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2019年6月14日【オピニオン】

ABボルボ、自動運転EV「ヴェラ」での港湾内輸送を目指す

坂上 賢治

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 スウェーデンに本拠を置くABボルボ(本社:ヴェストラ・イェータランド県イェーテボリ、CEO:マーティン・ルンドステッド)は現地時間の6月13日、傘下のボルボトラックで開発を進める自動運転EVの「ヴェラ(Vera)」を、海運会社のDFDSと共に地元イェーテボリ港内の物流輸送に投入する計画を打ち出した。(坂上 賢治)

 

 このヴェラは運転席を持たず自動運転機能を有する電動輸送車。実運用では、殆ど車台部分のみで構成されているかのようなフォルムを持ち、船積み用のコンテナを積んでDFDSの物流センターから、APM(APM Terminals)が運営する港湾のコンテナターミナル迄の短距離を時速24マイル(速度換算で約39キロメートル)を行き来してコンテナを運び出す。

 

 

輸送時の往復は完全自動運転となるが、その運行管理については、港湾地域のコントロールタワーに設けられたオペレータによって監督されての実運行となる見込みだ。

 

 

 この計画について、ボルボトラック・自律ソリューション担当副社長のミカエル・カールソン氏は「今回のDFDSとの共同作業は、公道上の輸送手段としてヴェラを導入する最も最初のステップとなるものです。

 

我々は今、自律輸送ソリューションの開発で世界を大きくリードしていますが、今後も引き続き自律的な交通システム開発の最前線に立っていたいと思っています。

 

今回公表したコンセプト映像では、輸送業界の未来を当社がどのように形作るかについての具体的な回答が示されています。その目的は、より高い輸送効率と柔軟な事業対応力を持続可能な形で実現することです」と語った。

 

 一方、DFDSの最高経営責任者(CEO)であるトルベン・カールセン氏は「騒音レベルが低く、排出ガスがゼロであるヴェラを用いた自律輸送は、未来の物流の世界で重要な役割を果たし、社会へも、またビジネス面でも我々に大きな利益をもたらすものと捉えています。

 

 

我々は今後、さらにテクノロジー、運用管理ノウハウ、及びインフラストラクチャの基礎技術をさらに押し上げていき、今日の輸送ソリューションを完全に補完するものとして、より安全かつ完成された自律型輸送ソリューションの姿を目指していきます。

 

ボルボとDFDSは、今回の取り組みを将来に向けた重要な出発点と考えており、同分野の進化をさらに推進させていきたい考えです。実際、テスト運用は既に開始されていることから、今後数年以内にソリューションの完成を達成させていく予定です」と話している。

 

 

 ちなみにABボルボ傘下のボルボトラックで、ヴェラの設計が本格化されたのは2017年春。イェーテボリのデザインスタジオでの活動開始が皮切りだ。

 

車両は、港や工場地帯など大量の物資を精緻な事業計画に沿って納入するために生み出された。この考え方には、ボルボが単なるトラック車両の製造・提供者になるという既存のビジネスモデルを超えて、あるハブから別のハブへ物資を運ぶ輸送サービスの提供者になることを意味している。

 

 

 なお海運企業のDFDSはコペンハーゲンに本社を置き、ナスダックコペンハーゲンに上場。欧州からトルコに至る地域でフェリーと輸送サービスを提供。年間売上高は170億デンマーククローネに達している。配する従業員数8000人。延べ20カ国に跨がって船舶業務並びにオフィス部門で勤務している。

 

また港湾サービス並びにコンテナターミナルをマネジメントするAPM Terminalsは、全世界で約70000人の従業員を配して76港・130ヵ国で事業運営中。最後に同プロジェクトは、スウェーデン運輸管理局及びスウェーデンエネルギーエージェンシーの支援を受けて実施される見込みとなっている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。