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2022年12月5日【新型車】

BYD、「ATTO3」の価格と販売開始時期を宣言

坂上 賢治

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BYD Auto Japanの東福寺厚樹 代表取締役社長

2023年1月下旬より、15都道府県の計22の販売拠点を順次オープンへ

 

中国( 広東省深圳市 )で蓄電池製造からスタートした〝比亜迪汽車〟傘下で日本法人ビーワイディージャパン出資子会社のBYD Auto Japan( 本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:東福寺 厚樹 )は、12月5日の11時30分から東京都港区で記者会見を開き、日本国内マーケットへの新規参入モデルとなるミッドサイズEV「ATTO3( アットスリー )」の日本販売価格を発表した。( 坂上 賢治 )

 

 

車両価格は、消費税込みの440万円( 2023年1月31日より販売開始 )となる。デリバリー開始は2023年の3月頃になる見込みという。

 

同社はこれを踏まえ、日本全国に乗用車製品の直接販売やアフターサービス網を提供するべく、2023年1月下旬より15都道府県( 北海道、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、千葉県、群馬県、山梨県、愛知県、岐阜県、三重県、石川県、富山県、大阪府、沖縄県 )など計22の正規ディーラーを順次オープンさせてATTO3の販売を始める構え。

 

 

またそれ以降の予定では2025年末迄に日本各地に100店舗以上の販売ネットワーク構築を進めていく。各店舗には最大出力50kW級の急速充電器が設置される見込みという( BYDオート東福寺社長 / 50kW級の急速充電器の設置体制を敷く理由は後述 )。

 

更に今後は2023年中期にコンパクト車「DOLPHIN」を、同年下期にeセダン車の「SEAL」の3モデルを順次販売していく予定だ。

 

 

まず日本投入第1弾となるATTO3は2022年2月に中国で販売を開始。以降オーストラリアやタイなどのアジア太平洋地域で販売を拡大。今年10月末迄のグローバル規模での累計販売台数は14万3,000台となっている。なお欧州でもドイツやフランスなどを含む9ヵ国での販売計画も進めているという( 欧州の安全性評価・EuroNCAPの5つ星を獲得済 )。

 

そんなATTO3の特徴は、BYDが独自開発した「ブレードバッテリー( LFP/細長く平たい電池パックを車体の構造部品に直接組み込んだリン酸鉄リチウムイオン電池に対するBYDによる独自名称で2021年7月以降の乗用車タイプに使用している )」を車室下に平たく並べて組み込んだEV専用のプラットフォーム「e-Platform3.0」を持つ事にある。

 

 

今回のATTO3に搭載されているのはV2L( Vehicle to Load )とV2H( Vahicle to Home )対応の58.56kWhサイズのLFPバッテリーで、これに150kW/310Nmのモーターを組み合わせ、485km( WLTC値 )の航続距離を確保する( 但し普通充電口からのV2L化するアダプター部分はオプション設定 )。

 

この車載のブレードバッテリーの保証は8年/15万キロメートルで、SOH( State of Health / 初期の満充電容量100パーセント時から劣化した場合の満充電容量 )基準は70パーセントとしている。

 

 

ちなみにバッテリー寿命をより長く伸ばしていくため自動車メーカーBYDとして、通常の最適充電圧は40kWh以下を推奨している。但しATTO3自体は、チャデモ規格で最大85kWの急速充電に対応している。

 

 

当面ATTO3として日本国内市場へ投入されるのは1グレードのみ。また日本仕様は中国仕様とは異なる右ハンドルであり、かつウインカーも右側に変更されており運転時に於ける操作感に係る違和感は薄いと考えられる。従って日本市場への本気度と意欲は高い。インパネ中央に12.8インチの回転式スクリーンを搭載した内装デザインについては、実に個性的であるのだが好き嫌いで好みが分かれる印象がありそうだ。

 

 

日本への入荷車両は、常州・長沙の中国工場から上海経由で大黒埠頭にあるPDIセンターに到着。製品品質の管理については、〝BYDアカデミー〟という研修施設を設けて販売店スタッフへのトレーニングを実施。これにより車両販売時の車両情報の提供、充電器の設置説明、点検整備の内容、トラブル対応を確かなものとするべく教育制度を消化中と述べていた( BYDオート東福寺社長 )。

 

装備はApple CarPlay & Android Auto対応を筆頭に、パノラマルーフ、電動パワーシート、予測緊急ブレーキシステム、アラウンドビューシステム、ブラインドスポットインフォメーションなどの安全・運転支援機能( 通信モジュールによるコネクテッド機能を備えているため、後にはOTAリモートアップデートに対応予定 )も搭載した。

 

 

また車体は、群馬県太田市館林の金型メーカーである館林モールディング( 髙草木健一社長 /2010年にオギハラ館林工場からBYD傘下となった )の金型技術によって実現された。車体寸法は、全長4455×全幅1875×全高1615mmで車両重量は1750kgだ。

 

ATTO3の販売価格は、先の通り消費税込みの440万円( 5色カラーバリエーションの中でグレイ色以外は税込6万6,000円の有料塗装色扱い )であるが、車両導入・利用にあたっては4年のサブスク型リースプラン「BYD eフラット」も選択可能だ。

 

これは頭金・ボーナス払い無・登録諸費用/リース期間中の自動車税/自賠責保険/預かり法定費用/リサイクル関連費用など込みの毎月定額4万400円( 税抜 / あくまでも令和4年度クリーンエネルギー自動車導入促進補助金と同額の補助金が適用された場合の価格例 )の定額プランで、加えて4年残価据置型ローン「BYD eローン」など複数のファイナンスプランが用意されている。

 

 

専用保険を筆頭とするサービス商品も用意するとの事で、例えば保険の対象期間中に1度のみ、タイヤやガラス破損などのひとつが無償修理できる保険や、24時間対応のロードアシスト(いわゆる電欠対応も含む)、緊急通報対応のコールセンター、認定中古車制度などが計画に挙がっているとした。

 

最後に同社は来年1月31日(火)まで東京都新宿区にあるクルマのサブスクサービス「MINT」の店舗にてATTO3を展示。期間中の毎週土・日・祝日に試乗体験の機会( MINT × BYD新宿マルイ展示&試乗会 )を提供すると述べていた。

 

開催日程:2022年12月1日(木)~2023年1月31日(火)11:30~17:30
※試乗は、開催期間中の毎週土・日・祝日のみ可能。
開催会場:MINT新宿マルイ( 東京都新宿区新宿3-30-13新宿マルイ本館1F )
試乗方法:以下のURLから必要情報を入力のうえ予約する。
URL:https://byd.co.jp/e-life/event/#shinjuku

 

事業関連を含むBYD Auto Japanへの問い合わせフォームは以下の通り :https://byd.co.jp/contact/

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。