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2023年9月4日【新型車】

アウディ、Q6 eトロンの内装に新たなデザイン哲学を適用

坂上 賢治

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独・アウディは6月3日(バイエルン州インゴルシュタット時)、新開発のプレミアムプラットフォーム エレクトリック(PPE)と、新しいE3エレクトロニクスアーキテクチャーをベースとした〝新型Audi Q6 e-tron〟のインテリアに新たなデザイン哲学を適応させたと発表した。

 

具体的には、立体的な造形とコントラストカラーを組み合わせ、それぞれの要素を遠近に配置することによって、見た目にも美しい空間に仕上げたという。

 

 

この造形を手掛けたAudi Design責任者のマーク・リヒテ氏は、「私たちは今、自動車デザインの歴史上に於いて最もエキサイティングな時代を生きています。

 

そんな新しい時代に、斬新かつクリエイティブな発想を持つ人は、これまでの常識にとらわれず、真の革新について新しい答えを見つけることができるでしょう。

 

我々は今回、こうした考え方を新しいデザインプロセスの出発点としました。つまり、お客様がクルマと共に何を体験したいと考えているのか、ということを考え抜いたのです。

 

そこからお客様のニーズを汲み取って、具体的なデザインへと落とし込みました。Q6 e-tronは、そんな私たちのビジョンを具体的な形にして示したものです」と語った。

 

 

そんな統一されたデザイン造形に関わる同氏の概要説明は以下の通り

 

Audi Q6 e-tronのインテリアは、ソフトラップと呼ばれるトリムがドアからコックピット全体へと広がり、乗員を包み込むようなスペース感覚を生み出すようにした。

 

シートには、斬新なカラーと高品質な素材を使用。併せて一部にはリサイクル素材も取り入れた。この結果、すべてのインテリアコンポーネントは統一感のあるひとつの空間として纏め上げられ、乗員へ繭の中にいるような心地よさを提供する。

 

室内に置ける各エリアの造形は快適性を重視した。対して操作エリアの設計は精密なデザインとし、高品質なハイグロスブラックのタッチパネルを採用した。

 

 

またブラックパネルで採用されたコントロールスイッチ類は、運転席側のドアハンドルにも纏められて配置した。なおこの操作パネルには、ドアミラーの調整、シートとドアの機能、ライトと視界の設定などの重要な機能が含まれる。

 

時代の要請に添ってトリムなどで使われる素材は持続可能な方法で生産された。例えば、S lineのソフトラップでは、100%リサイクルポリエステルから作られたElastic Melange(エラスティック メランジ)ファブリックが使用されている。

 

同じくコントラストステッチが施されたスポーツシートも、オプションでエラスティック メランジが用意される。標準シートとヘッドライナーでオプション設定となるArgument(アーギュメント)ファブリックも同じ素材から作られた。

 

S lineとSモデルでは、スポーツシートプラスもオプションでリサイクル素材のDinamica(ダイナミカ)マイクロファイバー、またはダイヤモンドステッチが施された上質なナッパレザーで提供される。

 

 

一方でインストルメントパネルの表面は、ボルケーノグレーのファインペイント仕上げが標準となっており、やはり、その一部には、再生可能な素材が使用されている。

 

ユーザーの希望があれば、ウッド(ライトブラウンのスウィートガムナチュラル、ストーングレーのバーチリニアナチュラル)やアルミニウム(アンスラサイトカラーのマットブラシ仕上げ)を選択することも可能だ。

 

なおS lineとSモデルでは、アンスラサイトカラーのマットブラシ仕上げによるアルミニウム、カーボンマイクロツイル、アンスラサイトカラーのハイテクメッシュも用意される。

 

このハイテクメッシュはリサイクル素材から作られ、手触りのある質感、斬新な表面を持つポリエステル生地だ。フロアマットは、Econyl(エコニール)製で、古い漁網、カーペット、産業廃棄物をリサイクルした素材から造られている。

 

 

Audi Q6 e-tronの明るく広々としたインテリアも大きな特徴のひとつだ。インテリアには様々な収納スペースやトレイが用意されており、センターコンソールには2つのカップホルダー、携帯電話充電トレイ、2つのスマートフォン用充電ポートが備わる。

