した事故履歴鑑定サービスを提供する。サービスの特徴は以下の通り。

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1. 専門家による解析:EDRデータ解析の資格を有する専門家が、車両の衝撃記録データを抽出・解析する。

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2. 事故履歴の証明:「事故履歴がないことの証明」や「車両の衝撃ダメージの客観的評価」を提供する。

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3. 中古車市場の透明性向上:買取・販売時の信頼性向上に貢献する。

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4. EDRデータ解析:オプショナルとして、事故の日時、事故時の車両速度、衝撃の強さなどの記録から、詳細な事故状況の把握も可能。

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なおEDR(イベントデータレコーダー)とは、自動車のエアバックコンピューター内に搭載されたデバイスで、車体に一定以上の衝撃が加わった場合そこから約5秒間遡り、車両のデジタルデータ(最大約100種の情報)を記録する自動車版のフライトレコーダー。このEDRデータを利用して車両骨格の衝撃入力ダメージを可視化することで、正確な車両評価を客観的かつ効率的に実現することができる。

 

 

過去のEDR記録データを全て解析し、記録された衝撃レベル、入力方向、エアバック作動等の情報より、車体へのダメージについて当協会の定める基準により、シンプルで誰にでも分かり易い表示方法で判定する。

 

大きな衝撃レベルの記録については車体ダメージがある結果となり、小さい衝撃レベルが複数記録されていても車体へのダメージがないものとして判定される。

 

 

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今後の展開について

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同協会では、より多くのユーザー様に信頼性の高いEDR事故履歴鑑定サービスを提供するため、以下の取り組みを進めていく。

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1. 協会会員の募集
全国の自動車関連の専門家や企業との連携を強化し、専門知識と技術を活かした公平・公正なデータ解析を推進する。

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2. 全国の専門家ネットワーク構築
EDRデータを活用した事故履歴鑑定の普及と認定鑑定士の育成を進め、各地域で専門的な解析を提供できる体制を整える。

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3. サービス展開スケジュール
2025年春:関東圏および全国一部エリアで中古車販売店・買取店向けにサービスの提供を開始する。その後、順次全国展開を進め、全国規模でのEDRデータ活用を促進させていく。

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4. 会員制度
– 正会員(データレコード鑑定の専門家):EDRデータの抽出および解析事業者として認定登録する。

– 一般会員(中古車販売店・買取店向け):会員価格でEDR事故履歴鑑定サービスを利用可能としていく。

– 賛助会員(企業・団体・個人向け):当協会の活動を支援して貰える企業・団体・個人へ、最新のEDRデータ解析情報の提供や、各種セミナー・研修会への優先参加特典を設けていく。
※現在、正会員、一般会員、賛助会員を募集中。詳細は協会のホームページを閲覧されたい。

 

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協会概要
名称:一般社団法人 日本自動車データレコード鑑定協会(JADRAA)
所在地:東京都中央区日本橋
代表理事:伊藤 久雄
設立:2025年1月17日
事業内容:EDRデータ解析による中古車事故履歴鑑定サービスの提供、自動車デジタルレコードデータの解析鑑定
WebサイトURLhttps://www.jadraa.or.jp

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。