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2018年12月18日【テクノロジー】

アクセス、「ACCESS Twine for Car 2.0」を発表

坂上 賢治

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車載インフォテインメントの技術革新をさらに加速させるため、インターフェースデザインをさらに刷新

 株式会社ACCESS(アクセス、ACCESS CO., LTD.、本社:東京都千代田区、代表取締役:大石 清恭)は12月18日、車載インフォテインメント・プラットフォームとコンテンツストリーミング・サービスを組み合わせたOEM企業向けのWhite Label(ホワイトレーベル)ソリューションとしての最新版「ACCESS Twine(TM) for Car 2.0」の提供開始を発表した。(坂上 賢治)

 

 

この「ACCESS Twine for Car 2.0」は、来春早々の2019年1月8日に米国ネバダ州モハーベ砂漠所在のラスベガスで開催されるCES 2019 におけるイベント「SAE International Connect2Car 」にて世界初披露される予定だ。

 ちなみにこのACCESSは、1979年創業で1984年創立。主にインターネット接続機能を有する家電・情報端末向けウェブブラウザ「NetFront」の実装の開発・販売、電子出版プラットフォームの提供等を行なっている企業だ。

 

日本国内よりも世界に於いて著名な企業であり、それは2005年にハンドヘルドコンピュータのオペレーションシステム「Palm OS」の開発を行っていた米PalmSource(現、ACCESS Systems)を買収・傘下にしたことが契機で、当時は一躍話題を蒔いた。

 

「Palm OS」は、現在のiPhoneにも繫がるハンドヘルドコンピュータOSの草分け。日本の「禅」をヒントに、ニューヨーク州ロングアイランド生まれで現・人工知能の研究者であるジェフ・ホーキンス氏が1996年に販売したPDA(personal digital assistant)の名前でもある。

同機は限られたリソースしか持たない手の平に収まるデバイスでありながら、実践的なユーザインタフェースを実現させたことで1990年代のモバイルコンピューティングの世界で一世を風靡した。なおACCESSは、その後の2006年にネットワークソフトウェアの開発を行っている米IP Infusionを買収・傘下にしている。

 

 そんなACCESS は、自動運転が当たり前になりつつある昨今、運転から解放された車内空間・乗車時間を価値ある空間・時間を創設するべく今年4月に「ACCESS Twine for Car 」を提供したが、今回、その最新版として「ACCESS Twine for Car 2.0」をリリースした。

 

最新版では、デザインを刷新した拡張可能なHMI/UI(Human to Machine/User interface)、車載向け電子番組ガイド(Electronic Program Guide、EPB)、燃料補給や駐車場等の支払いサービスサポート等の新しいサービスを追加し、これをLinuxおよびAndroid向けに提供する。

 

 

この新たなザイン要素を取り入れたIVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ・Industrial Value Chain Initiative)についてACCESS Europe最高経営責任者(CEO)のDr. Neale Foster氏は「自動車業界では、かつてないペースで技術革新が進んでいます。

その中心となるテーマが、電気自動車と自動運転車です。これに伴い、豊富な情報やメディアを扱うエンターテインメント・サービスを提供する自動車メーカーにとって、顧客とのブランドエンゲージメントを強化する好機が到来しています。

 

ACCESSはこうした技術革新の最前線にいますが、今回のリリースにより当社の画期的な車載インフォテインメント・ソリューションをさらに強化します。『ACCESS Twine for Car 2.0』は、実装も容易で、独自性の高い自社ブランドのエンターテインメント・サービスの創造を可能にします」と話す。

 

 また同氏は「ACCESS Twine for Carは、自動車メーカー向けの柔軟なマルチメディア・コンテンツサービスであり、ソフトウェアコンポーネント、動画/音声コンテンツ著作権管理、コンサルティングサービスから構成されています。

このソリューションは、自動車業界とコンテンツ業界の間の障壁を取り除き、ドライバーや乗員がコンテンツを視聴する際の安全性、快適性、柔軟性を向上させるために開発されました。

 

自動車メーカーが自社ブランドとして、新しいコネクテッドサービスの導入やBYOD(Bring Your Own Device)環境への対応を図れるよう設計されています。

ドライバーや乗員は、車載エンターテインメントシステム上だけでなく、手持ちのモバイル端末をクルマのWi-Fiホットスポットに接続し、端末上でエンターテインメント・サービスを楽しむことも可能になりました」と新たなインターフェースデザインについて語っている。

 より具体的には、車載のインターネット環境を活用して新たなインフォテインメントサービスが提供できるよう機能強化した。例えばニュースや、天気予報、株価、フライト情報サービスなど様々な情報との統合が容易となり、パーキングや燃料の支払いといった補完サービスにも対応させている。

 

このため自宅にいるかのように飲み物の購入や個人のカレンダー管理を行うことも可能で、位置情報サービスとの連携により、小さく限られた画面上に於いても近隣のパーキングや店舗、小売店の位置情報や、店舗内のキャンペーン情報等も知ることができるという。

 

併せてBYODによる後部座席のエンターテインメントをサポートするためのマルチゾーン再生機能も拡張。クルマに持ち込まれる端末の種類の多様化に伴うコンテンツのDRM(デジタル著作権管理)をサポートするためのセキュリティも拡張した。

 

「ACCESS Twine for Car 2.0」の主な機能は以下の通り

    • HMI/UIの刷新により、新機能追加やプロモーションを迅速に実現。
    • 世界市場向け映画ラインナップを拡大。
    • 音声/動画OTTストリーミング(ラジオおよびテレビのライブ視聴と、キャッチアップ/オンデマンドのコンテンツを提供する電子番組ガイド付き)。
    • 車内Wi-Fiに接続された全デバイスの車内メディアライブラリーのコンテンツをインデックス化。
    • ヘッド・ユニットや後部座席エンターテインメントの両内蔵機器で利用可能なマルチゾーン再生機能が、個人のスマートフォンやタブレットとの連携。
    • ペアレンタル・コントロール機能。
    • あらゆるクラウドベースのサービスと拡張可能な、ニュース、天気予報、株価、フライト状況などの情報サービス。
    • 他の小売サービスと拡張可能な、駐車場/燃料支払い等の便利なサービス。
    • 近隣の駐車場検索、店舗検索、ショッピングなど、位置情報連動サービス。
    • 番組制作会社のストリーミングコンテンツ向けDRMサポート。
    • 車内環境でBYODの安全性を確保するためのプラットフォームセキュリティ。
  • 放送インフラ非依存のOTT配信。
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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。