 

センタートンネルのない電気自動車の特徴として、足元スペースも広く、リヤシートへの乗り込みが容易で、リヤセンターシートの座り心地が優れているのも大きな特徴だろう。

 

トランク容量は526ℓ。リヤシートを折りたたむと、収納スペースは最大1,529ℓまで拡大する。リヤシートは分割可倒式(40:20:40)。ボンネット下のいわゆるフランク(フロントトランク)には、更に64ℓの収納スペースがあり、充電ケーブル(モード3)や小型の旅行バッグを収納することができる。

 

アウディが〝ソフトラップ〟と呼ぶトリムで構成されたインテリアは、アウディMMIパノラマディスプレイとMMI助手席ディスプレイを組み合わせたデジタル仕様として仕立てられている。

 

スリムな独立形式のアウディMMIパノラマディスプレイは、曲面デザインとOLED(有機LED)テクノロジーを特徴とし、11.9インチ アウディバーチャルコックピットと14.5インチMMIタッチディスプレイから構成されている。

 

これらはドライバーの手の届く範囲がアーチ状で設計された曲面形状のディスプレイとなっている。また曲面ディスプレイの形状は、エクステリアデザインの特徴となっているシングルフレームを想起させるものとした。

 

 

加えてアンビエントライトの採用により、夜間は曲面ディスプレイが宙に浮いているように見えるようにした。更に助手席側への配慮を踏まえ独立型の10.9インチMMIディスプレイも装着される。これによりパッセンジャーは、ドライバーに気兼ねすることなく映画や動画を鑑賞することもできるようにした。

 

同時に、パッセンジャーによる操作で、同じディスプレイにナビゲーションを表示させドライバーの運転をサポートすることもできる。なお標準バージョンでは、助手席側インフォテインメントディスプレイには、ハイグロスブラックが採用されている。

 

オプション設定の拡張現実(AR)のヘッドアップディスプレイ(HUD)は、アウディのディスプレイテクノロジーの進化を強く示したものとなった。ドライバーの前方には、フロントウィンドウを横切る大型のイメージ画像が投影され、速度、道路標識、各種アシスタンスシステムの情報、ナビゲーションシステムのアイコンなどが表示される。

 

この際の表示情報はドライバーの視点からは浮かんでいるように表示されれているが、実はこのディスプレイ表示は視界が悪い状況下でも役立つという実用性を併せ持っている。

 

なお車両と乗員の対話をサポートするインタラクションライト(IAL)も装備された。このライトは、インテリアとコックピットを大きな弧を描いて包み込むように設置されおり、LEDを採用したこのライトストリップの輝度は最大1,200cd (カンデラ)の明るさがある。

 

このIALの主な機能は3つで、まずウェルカム機能、インテリアを演出する機能、車両の施錠、開錠なども表示される。これらはIALはアンビエントライトと統合されており、IALが作動していない場合は、アンビエントライトと同じ色で表示される。

 

そんなIALは安全もサポートする。例えば、ダイナミックターンシグナルを視覚化して点灯する。また充電レベルの表示や、充電の進捗状況などの他の情報も視覚化しパルス光として表示される。またインタラクションライトは、アンビエントライトパッケージプラスの一部としても提供される。

 

 

加えてAudi Q6 e-tronの乗員は、ボイスアシスタントを使うことで、オンラインとオフラインの両方で車両機能の多くを音声で制御することができる。

 

そんなアシスタント システムは、今回初めてアバターによって表示されようになった。このアバターは、ダッシュボードとヘッドアップディスプレイに表示される。

 

ユーザーは「Hey Audi」と発話することで、アシスタント機能を起動することができ、音声対話システムを使用して最寄りの充電ステーションを検索したり、タッチディスプレイを使用して(AIにより事前に分類された)リストから選択したりすることができようになっている。

 

ユーザーはお気に入りのアプリをappストアからダウンロードして、車両ディスプレイ上で直接使用することもできる。これにより人気のあるサードパーティ製アプリに直感的にアクセスすることも可能となった。

 

なお選択したアプリは、スマートフォンを必要とせずに、アウディのインフォテインメントシステムに直接インストールされる。ユーザーは、ボイスコマンドを介してアプリを操作することができる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。