NEXT MOBILITY

MENU

2021年1月28日【イベント】

エフセキュアと加賀FEIが事業連携で記者会見を実施

松下次男

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 サイバーセキュリティ・テクノロジー・プロバイダーのエフセキュア(F-Secure、本社: フィンランド・ヘルシンキ、日本法人: 東京都港区) は1月28日、加賀FEI(本社: 神奈川県横浜市、荻原淳二社長) と日本で車載を中心にしたIoTデバイスのセキュリティコンサルティングサービスに関するパートナーシップ契約を結んだと発表した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

自動運転・コネクテッドカーの普及を背景に、セキュリティ対策の要望が相次ぐ

 

 オンラインで共同会見した両社はコネクテッドカーの普及を背景に、車載分野の「セキュリティ関連のコンサルティングサービスの要望が増えており、それぞれ両社の強みを生かすことで活動領域を拡大し、成長発展できる」と強調した。
 エフセキュアは過去10年以上、自動車関連、車載IoT機器の診断実績があり、ドイツの大手自動車メーカー4社やイタリアの自動車メーカーなどと車両全体を対象としたセキュリティ診断も実施し、数多くの診断実績を有する。
 さらに半導体チップの設計上の欠陥についてもこれまでに2つを開示。これらは独ボッシュの要請などに応じて診断したもので、未然に脆弱性を見つけるノウハウを持つ。
 日本でも車載IoT機器メーカーを対象に実機への攻撃テストを含むハンスオントレーニングなどの実績がある。とくに自動車や航空機分野などで多くの実績がある。

 

 

パートナーシップ契約の背景は「車載分野からの相談が需要なテーマになってきた」こと

 

 一方の加賀FEIは電子デバイス製品関連商社であり、2020年12月に富士通エレクトロニクスから現社名へ変更。2019年に加賀電子が株式の70%を取得してグループ化したため。
 現在の株主構成は加賀電子85%、富士通セミコンダクター15%となっており、FEIは富士通の英語表記という。
 荻原社長はパートナーシップ契約を結んだ背景として「車載分野からの相談が需要なテーマになってきた」ことを掲げた。このため、車載分野のセキュリティ診断に強みを持つエフセキュアと日本の顧客が多い加賀FEIとの連携が生かせると判断した。
 両社はすでに日本で2018年から協業を開始しており、依頼プロジェクト依頼件数は10数件にのぼる。荻原社長は車載関連事業について「今後5年、10年の長いスパンで高まっていくだろう」と述べた。

 

日本の車載IoT機器分野でセキュリティ環境を進化させていきたいという意欲を示す

 

 近年、多くの自動車がWi-FiやBluetoothなどを経由して車両外との通信を行うコネクテッドカー化が進み、車両はもはや複雑なソフトウェア/ハードウェアの集合体となっている。
 こうした中、通信可能デバイスの増加とともに外部からのアタックサーフェス (攻撃可能領域) も広がってきており、2015年のジープ・チェロキーのハッキング実験などを機に、車両・車載機器メーカーはデバイスの一層のセキュリティ対策が迫られている。
 エフセキュアのアジアパシフィック地域担当バイスプレジデントのキース・マーティン氏 は「外部ネットワークとの接続可能なコネクテッドカーは急速な成長が期待される分野。両社の提携で、日本の車載IoT機器分野でセキュリティを進化させ、安全な自動車の実現に寄与したい」とコメントした。

 

 

両社が得ている信頼とサービス・技術を組み合わせることによる相乗効果に期待

 

 荻原社長は両社のパートナーシップ契約について「自動車分野が中心となるだろう。エフセキュアの知見とノウハウ、加賀FEIの信頼とサービスを組み合わせることで相乗効果が期待できる」と述べた。
 車載機器を中心にしたIoT機器のコンサルティングサービスにおける活動領域は、商品企画から開発・設計、テスト・評価、出荷・運用に及び、それぞれの領域でセキュリティトレーニングやセキュリティガイドライン作成支援、脅威分析、ペネトレーションテスト、セキュリティインシデント管理支援などの活動を行うことになる。
 実用化が始まった5G(第5世代移動通信サービス)についてもハードウェア診断からバックエンドネットワーク診断まで多数の実績があり、今後、診断サービスの依頼が増えるだろうと見ていた。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。