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2020年8月17日【エレクトロニクス器機】

独ボッシュ、拠点の再生可能エネルギー体制を拡充

坂上 賢治

ボッシュ・ロゴ

ボッシュのエネルギー転換へ向けた取り組みは2020年以降も継続される

 

 独・ボッシュこと、ロバート・ボッシュGmbH(本社:シュトゥットガルト・ゲーリンゲン、代表取締役社長:Dr.rer.nat.Volkmar Denner <フォルクマル・デナー>、以下、ボッシュ)は日本時間の8月17日、再生可能エネルギーの供給プロバイダーであるRWE、Statkraft、Vattenfallとの間で、太陽光発電を利用した電力の長期独占購入契約を締結したと発表した。

 

同社は、各拠点での自家発電をさらに推し進めており、新たに建設されたウィンドパークやソーラーパークから長期的に再生可能エネルギーの供給を受けることも確定させている。こうした取り組みについてグループCEOのフォルクマル・デナー氏は「気候変動の進行は、少しも止む気配がありません。したがって、私たちの取り組みも手を緩めるわけにはいきません。

 

 

ボッシュは2020年末までに、カーボンフットプリントを一切残さないという野心的な目標を達成できる見通しです。ボッシュは世界中に400あるすべての拠点に於いて、クライメートニュートラルを実現することになります。

 

既にドイツ国内の拠点では、2019年末からすでにクライメートニュートラルを達成しています。このようなエネルギー転換へ向けた私たちの取り組みは2020年以降も継続します。

 

再生可能エネルギーへの投資が、その重要な証です。クライメートアクションにはコストが掛かるものの、エネルギー効率向上のための投資は特にコスト削減にもつながるため、何も対策を講じなければさらにコストが掛かるようになります」と自社の取り組みの先進性について訴えた。

 

ボッシュの2019年における世界全体での総CO2排出量(スコープ1+2)は約194万トン

 

 なお同社は来る2030年までに、上記デナーCEOが語った2つの施策を段階的に強化することで、生態学的な見地からのカーボンニュートラルのさらなる品質向上を図るとしている。また短期的な効果が見込める対策として、既存の発電所からグリーン電力を調達することで、さまざまなクライメートアクション施策でも避けることのできないCO2を完全にオフセットさせていくという。

 

 

このCO2オフセットについて先のデナーCEOは「2020年のカーボンニュートラル対策におけるカーボンオフセットの割合は、当初の計画よりも大幅に低下する見込みです。言い換えれば、私たちが取っている対策の質的向上が、予測以上に進んでいると言えます。

 

ボッシュは、自社のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を大幅に上げることを目指します。新たに締結した3件の太陽光発電による電力購入の長期契約は、この目標達成を後押しするものであり、またエネルギー転換の推進を後押しするものでもあります。

 

ボッシュの2019年における世界全体での総CO2排出量(スコープ1+2)は約194万トンで、これはすでに前年度のおよそ3分の1以下に削減されているということになります。そのためにボッシュは、新たに契約したRWE、Statkraft、Vattenfall各社の発電所から独占的に電力の供給を受ける予定です。

 

この電力は、3つのサプライヤーの補助金をまったく受けていないソーラーパークから公共の送電網を介して供給され、ドイツ国内のボッシュの拠点で消費されます。これにより2021年以降は年間あたり合計10万メガワット時以上をカバーできる予定で、これは最大で一般家庭3万世帯、またはボッシュのフォイヤバッハの拠点の電力消費量の70%に相当します。

 

 

仮に太陽光発電の条件が最適であれば、フォイヤバッハ、ホンブルク、バンベルクの工場の電力需要を同時に最低でも数時間は満たせるだけの、十分な最大出力が得られる見込みです。今回の長期契約の締結は、ボッシュのグリーン電力調達の一部に代わるもので、契約期間は12年から16年となっています。Statkraft社からはすでに、5月から電力が供給されています。

 

ボッシュ・グループは、ドイツ国外でも同様の長期契約の締結を目指しています。例えばメキシコでは、すでに最大でエネルギー需要の80%がこのような新クリーン電力で賄われています。メキシコの多くのボッシュ工場では、新たに契約した大手エネルギー会社Enel系列の風力発電基地から、年間約10万5,000メガワット時の電力供給を受けています。Enel社とは、15年にわたるパートナーシップ契約を締結しています」と話している。

 

6月末に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)技術を利用したSOFCシステムの稼働も開始した

 

 現在ボッシュは、再生可能エネルギー資源を利用した電力の独占購入に加え、自家発電の拡充も進めており、自社工場に設けた約50基の太陽光発電システムによる現在の年間発電量は、およそ6万メガワット時だという。

 

例えばインドのナシク工場には、このタイプではインド国内の自動車業界最大となる発電所があり、ボッシュは2030年までに拠点内での再生可能エネルギーの供給を合計40万メガワット時まで拡大させる。2020年中に完成予定のタイのヘマラート工場の太陽光発電システムは、年間あたり1,300メガワット時の発電量が見込まれている。

 

 

 さらにボッシュは、水力発電およびバイオマス発電のプロジェクトも進めている。水素から熱や電力を製造するような新しい手法では昨年、ボッシュが開発した定置用燃料電池のプロトタイプが、ホンブルクおよびバンベルクの拠点で稼働を開始した。これによりピーク時の電力需要は燃料電池でカバーされているとする。

 

ちなみにザルツギッターでは、フラウンホーファー研究機構およびその他の現地企業と連携して、水素キャンパスとして知られる水素センターを設立。資金はニーダーザクセン州に加えてザルツギッター市からも提供された。

 

加えてヴェルナウのトレーニングセンターでは、6月末に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)技術を利用したSOFCシステムが稼働を開始。テューリンゲン州では、アイゼナハにあるボッシュ工場のビーコンプロジェクトが進行中で、2022年までに太陽光発電システムを利用した自家発電および風力発電による電力の独占購入契約で電力需要を賄うとともに、AIを利用したエネルギー管理で需要を最低限に抑える試みを始めている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。