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2020年8月4日【エレクトロニクス器機】

ソニーの2020年第1四半期決算、純利益が53%増

山田清志

 コロナ禍でもソニーの業績が好調だ。8月4日に発表した2020年度第1四半期(4~6月)決算は純利益が前年同期比53.3%増と大幅増益だった。営業利益は同1.1%減だったが、売上高は同2.2%と増収。9月末の配当も前年比5円増配の25円で、1000億円を上限とする自社株買いも決定した。最終赤字を計上したパナソニックとは対照的な決算だった。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

好調なゲーム事業が業績に大きく寄与

 

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である、という言葉があるが、私たちも環境の変化に柔軟に対応し、それぞれの事業領域で集中力を高め、事業運営に取り組んでいる」

 

副社長の十時裕樹CFOは冒頭の挨拶でこう語り、決算の説明を始めた。ソニーの2020年度第1四半期の連結業績は売上高が1兆9689億円、営業利益が2283億円、当期純利益が2332億円で、「営業利益は過去最高を記録した前年同期から微減で、一時的な要因を除いた調整後の営業利益については、前年同期比22億円増の2252億円だった」

 

特に業績が好調だったセグメントはゲーム&ネットワークサービス(G&NS)で、売上高は前年同期に比べて32%増の6061億円、営業利益も502億円増の1240億円。ゲームソフトウェアとプレイステーション プラスの大幅な増収が大きく寄与したわけだが、「ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークサービスのいずれも新型コロナウイルスによる巣ごもり需要が大きくプラスに影響した」と十時CFOは話す。

 

ソフトウェアについては、自社製作タイトル『The Last of US Part II』の大ヒットに加え、7月17日にリリースした『Ghost Of Tsushima』がプレイステーション4用自社製作タイトルとして過去最速となる、発売後3日間で240万本超えの売り上げを達成した。

 

「ネットワークサービスについても、PS Plus会員数が6月末時点で約4500万人に到達、通信・ネットワーク環境が逼迫する中、プレイステーションネットワーク(PSN)はサーバーダウンなどのトラブルもなく、上質なゲーム体験を提供し続けることができた」と十時CFO。

 

一方、音楽と映画はそれぞれ売上高が前年同期比12%減の1771億円、同6%減の1751億円、営業利益が同34億円減の349億円、同244億円増の247億円だった。音楽製作では、パッケージメディアや広告型ストリーミングサービスなど、多くの分野で新型コロナウイルスの悪影響を受けたそうだ。映画のほうは、テレビ番組製作におけるライセンス収入の増加はあったが、映画製作での興行収入やメディアネットワークの広告収入が減少。しかし、映画製作における広告宣伝費の減少で増益になった。

 

本業だったエレクトロニクスは営業赤字に転落

 

そして、これまで稼ぎ頭のイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)は、売上高が前年同期比11%減の2062億円、営業利益が241億円減の254億円と減収減益だった。デジタルカメラ向けイメージセンサーやモバイル機器向けイメージセンサーの販売数量が減少したのが影響した。

 

「モバイル機器向けイメージセンサーは、大手顧客の最終製品販売減、コロナの影響によるスマートフォン市場の減速、中位・廉価機種へのシフト、さらには中国における顧客の部品・製品在庫の大幅な調整などの影響により、2020年度の売り上げは前年度比でマイナス成長になる見込みだ」と十時CFOは説明する。そのほか、成長を見越して投資した設備の減価償却費、製造関連費用、研究開発費の増加の影響もあるそうだ。

 

また、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)は売上高が前年同期比31%減の3318億円、営業利益は342億円減少して91億円の赤字に転落した。デジタルカメラやテレビ、オーディオ、ビデオの販売が減少したことが響いた。

 

ただ、新型コロナウイルスで影響を受けていたサプライチェーンはほぼ復旧し、製品カテゴリーや地域によって進捗状況は異なるが、顧客重要は回復基調にあるという。現在、感染拡大の第2波、第3波に備えたオペレーションの再点検や効率化、eコマース販路の強化など事業構造の転換を図っている。今後は、音、映像、通信の融合により、リアリティ、リアルタイム、リモートを極める商品、サービスで事業の進化に取り組む計画だ。

 

今や事業の柱となった金融は、売上高が前年同期比33%増の4468億円、営業利益は11億円増の472億円と増収増益。主にソニー生命の変額保険に関わる特別勘定の運用益で大幅な増収になった。また、ソニーフィナンシャルホールディングス(SFH)を9月2日付で完全子会社化し、これによって連結ベースで年間400億~500億円の純利益の増加が期待できるそうだ。

 

2020年度通期の業績見通しは、売上高が前期比0.5%増の8兆3000億円、営業利益が同26.7%減の6200億円、当期純利益が同12.4%減の5100億円。「2020年度は、コロナの影響からのリカバリーに加え、アフターコロナの事業環境を見据えた戦略の構築にも注力する、重要な年と位置づけている。ソニーグループは、人材や事業の多様性を強みとしてレジリエンスを高め、変化に適用し、変化を機会と捉えていく」と十時CFOは力強く話していた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。