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2020年7月20日【エネルギー】

川崎重工、自律型無人潜水機でAPB製全樹脂電池の活用実証へ

坂上 賢治

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川崎重工製AUV「SPICE」の外観

 

 川崎重工業(本社:東京都港区・兵庫県神戸市、代表取締役社長執行役員:橋本康彦)は7月20日、自らが開発する自律型無人潜水機(AUV(Autonomous Underwater Vehicle)に次世代型リチウムイオン電池の「全樹脂電池」を搭載し、実証試験を開始した。(坂上 賢治)

 

今回使用される全樹脂電池(ケース外観)

この全樹脂電池は、三洋化成工業(本社:京都市東山区、代表取締役社長:安藤孝夫)の関係会社、APB(本社:東京都千代田区、代表取締役:堀江英明)が開発したもので、川崎重工が2020年7月から開発しているAUVの動力源として、耐水圧型の全樹脂電池が搭載されることになったという経緯がある。

 

 川崎重工業のAUVは、潜水船関連技術を応用し海中設備の保守・点検を行うことを目的に製造されており、深海などの過酷な環境で長時間に渡って水中作業を行うことが必要となる。

 

APBはこの要求に応えるため、構成部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型の全樹脂電池を開発。全樹脂構成であることから、れまでになく高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現していることからセルの大型化が可能で、かつ形状自由度が高い。結果、積層化した際にエネルギー密度が高密度化するという特徴を持っている。

 

そのため船体中の限られた空間内に搭載可能な電池容量を拡大できることになり結果、長時間稼働が実現できる。加えて海底の高い水圧環境に耐えられるという条件についても、すでに全樹脂電池が高い耐水圧性を有することから、早々にAUV実機での搭載実証が始められたという経緯がある。

 

 ちなみに第1段階の実証試験では、川崎重工の神戸工場内岸壁の試験エリア内でAUVの出力試験を行う。さらに相次いで「連続航続距離」、「充電特性」や「耐水圧性」など多様な試験を消化していく予定だ。なおこれを受けたAPBは、大型定置用蓄電池向けなど全樹脂電池の用途展開をさらに促進させ、将来的には新しい社会インフラとして確立するよう開発を続けていくという。

 

APBの会社概要は以下の通り
設立:2018年10月
代表者:堀江 英明
事業内容:リチウムイオン電池の研究開発・製造・販売等
所在地:東京都千代田区神田須田町1-3-9 PMO神田万世橋3階

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。