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2024年4月24日【アフター市場】

テラチャージ、機械式駐車場向けEV充電器の提供開始

坂上 賢治

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機械式駐車場に設置されたEV充電器並びに充電イメージ

 

EV充電器のTerra Charge(テラチャージ)は4月24日、あなぶきグループ傘下のヨコイと提携。ヨコイの機械式駐車場にテラチャージのEV充電器を設置するプランの提供を開始した。

 

今後はテラチャージとしては初めて、機械式駐車場メーカーと提携して機械式駐車場にEV充電器を設置するプランを提供する。

 

ヨコイが展開する機械式駐車場は、ラインナップとして「超大型LLサイズ」を用意しており、大型のEVも収容することが可能。設置が難しいとされてきた機械式駐車場へEV充電器を設置することで、マンションに居住する入居者にも自宅で充電できる便利な環境を提供できるようになる。

 

機械式駐車場に設置されたEV充電器のイメージ

 

テラチャージが機械式駐車場にEV充電器の設置を進める理由は以下の通り

 

・EV購入検討者の8割が「自宅にEV充電環境がないと不便」と感じている
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、EV普及とEV充電インフラの拡充が急加速しており、経済産業省はEV充電器の設置目標を2030年までに30万口(現在約3万基)、マンションなど自宅での基礎充電は10~15万口とするなど、充電環境の整備が全国で求められている。

 

例えば、日産自動車株式会社がEV購入検討者(保有者含)及び集合住宅の居住者400名を対象に実施した調査によると、「現在お住まいの集合住宅にEVの充電ができる駐車場はありますか?」という質問では75.5%が「ない」と回答。

 

「わからない」という回答も含めるとその割合は82.3%にのぼる。また、「EV充電環境が自宅にないことは不便だと感じる」(81.8%)という回答が多い結果となっている(2023年12月7日、日産自動車/EVと住環境についての調査)。

 

・都内には機械式駐車場が多いが、EV充電器の設置は進んでいない
東京都には機械式駐車場が147,987基設置されていますが、これは全国の都道府県の中で最多であり、全国にある機械式駐車場の約25%にあたる数となっている。ままた機械式駐車場は、集合住宅に於いて限られたスペースで効率的に駐車場所を確保できる。

 

しかし一方で、機械式駐車装置内充電する場合、車体から突き出る充電プラグや充電口の蓋等も寸法に考慮する必要があるため、通常サイズのパレットではスペース確保が難しく、EV充電器の設置がなかなか進んでいない(公益社団法人立体駐車場工業会調査/都道府県別機械式駐車装置完成実績・2021年度までの累計)。

 

・東京都では2025年4月から新築マンションへのEV充電器設置が義務化
東京都では2025年4月から、10台以上の駐車区画を有する新築マンションに於いて、充電設備や配管等の整備が義務化(2024年3月、東京都環境局/建築物環境報告書制度資料)される。

 

現時点では、機械式立体駐車場の駐車区画は、充電設備設置の技術進展等を踏まえ当面の間に限り整備基準の適用から除くとされているが、機械式駐車場にEV充電器があることによって集合住宅のEVドライバーが自宅で充電したいというニーズに応えることができる。

 

・ヨコイの機械式駐車場にテラチャージのEV充電器を設置することのメリット
そうしたなかでヨコイは、超大型LLサイズ(全長5600mm/全幅2100mm/全高2000mm/重量2800kg)のパレットに対応する機械式駐車装置を提供している。

 

特にEVは大型の車種も多く、車体の大きさから機械式駐車場には収容できないケースも多いが、ヨコイの機械式駐車装置のLLサイズであれば大型EVでも充電しながら収容することができるという。

 

併せてテラチャージによると、同社のEV充電サービスは、利用者が使った分の料金をアプリで決済する「受益者負担」の仕組のため、管理組合や管理会社には電気料金の徴収などの手間は発生しない。

 

そのため集合住宅だけではなく、商業施設やホテル、公共施設などにもEV充電器が設置できている。

 

