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2020年12月16日【テクノロジー】

JEITA、21年の電子機器市場の世界生産見通しを発表

山田清志

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 電子情報技術産業協会(JEITA)の石塚茂樹会長(ソニー副会長)は12月16日、オンライン会見を開催し、2020年の振り返りとともに21年の電子情報産業の世界生産見通しを発表した。それによると、新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念はあるものの、ITリモートをこれまで以上に活用する動きが広がり、初めて3兆ドル(約330兆円)を超えるそうだ。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

世界生産額

 

自らデジタル化を進め、事務所の面積を半減

 

 JEITAもやはり2020年は新型コロナウイルスに振り回された1年だった。主催する展示会である「CEATEC」と「Inter BEE」は開催について散々悩んだ末、初めてオンライン開催をすることになった。しかし、新たな取り組みということもあって、初日にアクセスが集中して数時間つながらないというハプニングが起こった。また、JEITA事務局の働き方改革にも取り組まざるを得なくなったそうだ。

 

「具体的には、オンライン会見を実施している『JEITAスタジオ』の新設、そして10年ぶりにオフィスを改装し、フリーアドレス型のオフィスに生まれ変わらせた。これまで業界団体の活動は対面が基本だったが、リモートが主体となった。理事会をはじめとした数千回の会議・講演会のオンライン開催、職員のテレワーク推進、ペーパーレス化の推進など、デジタル技術を活用した業務改革を進めている。現在、事務局職員の出社率は3割を切っている」と石塚会長は冒頭、2020年にJEITA内で取り組んだことを説明する。

 

このデジタル化の流れはアフターコロナにおいても変わらないという認識で、ニューノーマルにおける経営基盤の改革として、本部事務所の面積半減とデジタル対応設備導入のためのリノベーションを実施していく計画だ。

 

日系企業の世界生産額

 

世界に比べて回復が遅れている日系企業

 

 さて肝心の電子情報産業の世界生産状況と見通しだが、2020年は2兆9727億ドル(約307兆円)と前年比2%の増だった。新型コロナウイルス感染症の拡大により、電子機器の需要は全体的に急減速となったが、テレワークやオンライン授業の普及によるパソコンの増加、データ通信料の急増を背景としたデータセンター向け半導体需要の拡大、さらにはデータ活用の高速化によるソリューションサービスの増加が寄与した。

 

しかし、日系企業の生産額については、前年比5%減の35兆1684億円(海外生産分を含む)と見込んでいる。そのうち、国内生産額は同5%減の9兆7896億円を見込み、世界から取り残されている感じだ。これはパソコンや電子タブレット端末などは増加したものの、自動車やスマートフォン向け需要の減少などにより、電子部品やデバイスなどの生産額が減少したためだ。

 

 「2021年は、感染再拡大の懸念や先行きの不透明感はあるものの、ITリモートをこれまで以上に活用する動きが拡がり、ソリューションサービスの需要拡大が予想されること、また自動車需要の回復や環境対応、5G端末の普及などにより電子部品・デバイスの伸長が期待できることから、世界生産額は前年比プラス7%の3兆1756億ドルとなり、初めて3兆ドルを超えて、過去最高の生産額を更新する見通しだ」と石塚会長は説明する。

 

ITリモート市場

 

品目別では、特にソリューションサービスの伸びが著しく、20年、21年ともに過去最高の生産額を更新する見通しだ。そしていまや1兆ドルを超える市場になりつつあり、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、その勢いはさらに加速していくと見ている。

 

 日系企業の世界生産額についても、21年はリモート技術の導入があらゆる場面で進むことで、IoT機器やソリューションサービスの需要拡大が見込まれ、電子部品・デバイスも5GやEV化などで日系企業の高性能部品に対するニーズが高まることから、前年比3%増の36兆2977億円と見通した。また、国内生産額についても、前年比4%増の10兆1453億円とした。

 

ITリモート市場は30年には4倍の228兆円に

 

そして、毎年行っている注目分野に関する動向調査を発表した。今年は新型コロナで一気に加速した「ITリモート」に焦点を当て、2030年までの世界需要見通しをまとめた。

 

「テレワークやWeb会議、遠隔医療、オンライン教育、遠隔操作、映像配信など、民生用と・産業とを問わず、オフィス、病院、学校、スタジアムなどさまざまな場面でITリモートの活用は拡がっていく。また、新たなサービスが生まれ普及していくことも予想される。そんなことから、ITリモート市場の世界需要額は年平均14.8%で成長し、2030年には228.3兆円と、2020年に比べて約4倍に拡大すると見通した」と石塚会長。

 

分野別需要見通し

 

 さらにJEITAでは、ITリモート市場の分野をテレワーク、医療介護、教育、流通・物流、エンタメ・スポーツ、行政、インダストリ、その他の8つに分類。30年に世界需要額の大きいのはインダストリ(53.3兆円)、流通・物流(27.8兆円)、テレワーク(20.7兆円)、エンタメ・スポーツ(19.0兆円)で、スマートファクトリーを実現するロボットをはじめ、工場や倉庫の自動化を支えるソリューションが市場を牽引すると見ている。

 

日本国内におけるITリモート市場は、30年に12.8兆円となり、市場の大きい分野は順に、インダストリ(2.9兆円)、テレワーク(1.4兆円)、流通・物流(1.2兆円)、エンタメ・スポーツ(1.1兆円)となっている。

 

いずれにしても、デジタル化、リモート化、そしてDXに乗り遅れた企業は、これから先の成長が厳しくなっていくのは間違いないだろう。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。