NEXT MOBILITY

MENU

2019年5月21日【テクノロジー】

自動車分野へ注力。AMSトーマス・ストックマイヤー記者会見

松下次男

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

独ZFと手を組むオーストリアの高性能センサー企業ams、自動運転向け新型LiDARを紹介

 

 オーストリアの高性能センサーサプライヤー、amsのトーマス・ストックマイヤーCOO(最高執行責任者)は5月21日、日本法人のamsジャパン本社(東京都港区)で開いた記者説明会で、自動運転車向けライダー(LiDAR)・システム分野に本格的に参入し、自動車事業を大幅に拡充する方針を明らかにした。目玉となる戦略が独大手自動車部品メーカーのZFグループとの提携だ。これにより日本、欧州をはじめとした世界の主要自動車メーカーへ売り込みを図る考え。

 

 

 amsが展開するライダーは自動運転分野向けで初となるソリッドステート・ライダー・システム。amsジャパンは同日、このライダー・システム技術を促進するため、ams、ライダーセンサー技術の専門企業である独Ibeoオートモーティブ・システムズ、ZFフリードリヒスハーフェンの3社が提携することで合意したと発表した。

 

 ストックマイヤーCOOは同ライダー・システムについて、「小型で、部品点数が少ないの特徴だ」とし、コスト競争でも優位に立てるとの見解を示した。3社で2021年までに、この技術を迅速かつ安全に導入できるよう、共同で研究開発を進める。

 

 センサーソリューションを提供するamsは東京を含む世界各地に18カ所のデザインセンターを持っており、従業員数は約9000千人(うちエンジニア1100人)、売上高は16億2700万米ドル(2018年)。これまでに取得・出願した特許数は約3000件にのぼる。

 

 日本法人の岩本桂一カントリーマネージャーによると、これまでamsは通信、民生、コンピューティング向けなどの比率が高く製品売上の約7割を占め、車載用は25%程度に過ぎなかった。日本でも中心の供給先はスマートホンなどの通信分野となっていた。
 だが、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術の普及、拡大により、車載分野向けの供給が急速に増加しているという。現在、平均的な車両一台当たりのセンサー使用量は100個に達しており、さらに近い将来200個へと倍増することが見込まれている。これを踏まえ、amsは世界的な規模で、車載分野へ注力することになった。

 

 

 すでに車載向け分野では緊急ブレーキ支援用のライダー向け半導体や投影照明用アプリケーション、ドライバー・搭乗者の識別3Dスキャンアプリケーション、パワートレイン・車載システム用先進センシングステムなど多彩なセンサー・テクノロジーを実用化し、展開する。
 これに加えて、新タイプの車載向けソリッドステート・ライダー・システムをZFなどの3社と共同開発し、OEMメーカーへ提供することを目指す。ストックマイヤーCOOはこうした中で、世界的な自動車メーカーが多数存在する「日本はたいへん重要な市場だ」と強調した。(佃モビリティ総研・松下 次男)
 

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。