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2020年6月30日【アフター市場】

ミシュラン、新スタッドレスの「X-ICE SNOW」発表

松下次男

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投入市場は日本・北米・中国・ロシア・北欧、SUVに対応しサイズ数は大幅増に

 

 日本ミシュランタイヤ(東京都新宿区、ポール・ペリニオ社長)は6月30日、スタッドレスタイヤ新製品発表のオンライン記者会見を開いた。投入する新スタッドレスタイヤは「ミシュラン エックス アイス スノー(X-ICE SNOW)」シリーズで、アイス性能と雪上性能をともに向上したのが特徴だ。8月11日から順次、発売する。新スタッドレスタイヤの投入は3年ぶり。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 

 ペリニオ社長は新スタッドレスタイヤについて、「トータル・パーフォーマンス」を提供する冬用タイヤだと強調した。冬季の使用環境、ユーザーニーズを徹底的に分析し、どんな路面環境でも「より安全に移動できる」よう、多機能で、かつ高いレベルで性能発揮できるものという。

 

新型コロナウイルス感染症の影響で移動の制限もあり、「モビリティの重要性が改めて認識された」とし、現代社会においてモビリティがもたらす恩恵はとても大きいとの見方を示したうえで、ユーザーの「より良い体験に貢献できる」ようになることを願っているとも述べた。

 

 

 また、新型コロナ感染症の影響が懸念される中での投入となるが、ペリニオ社長は「4、5月の市場は厳しかったが、6月に入ってからはニーズ、トレンドに持ち直し兆しが出てきている。特にハイパーフォーマンス製品への関心が高まっている」と述べ、市場回復に期待感を示した。特に市販用タイヤは「今年発売の新車用と異なり、市場に出回っているすべてのクルマが対象となる。冬季に求める人は多い」とした。

 

 投入する「エックス アイス スノー」は14~22インチの合計84サイズ。投入市場は日本のほか、北米、中国、ロシア、北欧。こうしたグローバル展開に加えて、人気車種であるSUVへの対応を充実させたことで、サイズ数が大幅に増えた。価格はオープン。

 

 

アイス性能と雪上性能ともに向上、アイスブレーキング性能9%向上

 

ミシュランタイヤは、1982年にわが国でスタッドレスタイヤを最初に市場投入した先駆者だ。また、開発も北海道の士別でテストするなど日本で主導。海外メーカーという不安は「全くない」と黒谷繁希ブランドマネージャーは述べた。

 

新スタッドレスタイヤはこのように日本の冬季路面を時期、地域、時間帯などのあらゆる角度から分析、想定されるすべての路面環境で高いレベルの性能を発揮できるよう開発。その性能が装着初期だけでなく、履き替え時までなく続くようコンパウンド、溝形状、サイプの深さや数などを全面改良したものだ。

 

 

その性能を、評価の高い現行のスタッドレスタイヤ「エックス アイス3」と比べても、アイスブレーキング性能で9%、雪上ブレーキング性能で4%それぞれ向上。また、性能維持力、ロングライフ性能についても「明らかに向上が分かる」と強調、剛性感を保ちつつ、かつしなやかさが長持ちする製品に仕上がったという。

 

 

こうしたタイヤ性能が発揮できようになったのが新たに採用した新コンパウンドや形状の改良だ。
「エバー・ウインター・グリップ」と名付けた新コンパウンドは、剛性の高いポリマーベースの材質を配合し、ベースコンパウンドとの摩擦差により微小な凹凸を生成。この凹凸がエッジ効果と水膜を破って接地し、アイスグリップを高める効果、雪上に対しては「雪踏み効果」を発揮する。

 

 

また、形状では「新世代Vシェイプトレッドパターン」を採用。サイプの長さを従来品より28%増加することで、エッジ効果を強化、シャーベット路面やウエット路面で効率よく雪や水を排出し、安定したグリップ性能を発揮できるようにした。
販売目標については、具体的な数値は示さなかったものの、「市場の伸びを上回る成長を目指す」と述べ、スタッドレスタイヤ市場のリード役を果たす意向を示した。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。