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2022年9月5日【企業・経営】

シェフラー、中国で冷却制御ユニットの生産が500万台に到達

坂上 賢治

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シェフラーは9月5日、中国当地で「サーマルマネージメントモジュール(TMM)」の生産台数が500万台に達したと発表。同社の湘潭工場で中国ディビジョンの役員、オートモーティブ・テクノロジー事業部の経営陣の他、湘潭、安亭、太倉各拠点の従業員が一堂に会し、サーマルマネージメントモジュールの生産台数が節目に到達した事を祝った。( 坂上 賢治 )

 

 

TMMはPUの冷却効率を高めるべく冷却制御を集約し効果化を実現する

 

ちなみに、この〝サーマルマネージメントモジュール〟は、搭載されている動力源を問わず多様な自動車へ搭載されており、パワーユニット(PU)の冷却効率を高めるため冷却流路の制御を1箇所に集約して効果的に流量制御を行うための装置である。

 

昨今はBEVだけではなく、電動モーターと並列に使用される内燃エンジン搭載車の場合でも、ターボやスーパーチャージャー等の過給器の熱効率を高めて更なる低燃費を実現するべく、細やかかつ強力な冷却コントロール能力が要求される。

 

その目的達成のためにはサーマルマーネジメントモジュールが最適である事から、現時点でBEVのみならず、内燃ハイブリッドエンジンが伸び続けている中国当地で、同モジュールの生産は拡大の一途を辿っている。

 

実は、当地の自動車技術会にあたる中国汽車工程学会(中国自動車技術者協会)の技術ロードマップによると「来るべき2035年段階では、低燃費車(ハイブリッドカーなどの節能車)とNEZ(BEVなどの新能源車)が5割ずつである事が望ましいとする指針が示されている。

 

それゆえ世界でも急激なBEV化が進む中国に於いても、内燃エンジンが搭載された低燃費車が果たす役割は未だ高い状況にある。そうしたなかシェフラーは、TMM生産とその事業開発に於いて漁夫の利を得ているようだ。

 

 

当地拠点のCEOは、成し遂げた成果を称えると共に更なる躍進に期待

 

この実績にシェフラー・グレーター・チャイナ( Schaeffler Greater China )のザン・イリンCEOは式典のスピーチで「チームが成し遂げた成果を称えると共に、更なる躍進を期待しています」と激励した。

 

また中国当地に拠点を構えるシェフラー・グレーター・チャイナ、オートモーティブ・テクノロジー事業部チェン・シャンビン社長は「シェフラーの自動車事業ポートフォリオ下で、サーマルマネージメントモジュールは、今後も飛躍的な成長が期待される重要な分野です。

 

当社の中国チームによる懸命な努力と、お客様からの信頼と支援と共に、我々の生産が長年に亘って成長し続けている事を非常に嬉しく思います。

 

 

ガソリンエンジン車のサーマルマネージメントモジュールを2011年に市場投入

 

この事は当社の製品と技術、中国現地での当社の能力が、多様なお客様のニーズに応えられている事を証明するものであり、また、顧客志向サービスによって、多様なニーズに迅速に対応している事実を示すものです。

 

車両をより効率的で使い易いものにするために、サーマルマネージメントは縁の下の力持ち的存在です。

 

電気自動車(BEV)やハイブリッド車(PHEV・HEV)から内燃エンジン搭載車に至る迄、サーマルマネジメントはパワートレインの効率性向上、快適な乗り心地、そしてCO2排出量の削減に重要な役割を果たしています。

 

またニューエナジービークル(NEZ)でも、走行距離を伸ばしたり、電気駆動システムの安全性を高めたりする事にサーマルマネージメントが寄与します。

 

シェフラーは2011年に、ガソリンエンジン車のパワートレインに使用する最初のサーマルマネージメントモジュールを市場投入して以来、継続的にサーマルマネージメントモジュールの生産に携わってきました。

 

 

シェフラーはサプライチェーンの現地化を推し進めて市場占有率を高めてきた

 

それ以来、同モジュールと関連コンポーネントを、プロダクトデザイン、精度、効率そして部品の統合レベルで一貫して改良し続けてきました。

 

例えば内燃エンジン車向けのサーマルマネージメントモジュールは、メカトロニクス設計で、高いコンパクト性と効率性を特徴としており、効果的なエンジン暖機運転時間の短縮、車内快適性の向上。更にWLTCモードでの2%から4%の燃費削減に寄与しています。

 

当社は2016年に中国でサーマルマネージメントモジュールの生産を開始。現在では、湘潭および太倉の生産拠点に生産ラインを構築しています。

 

以降、長年に亘り、シェフラーはサプライチェーンの現地化を進め、先進的な製造技術を採用し、クラス最高の品質、高いコスト競争力、信頼性の高い納期で、顧客や市場からの高まる要求に応えていく事で市場占有率を高めてきました。それに併せお客様も当地のローカルブランドや合弁会社へと拡大し続けています」と話している。

 

 

韓国・日本・ドイツ・米国でも各地に適したTMM開発の手綱を緩めない

 

一方でシェフラーAGの電動モビリティ事業部門を担うヨッヘン・シュレーダー博士は「シェフラーは、車両のインテリジェントなサーマルマネージメントシステムの先駆的企業であり、メカトロニクス製品で当社の強みを示しています。

 

電動化によりサーマルマネージメントの複雑さは著しく増大しています。そうしたなかで当社は、何十年にも亘る内燃機関エンジンに向けのサーマルマネージメントモジュールの開発・製造から深いノウハウを構築すると共に、今後の電気自動車に向けても革新的なソリューションを開発しています」と語っている。

 

なおシェフラーは、上記の中国に加えてチェコ共和国のランシュクロウンとスビタビ、加えてメキシコのイラプアトでもサーマルマネージメントモジュールを生産している。同社はこれを足掛かりに韓国・日本・ドイツ・米国でも各地に適したサーマルマネージメントモジュールの開発を精力的に推し進めている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。