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2021年2月25日【エレクトロニクス器機】

JEITA、AV&IT機器の世界需要動向を発表

山田清志

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電子情報技術産業協会(JEITA)は2月25日、フラットパネルテレビやPC、カーナビゲーションシステムなどのAV&IT機器の世界需要動向に関する冊子 を発行し、その説明会を開催した。この調査は1991年から継続的に実施しているもの で、今回が31回目になる。外部機関の富士キメラ総研が策定した2025年までの需要に関する数値をベースに、JEITAのAVC部会をはじめとした関連事業委員会参加会社を対象としたアンケートなどの結果をもとにとりまとめた。(経済ジャーナリスト 山田 清志)

 

 

テレビの需要は先進国と新興国が対照的に

 

「2020年1月時点では、2020年から2021年は堅調なGDPのプラス成長が各国で見込まれていたが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響によって、2020年は各国でマイナスに転じた。下落幅は3.7~13.8ポイントと各国で大幅な見直しとなった。先進国はユーロ圏各国でのロックダウンにより、大きくマイナス成長に転じた。新興国もこれまで世界GDP成長を牽引し、AV・IT機器や自動車需要が好調であったインドで13.8ポイントものGDPのマイナス変化が生じた」と、富士キメラ総研の小林秀幸主任はまず世界経済について振り返り、各製品についての説明を始めた。

 

フラットパネルテレビは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により各地域で需要の変化が起こった。買い替えが進む日本のほか、北米、西洋の一部の国で在宅時間の増加によって需要が高まったことに加え、給付金支給の効果によって販売が増加した。一方で、大規模なロックダウンを行った中国や、新型コロナウイルス感染症の影響が続いている新興国では、経済が停滞し、需要が大きく減少した。

 

 

その結果、20年の世界需要は前年比0.4%減の2億4025万台となった。今後は新興国を中心に20年の需要減少に対する反動増が見込まれる反面、欧米先進国では20年の需要増加に対する反動減が予想されることから、21年の世界需要は同1.1%減の2億3757万台と微減を見込む。25年の需要については、2億5282万台と20年比で5.2%増と予想する。

 

日本国内の需要は、21年も地上デジタル放送移行時の特需からの買い換え需要が維持され、東京オリンピック・パラリンピックの効果も寄与し、548万台と20年を1.0%上回ると見ている。そのほか、4K対応が標準となっていくことに加え、大型テレビの低価格化によって需要が増加することから、4K化率は右肩上がりに上昇し、25年に世界で68.7%、日本では64.9%に達すると見込んでいる。

 

 

PCはリモートワークなどで前年比3.9%増

 

PCの世界需要については、19年にウインドウズ7のサポート終了を控えての買い換え需要が増加したことから、その反動により20年の需要は減少に転じると予想されていた。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワークやオンライン授業などに向けたノート型の需要が増加し、前年比3.9%増の2億8350万台となった。

 

小林主任によれば、20年は法人、個人のいずれも買い換えタイミングが前倒しになったことによる需要増加があったと見られ、21年以降の需要は20年の需要増加の反動による減少傾向が続くとのことだ。ちなみに21年の世界需要は前年比3.4%減の1億7400万台と見ている。

 

日本国内については、新型コロナウイルスの感染拡大を背景としたリモートワーク向けのノート型需要喚起やGIGAスクール関連需要が増加したが、19年のウインドウズ7のサポート終了を控えての買い換え需要増加の反動による需要減少をカバーすることができずに、20年は前年比12.8%減の1290万台となった。21年は1230万台(同4.7%減)を見込み、以降も需要減少傾向が続くと予想している。

 

ドライブレコーダは25年に約1.8倍の4130万台に

 

カーナビゲーションシステムについては、20年は自動車の販売台数の減少、スマートフォンとの競合によるPND(ポータブルナビ)の減少から市場が大幅に減少。21年以降は自動車販売台数の増加とADAS対応車の増加に伴い、IVI(イン・ビークル・インフォテインメント)システムを中心に需要が回復していくものの、PNDの減少は継続することからカーナビシステムのトータル市場としては微増となっている。20年が3376万台に対し、25年が3539万台という具合で、年平均0.9%の伸び率だ。また、25年にはカーナビ市場のなかでIVIシステムの割合が7割近くになると見ている。

 

 

カーオーディオについても、カーナビと同様で、20年は市場が約9000万台から7072万台へと大きく縮小した。「オーディオ機能は自動車において必須機能であることから、自動車販売台数の回復とともに市場が上向くと見られ、今後はディスプレイオーディオを中心に市場は徐々に回復していく」(小林主任)そうだ。ディスプレイオーディオ市場は20年の2172万台から25年には4036万台へと、年平均13.2%という高い伸び率を示すと見込んでいる。

 

 

ドライブレコーダも20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出が減少したことから需要も減少したが、21年以降収束に向かう中で再度拡大傾向に転じていくと見ている。「全世界的に万が一の際の映像記録ニーズやセキュリティニーズを満たすために自動車への搭載は拡大していくと見られ、アフターマーケットのみならず純正での装着も増加していく」と小林主任。20年に2330万台だったものが25年には4130万台と約1.8倍になる見込みだ。

 

高解像度化はもちろんのこと、AI対応、通信対応のドライブレコーダも増えてきているという。例えば、AI対応では、車内外の画像や映像を瞬時に判断し、あおり運転や居眠り運転、急接近など危険な状態にある場合、即座に警告を発し、ドライバーに注意を促す。また、通信対応のドライブレコーダは、リアルタイムに社内外の情報を遠隔地で確認することができるため、法人向けを中心にニーズがあるそうだ。

 

こうして主なAV&IT機器の世界需要動向を見てきたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響によって、大きく需要が変化した年だった。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。