・新プランの詳細

 

ヨコイ製機械式立体駐車装置のイメージ図
パレットに充電器を設置した場合のイメージ

 

ヨコイは、集合住宅やテナントビルの地下空間を有効活用できる屋内地下型の機械式駐車装置で実績を持つ。自社開発の給電設備を各駐車室に設置しパレットにEV充電用の給電を可能する事により装置内で駐車しながらEV充電が可能になる仕組みだ。

 

またEVが増えてもデマンドコントロールにより電気容量に応じて同時充電予約数も制御できる。なおプランは主にLLサイズのパレットを導入予定の新築マンション/導入済みの既設マンションが対象になる。LLサイズ以外の要望については、導入確認のため問い合わせして欲しいと話している。

 

今回の取り組みについてヨコイ代表取締役社長の穴吹忠裕氏は、「株式会社ヨコイは1956年に横井鋼業としてスタートし、1972年にクレーン製造で培った技術を活かして機械式立体駐車装置の開発製造に携わり、これまで数々の独創性のある開発技術や商品力で、地域社会に貢献をしてきました。

 

この度は、自動車業界がEV車にシフトする中において、自社装置のパレットにEV充電器の取り付け対応を可能としました。更にテラチャージ社との協業により、運用ソフト面でも自信をもってお勧めできる機能としました。

 

2023年にヨコイは、総合不動産業である〝あなぶきグループ〟に仲間入りをしました。あなぶきグループの新設分譲マンションは勿論、全国で管理するマンション物件にも採用提案し、あなぶきグループ力を最大限に発揮し、地域社会に生かされ生きる企業を目指します。

 

また、ヨコイは社是でもあります誠実に、“何時如何なる場合でも、良心のもとに行動すること”としております。モノ作りを起点とした新しいコト創りでも、強く必要とされる会社へと存在価値を示せるように、“誠実”に“日々是前進”してまいります」と話している。

 

対してTerra Chargeの徳重徹代表取締役社長は、 「当社は、”すべての人とEVにエネルギーを。”をミッションに、EV向けの充電サービスTerra Chargeを日本全国で提供しています。

 

2022年4月に事業を立ち上げた後、順調にEV充電器の設置を進めており、EV充電器の受注数が25,000口(2023年12月末時点)を突破し国内トップクラスとなっています。

 

しかし、日本のEV化を加速させるためには、自宅で寝ている間に充電できる、基礎充電を整備することが必要不可欠だと考えています。

 

この度、機械式駐車装置メーカーのヨコイ様と提携し、これまで設置が難しかった機械式駐車場でもテラチャージの充電器を利用することができるようになります。自宅の集合住宅にEV充電器が設置されることで、EVをお持ちの入居者はもちろん、EVを検討中の入居者がEVを購入するきっかけになればと考えています。

 

テラチャージは、EVドライバーにニーズの高い自宅でEVを充電できるインフラ整備に引き続き尽力してまいります」と述べている。

 

テラチャージアプリ
App Store:https://apps.apple.com/us/app/terra-charge/id1639315162
Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.terramotors.terracharge

 

機械式駐車場へのEV充電器設置プランに関する問い合わせ
Terra Charge担当:Terra Charge株式会社 営業本部
MAIL:info@terra-charge.co.jp
問い合わせフォーム:https://terra-charge.co.jp/contact-ev/

 

新設及び既設のヨコイ製機械式駐車装置に関するご相談先
株式会社ヨコイ担当:株式会社ヨコイ 立駐事業本部 営業部
MAIL:p.eigyo@yokoi-kk.co.jp
問い合わせフォーム: https://www.yokoi-kk.co.jp/parking/contact/

 

株式会社ヨコイ
本社所在地:香川県高松市一宮町1508-3​
代表者:代表取締役社長 穴吹 忠裕

 

Terra Charge株式会社
本社所在地:東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビルディング12階
代表者:代表取締役社長 徳重徹
設立:2010年 4月

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。