NEXT MOBILITY

MENU

2018年9月28日【オピニオン】

独製鉄・機械大手のティッセンクルップAG、事業分割の検討に入る

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 独の鉄鋼・工業製品メーカー大手で、ドイツ株価指数に組み入れられているティッセンクルップAG (本社:独ノルトライン=ヴェストファーレン州エッセン)は、独時間の9月27日、コングロマリット企業としての旗を降ろし、自らの事業分割を行う検討に入った。( 坂上 賢治 )

 具体的には自社をふたつの事業会社に分割する。同社はこれまで重厚長大の製鉄企業とししての一面に加え、ステアリングやサスペンションなどの自動車部品、さらにエレベーターや家庭用昇降機などの産業機械分野の事業を抱えていたのだが、この製鉄事業とそれ以外の事業が分離独立する形だ。

 

実施は、来る2019年秋から翌2020年の春に掛けてを計画中。企業分割はスピンオフを通じて行われ、両社は共にロンドン・フランクフルト証券取引所への上場を維持していく予定。

 

また既存の旧銘柄への投資家に対しては両社の株を分配するとしている。これにより、これまでは異なる市場で多角的な事業拡大を行ってきた取り組みを改め、それぞれが投資効率を高めて、さらなる企業価値の向上を目指していく構えだ。

 

 ちなみに売上高180億ユーロ(およそ2兆4千億円)の製鉄部門は、「ティッセンクルップ・マテリアルズ」としてインドのタタ製鉄の欧州事業との統合をさらに推し進めて(欧州タタ製鉄との統合事業計画では、当地・欧州最大手のアルセロール・ミタルを追撃する同業界2位の鉄鋼グループを目指す)国際的な立ち位置の強化を図っていく。

同事業では日本企業とのつながりも強く、去る2002年にJFEスチール、川崎製鉄、日本鋼管と提携。共通規格商品の生産で国際商品の強化を図ってきた。

 対して160億ユーロ(およそ2兆1千億円)の事業規模を背景に、自動車部品や昇降機を事業の柱としてきた製造系部門は、今後「ティッセンクルップ・インダストリアルズ」と名乗ることとなる。なおこちらは日本国内市場で一般消費層にも浸透しているビルシュタインブランドを配する事業部門として良く知られている。

 

次ページへ

1 2
CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。