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2019年1月9日【テクノロジー】

新日鐵住金、鉄のみで次世代自動車の構造コンセプト構築

NEXT MOBILITY編集部

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新日鐵住金は、1月9日、鉄のみを使用しながらも軽量化や燃費向上などに寄与する次世代自動車の構造コンセプト“NSafe®-AutoConcept”を構築したと発表した。

 

 

これは、自動車メーカー各社の車体軽量化・衝突安全ニーズの高まり、EV等の新エネルギー車や自動運転の普及など、昨今の自動車産業における大変革期をビジネス進化の新たな起点と捉え研究開発したもの。

 

 

次世代自動車及びその各パーツに求められる性能を想定し、先進的な素材開発はもちろん、最大限に素材性能を引き出すための部品構造やその構造を具現化する加工技術を組み合わせることによって実現。

また、同社が得意とする鉄鋼素材のみを使用することで、次世代自動車における新たな「鉄の可能性」を示すことも目的としている。

 

当該コンセプトにより同社では、各部材の機能を高めることで、軽量化ソリューションを中心に、燃費や電費性能はもちろん、衝突安全性能、走行性能や音振動・静粛性能に至るまで、自動車全体の付加価値の向上策を提案していくという。

 

NSafe®-AutoConceptの概要は、以下の通り。

 

(1)「鉄を極める」ことによる30%軽量化の実現

 

鉄鋼素材のみの適用に限定しつつも、約30%の軽量化を達成する車体設計ソリューションを提案。

アルミを適用したオールアルミ車の質量に匹敵し、他の素材を用いることなく、軽量化が達成でき、更には衝突安全性向上にも寄与。

 

また、今後は更なる軽量化を見据え、鉄のポテンシャルを最大限活用すると共に、「鉄を主体とするマルチマテリアル化」も一つの視点として軽量化に取り組んでいく予定。

 

 

(2) 部品構造の設計条件に踏み込んだソリューション提案

 

 

顧客の開発や設計段階で貢献できるようなソリューション提案も実施。

具体的には、引張り強度が2.0GPaまでのハイテン等の素材を部品性能に応じて適正に選択し、必要特性を担保しつつ、部品を構成する板厚の低減や部品統合を図っている。

 

また、電動機付き車両のバッテリー構造に関しては、車体骨格の構造コンセプトの知見を活用しつつ、耐食性と耐火性に優れた鉄製構造コンセプトを開発。

 

 

 (3) 新日鉄住金グループ総合力の発揮

 

同社グループは、「従来のガソリン車の各部品から電動化により増加する電池やモーターに至るまで、あらゆる主要部材に精通した素材・サービスの提供が可能」であることが強み。

今後は、その強みを生かし、顧客の抱える課題に対し、グループ一体となって取り組むことで、「さらなる総合力の発揮」を目指す。

 

 

なお、同社では、1月16日(水)~18日(金)に東京ビッグサイトで開催される「第11回 オートモーティブワールド」に出展。

“使命。クルマの未来をデザインする。”というメインコンセプトによるブース内で、“NSafe®-AutoConcept”の要素技術を紹介する予定だ。

 

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。