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2020年7月30日【アフター市場】

テュフ ラインランド、愛知県にモビリティ技術開発センター

山田清志

 テュフ ラインランド ジャパンは8月1日から「モビリティ技術開発センター」を稼働する。今後急速にニーズが高まることが予想される車載用電子部品のEMC(電磁両立性)・ワイヤレス試験に対応するための自動車産業に特化した施設で、周辺に自動車産業が集積する愛知県知立市に開設された。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

 

CASEの試験から認証までワンストップで提供できる

 

「現在の自動車には、さまざまな機能を電子回路で制御するECUが多く搭載されており、今後コネクティッド、先進運転支援システム、シェアサービス、電動化など、いわゆるCASEの導入に伴い、さらにECUの搭載が増加する見通しだ。当社が誇る自動車関連技術と無線技術を結集した試験場であるモビリティ技術開発センターを開設したことにより、CASEの試験計画から認証に至るまでをワンストップで提供する体制が強化された」

 

テュフ ラインランド ジャパンのトビアス・シュヴァインフルター社長は7月30日に行ったオンライン会見でこう挨拶した。テュフ ラインランドと言えば、約150年の歴史を持つドイツの第三者認証機関で、56カ国に500拠点、227カ所の試験場を持つ。全世界で約2万人の従業員を抱え、売上高は21億ユーロ、日本円で約2500億円。そのうち約半分がドイツ国外の売り上げとなっている。

 

 

「1904年にドイツで自動車の車検と運転免許制度が始まると同時に、運輸・交通部門を立ち上げた。それ以降110年以上にわたり、自動車技術の発展とともに、自動車産業の技術開発と安全に関わってきた。現在、運輸・交通部のほかに、産業サービス部、製品安全部、教育・ライフケア部、システム認証部の計5つの部門で事業を展開している」とテュフ ラインランド ジャパン運輸・交通部の有馬一志部長は説明する。

 

日本では、1978年に事務所を設立し、5年後の83年に日本法人を設立。現在、今回のモビリティ技術開発センターを含めて日本国内に7拠点あり、約400人の従業員が働いている。

 

「われわれは欧州指定の技術機関として、今後のニーズに応えるためにモビリティ技術開発センターを設立し、高度な車載電子システムに対して車両全体の安全性適合評価を行い、自動車を使用するユーザーに安全安心を提供する役割を担っていこうと思っている」と有馬部長。

 

 

モビリティ技術開発センターは今後の発展につながる大きな一歩

 

さて、今回開設したモビリティ技術開発センターだが、2階建てで延べ床面積は1154平米。2階がオフィスとなっており、1階に車載機器用電波暗室2室、車載機器・ワイヤレス機器用電波暗室1室、シールドルーム1室、テストルーム1室が並んでいる。

 

これにより、車載されるECUや電気・電子機器のEMC試験、そしてスマートキーレスをはじめとしたSRD(短距離デバイス)の無線試験を行うことができる。EMC試験には、EMI(電磁妨害性/エミション)試験とEMS(電磁耐性/イミュニティ)試験の両方が含まれている。

 

 

有馬部長によると、ECUが正しく動作するためには、外部への電磁波を出して他の電子機器への影響を与えないように放射(エミッション)を抑制するとともに、外部からの電磁波の影響を受けないように耐性(イミュニティ)を確保するのが重要とのこと。もし、エミッション抑制とイミュニティ確保が適切に行われないと、トラックが通過した近隣のテレビやラジオの電波が乱れたり、階部からの電磁波でエンジンがかからなくなるという事象が発生してしまう。

 

これらの事象を回避するために自動車のEMC法規が定められたわけだが、今後CASE技術が進むにつれ、その安全法規も増加していくという。「このことは今後、第三者認証機関のサポートにより、技術的・法規的な適合性を評価する需要がますます増加するであろうということを意味している」と有馬部長と話し、モビリティ技術開発センターが果たすべき役割は大きいと見ている。

 

 

テュフ ラインランド ジャパンはこれまで完成した製品の試験や認証が主体だったが、これからは新しい部品やシステムの企画段階から相談を受けたり、技術的なサポートにも力を入れていく方針だ。シュヴァインフルター社長は今回のモビリティ技術開発センターの稼働について「今後の発展につながる大きな一歩だ」と強調していた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。