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2023年9月26日【アフター市場】

テラチャージ、150kW急速充電器を都下で千箇所無料設置

坂上 賢治

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EV充電事業「Terra Charge(テラチャージ)」を展開するTerra Motors(テラモータース/2024年2月にTerra Chargeへ社名変更予定)は9月26日、東京都内に於いて従量課金に対応した150kWの急速充電器を1,000箇所限定で無料設置すると発表した。EV充電業界では初めての試みとなる。

 

同社によると、この急速充電器は、6分充電で100km程度走行可能となるため、現在、東京に1,000箇所あるガソリンスタンドに近い感覚で使える充電が可能だと謳っている。また同社は今後、快適なEV充電環境のため日本全国にインフラ網を拡張していくと語る。

 

 

ちなみにテラモータースが今回、都下1,000箇所で150kW級急速充電器を設置することを決めた理由は、目下、日本国内に於いてEV充電設備の不足が大きな課題となっているためだという。

 

同社によると、そもそも日本では国民の約4割が集合住宅に居住しているとしており、東京など関東地区の多くの集合住宅では機械式駐車場が多いため、EV充電器の設置が容易には設置できない状況になっている。従って自宅や事務所といった自動車の保管場所に於ける基礎充電の設備が少ないとしている。

 

 

加えてそうした地域では、充電器自体が時間課金となっており、仮に定格出力より充電出力が下がったとしても充電料金は同額となる。そのため料金に対して充電量が少なくなり割高になるケースがある。つまり充電出力は、バッテリーや充電器の状態によって変動するため、時間課金制では納得感のある料金設定が難しかった。

 

対して充電器を設置してサービスを提供する側にとっても、急速充電で1分あたりの料金設定が決まっているため、高出力でな機器を設置すれば、オーナーの収益性が下がる。

 

実際、150kWなどの超急速充電になると、充電にかかった電気代の担保も難しくなるため、充電器を設置する事業側としても超急速充電器の導入が進みづらいという課題がある。そこでテラチャージは、あえて従量課金を導入し、大幅な充電箇所拡大に動いた。

 

 

こうした取り組みについて150kW級急速充電の導入・設置場所の提供に動いたコジマの成田博芳 執行役員・総務人事本部・総務部長は、「弊社店舗は郊外に立地しており、車でご来店をされるお客様が多くいらっしゃいます。

 

EV車の普及を推進するためには充電設備の整備が喫緊の課題となっているため、弊社の店舗駐車場にお客様用として導入し、お客様の利便性の向上を図ると共に、EV車の普及促進に繋がればと考えております。 

 

また今回の新プランは、当社のお客様のニーズにもマッチし、我々のような企業側にとっても導入し易く、EV車の快適な充電環境の広がりを後押しするものであると思います」と述べている。

 

一方でテラモータース側では、「この試みは、経済産業省はEV向けの充電設備を巡り2030年までに15万としていた設置目標を倍増させて30万口に引き上げる新指針を定めることを発表していることを受けてのことだとしており、テラチャージは経産省も推奨し、世界のスタンダードでもある従量課金制を導入していきます。

 

また今後も自治体、郵便局、商業施設、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホテル、自動車ディーラー、ファミリーレストラン、書店、オフィスビル、ガソリンスタンド、お寺など、東京都の駐車場サイトオーナーを中心に全国政令指定都市へ対象を広げてまいります。お問い合わせお待ちしております」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。