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2024年2月21日【IoT】

DSオートモビル、チャットGPTを自動車に世界初導入

坂上 賢治

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ステランティスN.V.( Stellantis N.V. )傘下のDSオートモビルズは( 2月20日/仏パリ発 )、先の2023年10月から、車載インフォテインメント「DS IRISシステム」上へのChatGPTの実証導入を開始。その結果、音声認識の利用が50%以上増加したことを受けてChatGPTの標準搭載を決定。これまでの音声認識機能と組み合わせて、車内で生成AIを楽しむことを可能にする。

 

搭載に先駆けて実施した実証導入は、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスで実施。ChatGPTのクルマへの標準装備は、自動車ブランドとして世界で初めての試みとなる。なお、このChatGPT APIは、米SoundHound AI, Inc.( サウンドハウンド社 )が自社で独自開発したAI認識技術を介して動作する。

 

このDSオートモビルズとサウンドハウンド社の試みは、〝Connected Car Award 2023〟で2023年12月、ドライビング エクスペリエンスを新たな高みに引き上げたことが評価されて、Auto BildとComputer Bildによる「パイオニア アワード」にも賞されている。

 

 

そんなサウンドハウンド社は、デラウェア州を拠点に、法人企業向けにスマートな音声認識技術を組み合わせたAI電話での自動対応プラットフォームを提供している。その技術は、Speech-to-Meaning技術を介して自動音声認識( ASR )と自然言語理解( NLU )のプロセスをワンステップで行い、より速く精度の高い会話型音声アシストの構築を実現するものとなっている。

 

DSオートモビルズ各車へのChatGPT機能の追加導入は、同社のConnect Plus Packageの一部として提供される。このパッケージにはモデルに応じて、コネクテッドナビゲーション、リモートコントロールおよびeリモートコントロール、コネクテッドアラーム、Send2Nav、EV Trip Planner、e-Routesなどが含まれる。また同パッケージは、DSオートモビルズのすべてのモデルに3年間標準装備される。

 

具体的な搭載車種は、DS 3、DS 4、DS 7、DS 9の全モデルが対象。3月から出荷されるDS IRISシステムを装備するモデルで音声認識機能を導入している以下の18か国および13の言語で、同機能がインストールされる。なお日本市場へのChatGPT導入は、4月中旬を予定している。

 

• ドイツ(ドイツ語)
• オーストリア(ドイツ語)
• ベルギー(フランス語、オランダ語、ドイツ語)
• デンマーク(デンマーク語)
• スペイン(スペイン語)
• フランス本土、グアドループ、マルティニーク、レユニオン(フランス語)
• アイルランド(英語)
• イタリア(イタリア語)
• 日本(日本語)
• ルクセンブルク(フランス語、ドイツ語)
• ノルウェー(ノルウェー語)
• オランダ(オランダ語)
• ポーランド(ポーランド語)
• ポルトガル(ポルトガル語)
• チェコ共和国(チェコ語)
• イギリス(英語)
• スウェーデン(スウェーデン語)
• スイス(フランス語、ドイツ語、イタリア語)

 

これによりDSオートモビルズ車のユーザーは、インタラクティブな旅のパートナーとなり得るDS IRISシステムと音声認識で対話し、あらゆる質問をできるようになる。例えば、その例は以下の通り。

 

– 「このエリアにはどんな観光スポットがありますか?」
– 「10歳の息子と一緒にいて、これから2時間滞在できるのですが、この城では何をするのがお勧めですか?その場所まで案内してください」
– 「この料理と一緒に何を飲むのがお勧めですか?」
– 「この場所を舞台に、想定した人物を主人公にして物語を創作してください」など…。

 

いずれも道路から視線を逸らしたり、ステアリングホイールから手を離したりすることなく、移動中に質問とその回答を楽しんだり、学んだりすることができる。

 

この新機能の搭載についてDSオートモビルズCEOのオリヴィエ・フランソワ氏は、「当ブランドは、この決定によりChatGPTを自動車の世界に取り入れたパイオニアとなりました。

 

私たちは柔軟かつ直感的ゆアクセスが可能な生成AIを取り入れ、あらゆる移動の機会をユニークな旅に変えていきます。DSオートモビルの使命は、お客様にユニークな体験を提供することです」と導入の理由を語った。

 

またステランティスの最高ソフトウェア責任者のイヴ・ボンヌフォン氏は、「試験導入の成功と共に、テストに参加頂いたお客様からの反響を受け、私たちはChatGPT機能を標準装備する初めてのブランドになることを誇りに思います。DSすべてのモデルを皮切りに、間もなく他のステランティスブランドも続く予定です」と説明した。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。