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2019年8月1日【エレクトロニクス器機】

東大・NSK・BSの3法人、道路からEVへの無線給電に挑戦

NEXT MOBILITY編集部

 東京大学(東京大学大学院・新領域創成科学研究科/藤本研究室)が取り組むJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の研究プロジェクトで、電動インホイールモーター車への走行中給電を目指す動きが始動した。

 

これはJSTの「電気自動車への走行中直接給電が拓く未来社会」に共同参画するNSK(日本精工)とBS(ブリヂストン)がこの8月、同研究・実用化の基本特許で3者が合意を結んだことから共同開発の体制づくりが固まったため。

 

同・共同研究は、東京大学の研究グループが全く新しい概念に基づく革新的な技術を創出するべく、自らでJSTに新構想を提案。これを2017年~2022年の研究テーマとしてJSTが採択したことが発端だ。

 

 

 今共同開発で東京大学は、インホイールモーターへのワイヤレス給電コンセプトの立案と改良。これに加えて関連基盤技術の研究開発を担当する。

 

上記の画像は去る2017年3月30日、東京大学大学院・新領域創成科学研究科の藤本博志准教授らの研究グループによる千葉県柏市の東京大学柏キャンパスでの実証実験時のもの。

 

対してNSKは、同社が独自のインホイールモーター開発で得られた技術を活かし、より搭載性に優れたインホイールモーターユニットの開発と、給電インフラ自体の社会実装に関する諸問題や解決を導いていくための検討課題に取り組んでいく。

 

 

さらにブリヂストンは、給電を阻害しない有機材料の知見やタイヤ開発の技術を活かして、給電時にインホイールモーターへの電力伝送を高効率で行うためのタイヤ技術の研究開発を担当する。

 

今後、上記3者はそれぞれの立ち位置や役割を消化しながらインホイールモーターの設計・試作・評価・搭載車両の製作を行い、来たる2022年までにタイヤを含めた車両評価を行い、さらなる実証実験フェーズへのプロジェクトの移行を目指す。

 

 

 ちなみに今日、日本の11億9000万トンにも及ぶCO2排出量のうち、自動車からの排出量がその15%にあたる1億7千600トンにのぼる。

勿論、そうした課題は世界各国でも充分に認識されており、例えば欧州では2020年に自動車のCO2排出量をより厳しく抑制する施策実施が予定されている。

 

これを踏まえて各国・地域の自動車メーカーやその関連メーカーでは、この厳しい課題提示に応えるべく、より洗練され優れたEV開発を推し進めているものの、電動化に伴う市場要請に伴いバッテリー装置を含む関連装置の製造や原材料、そもそものの原材料不足や技術者不足など、広範囲に亘る多様な要素で供給不足が発生するのではないかと懸念されている。

 

 

このような深刻な課題を何とか克服するため3者は、車両のホイール内にモーターを組込み、このモーター自体へ走行路面から直に給電させることで、より少ないバッテリー装置でも航続距離を伸ばせる技術開発を急ぐ。

 東京大学、NSK、ブリヂストンの3者は、研究プロジェクトに関わる基本特許をオープン化することに合意しており、権利化された技術は無償で使用可能となる知財管理の仕組みも併せて整備。持続可能なモビリティ社会の実現に貢献していきたい考えだ。

 

弊誌・姉妹紙の関連記事(MOTOR CARDS)
東京大学院らの研究グループ、走行中にワイヤレス給電するインホイールモータ車の走行に世界初成功 (2017年4月16日掲載)

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松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。