NEXT MOBILITY

MENU

2023年12月12日【自動車素材】

パナソニックエナジー、米シラ社からLiBシリコン負極材調達へ

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

パナソニックエナジーは12月12日、電気自動車(EV)の車載用リチウムイオン電池の更なる性能向上を目的に、米国のリチウムシリコン電池メーカーである「Sila Nanotechnologies (シラ・ナノテクノロジーズ/以下、シラ社)と、電池の負極で使用する次世代シリコン材を調達するための売買契約を締結したことを発表した。

 

シリコン材は、現在リチウムイオン電池の負極材に広く使用されている黒鉛に比べ、理論値で約10倍という高い容量を有する特徴を持ち、電池性能向上の鍵となる材料と言われているが、充電時に膨張しやすい特性により電池を劣化させるため、その添加率を高めることが困難という課題があり、業界では長年研究開発が行われてきたと云う。

 

パナソニックエナジーでは、世界規模でEVシフトが進む中、その需要に対応するため、車載電池の生産拡大や、EVの航続距離向上に寄与する電池セルのエネルギー密度の向上や長寿命化を推進。従来からシリコン材を使いこなす技術開発を積極的に行い、業界で初めてシリコン材を使用した車載電池の量産化に成功するなど、エネルギー密度の進化で世界をリードしてきた。

 

しかし、2030年度までに電池のエネルギー密度を現状の800Wh/Lから+25%の1,000Wh/Lまで向上させるという目標達成のためには、更に高容量な次世代シリコン材による技術革新が必要であることから、シリコン材の調達網拡大のため、今年7月の英国のネクシオン(Nexeon)社との売買契約に続いて、米国のシラ社と車載電池の負極に使用する次世代シリコン材の売買契約を締結。

 

シラ社の次世代シリコン材「Titan Silicon(タイタン・シリコン)」は、従来のシリコン材と比較して高容量かつ充電時の膨張抑制が可能な材料であることから、自社の電池技術と組み合わせることで、負極材中の黒鉛をより多くシリコンに置き換え、エネルギー密度を向上させることか可能になると云う。

 

 

現在、パナソニックエナジーでは、北米を重点地域とした車載電池の生産拡大に向け、サプライチェーンの強靭化に取り組んでおり、材料確保の安定性の観点からも、その現地調達比率の向上を推進。

 

今回のワシントン州に工場を有するシラ社との戦略的パートナーシップの締結は、北米に於けるサプライチェーン構築のみならず、物流に於けるカーボンフットプリント(※1)の低減や輸送費等のコスト削減にも寄与すると考えていると云う。

 

※1)カーボンフットプリント:原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2換算で表した数字。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。