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2019年6月26日【アフター市場】

ビッグモーター、全29店舗の板金塗装工場でテュフ認証取得

山田清志

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「今回、全29の板金塗装工場でテュフの認証を得られたことで、ビッグモーターの品質が世界基準の板金工場として認められてことになり、他社との徹底化な差別化が図れる」

 

6月26日、ビッグモーターとテュフ ラインランド ジャパンは共同記者会見を行い、ビッグモーターの全29店舗の板金塗装工場でテュフ ラインランド板金塗装工場認証を取得したと発表。それを受けて、ビッグモーター サービス・PB本部の大賀一哉本部長はこう語った。

 

テュフ ラインランドの認証は世界的に権威あるものと知られ、その認証を取得したということは世界的に見て良い工場・店舗だと認められたことを意味する。そのため、日本でもその認証を得ようという企業が後を絶たず、毎年挑戦する企業が増えている。しかし、その認証を得るのはなかなか難しいのだ。

 

 

例えば、ビッグモーターが今回挑戦した板金塗装工場認証についても、約480の板金塗装工場が挑戦したが、認証を取得できたのは135工場だけ。取得率にして28%だ。日本のディーラーにある工場でもそれを取得できたのはごく一部だという。

 

「板金塗装認証は、ドイツ本国で設定された監査項目に日本市場で適した項目を追加し、監査を実施するものです。この認証が目指すものを一言で言うと、良い工場を監査、認証することで見える化をすることです。ビッグモーターが2カ月の短期間で全29工場が取得できたことは、本部や工場の人たちの努力の賜だと思います」とテュフ ラインランド ジャパンのトビアス・シュヴァインフルター社長はビッグモーターに敬意を示す。

 

ここでテュフ ラインランドについて簡単に説明すると、ドイツのケルンに本部を置き、145年の歴史を持つ世界でもトップクラスの第三者検査機関で、電機・電子機器製品、医療機械、産業機械、自動車などさまざまな製品やサービスの検査や認証を行っている。特に自動車分野では、ドイツで運転免許試験を行い、ドイツを含む数カ国で車検サービスを提供している。そのため、ドイツ語で「テュフする」とは運転免許を取りに行く、あるいは車検を取るという意味で使われているそうだ。

 

 

一方、ビッグモーターは国産車や輸入車の中古車・新車販売、車両の買い取りに300以上の店舗を持ち、車検、修理、板金塗装、損害保険、リースなど自動車に関するすべてに対応する「ワンストップショッピング型」の店舗を展開している。そのうち、29店舗で板金塗装工場を直営で運営しているわけだが、その数は日本最大級を誇る。

 

「中古車業界というと、不鮮明なところが多く、消費者にしてみれば、本当に選んでいい商品なのか分からず、それをクリアにする必要があった。それは板金塗装でも同じで、改善の余地があり、透明性を高める必要があった」と大賀本部長はテュフの認証取得に至った経緯を話す。

 

同社は今後、酒々井店(千葉県)や高松店(香川県)の板金塗装工場を拡張するのをはじめ、山梨県(10月)と北海道(2020年4月)に新たな板金塗装工場をオープンし、5~10年のうちに能力を倍増させる。同時に板金塗装部門の売上高も現在の101億円から5年後には300億円にするという。「板金塗装業界のリーディングカンパニーを目指す」とは大賀本部長の弁だが、今回のテュフ ラインランド認証取得によって、その目標に弾みがつくのは間違いない。(経済ジャーナリスト・山田 清志)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。