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2021年1月12日【CASE】

ボルボ・カーズ、クライメートニュートラルな都市造りを支援

坂上 賢治

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 浙江吉利控股集団傘下のボルボ・カーズ(本社:スウェーデン/ヴェストラ・イェータランド県・イェーテボリ、CEO:ホーカン·サミュエルソン)は北欧時間の1月12日、来る2030年迄を目標に、創業の地に於いてクライメートニュートラルな都市の実現に取り組むと発表した。(坂上 賢治)

 

 

それはスウェーデンのイェーテボリ市と協力。当地が持続可能な未来技術の実証の舞台となるべく、新しい都市創造の創設を目指すというもの。

 

 より具体的には、スカンジナビア最大の港湾都市である同市を、様々なクライメートニュートラルな交通手段と接続されたインフラ地域として整備。イェーテボリ市で〝イェーテボリ・グリーン・シティ・ゾーン〟と称されている100%排出ガスを排出しない都市構想に対して積極的に貢献していくとした。

 

これによりボルボ・カーズは、地元市民の生活圏である都市を自社製品のテストの場として使用することになり、結果、〝電動化〟、〝共有モビリティ〟、〝自動運転〟、〝コネクティビティ〟、〝安全性〟の各分野でのさらなる技術向上に加え、サービス品質を高めていくことができるという。

 

実際、同社はこうした活動基盤の一環として、自社所有の〝モビリティプロバイダーM〟が運営するロボタクシーを、同市エリアゾーン内で稼働させる計画を本格実行に移し始めている。

 

Bodil Eriksson – CEO Volvo Car Mobility

 

 このモビリティプロバイダーMとは同社が2018年7月4日、新たに立ち上げたモビリティ新ブランドである。このモビリティプロバイダーMは、スマートフォンに同ブランドに対応するアブリをダウンロード。これを介して、車両サービスへのオンデマンドアクセスを可能にするシステムを指している。

 

これはボルボカーズのグローバルモビリティ事業を拡大する戦略の一環として立ち上げられた。従ってモビリティプロバイダーMの目指すところは、より多くの人々が自由な移動手段を得ることを可能にすることにある。

 

プラットフォームサービスには、直感的なユーザーエクスペリエンスを提供。新世代のモビリティサービス推進を掲げてきた。その目的達成を目指し、2019年に生誕の地スウェーデンでのサービスインを皮切りに、米国展開を視野に入れてきた。つまり同社が都市活動に於いて、クルマを所有するという従来の形態に加え、新たな利用の姿を提案したものと言えるだろう。

 

Håkan Samuelsson – President & CEO, Volvo Car Group

 

 以上の取り組みなどを踏まえてボルボ・カーズのホーカン・サムエルソンCEOは、「今後、我々は街中での自動車の台数全体を制限するプロジェクトを開始することになります。

 

しかしこれは〝効率性と利用率向上〟のために我々独自のAI技術を磨いたシェアード・モビリティサービスMで証明されている通り、我が社が私企業として目指す自らの将来像と綺麗に合致します。

 

私たちは、未来の都市創造に関与し、住み易い都市の姿を追い求め、それを維持したいと考えています。従って今取り組みは、そのための機会を与えてくれるチャンスであると同時に、自分たちの街に対して、ここまで育ててくれた生誕の地に、モビリティ企業として責任を持つ存在になれることを意味しており、嬉しく思います。

 

具体的な実証テストの事例としては、ゾーン内のクルマが電気のみのモードで動作し、制限速度内に留まることを保証する〝ジオイネーブルソリューション〟や、その他サービス。車のアクティブセーフティ機能に接続して、道路利用者間で情報を共有することができる交通インフラを確立することなどが挙げられます」と語った。

 

 

 一方、ボルボ・カーズの最高技術責任者を務めるヘンリック・グリーン氏は、「我々の知識と技術を使ってクルマが電動化され、都市機能と接続され、それが共有されることを介して、当社はクライメートニュートラルな地元の都市造りに貢献したいと考えています。

 

またこれはリアル社会環境から物事をリードしていく試みとして、ひとつのチャンスでもあります。つまり大規模な都市環境で新しい技術やサービスを実際にテストすること。それがこの地で実証可能であるのなら、世界の多くの地域でも活用可能な技術であることを、各地の多様なモビリティ社会に対して示すことができるからです。

 

その他にも未来に向けて可能性を秘めた試みは数多あります。それは〝完全な電動モビリティーハブの実現〟。〝電気自動車のための完全で使いやすい充電ネットワークの整備〟。〝自動運転タクシーの導入〟などが挙げられるでしょう」と語る。

 

 またグリーン氏は、「対してクライメートニュートラルな社会への移行を阻む障害も考えられます。それは気候に優しい技術やスマート技術などのテクニック面の不足ではなく、その取り組みを実行していくための資質の不足です。

 

というのは、こうした変革の実施にあたっては、イノベーションを促進するための鋭いアプローチ手法を編み出すこと以外に、全てのステークホルダーからの深く継続的な協力を得られることが絶対的に不可欠だからです。

 

 

そうした面でイェーテボリ市生まれの当社は、同プロジェクトの計画段階から積極的な役割を担っていく心積もりであるため、立ち上げ当初から電動化モビリティサービスを都市機能と統合し、地域の生きた環境を活かし、持続可能性を目指した高い目標達成へ向けて、地域の力を高めていくことができるでしょう。

 

 実際、昨年2020年に我々が提供を開始したモビリティプロバイダーMは、イェーテボリ市の混雑を減らし、排気ガスの排出量を減らすことができています。つまりMから配車される1台のクルマは、現在、市内を走る民間所有の8台のクルマに取って代わることができているのです。

 

また積極的な環境負荷低減を目指すイェーテボリ市と同様に、ボルボ・カーズも来たる2040年までにクライメートニュートラルな企業になることを目標に、二酸化炭素排出量を継続的に削減させてきています。

 

加えて我々は、直近の2025年までに達成すべき多くの目標も持ち合わせています。それは〝自動車1台あたりのCO2排出量を40%削減する〟ことに始まり、〝全世界での車両販売台数の50%を完全電気自動車に、残りはハイブリッド車にする〟こと。製造や物流を含む〝事業全体で発生する二酸化炭素排出量を25%削減する〟ことなどがあります。

 

そうした目標を目指す我々は、今年2021年春からグリーンシティゾーンへの取り組み開始します。この活動を順次拡大させ、自身の未来を前向きに切り拓いていきます」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。