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2019年8月8日【アフター市場】

独行政府、排出ガス規制車のハードウエア改良をようやく認可へ

NEXT MOBILITY編集部

 ドイツ自動車連盟(ADAC)は現地時間の8月7日、ユーロ5(Euro5)認証のディーゼルエンジン搭載車に対して独連邦自動車交通局(KBA)が、窒素酸化物の排出を削減するSCR対策システムをようやく初承認したことを発表している。(坂上 賢治)

 

ドイツの行政府と自動車メーカー各社は、販売済の旧規制ディーゼル車両に関して、ハードウエア的改良を行うことにについて永らく協議を重ねてきた。その結果、今回ようやくユーロ5排出基準対応のディーゼル車について、一部地域で既に施行されている運転禁止措置を回避するための改良が許可されるようになった。

 

この決定に沿って独連邦自動車輸送局は、改良ディーゼル車での運転許可(ABE)を発行。同措置はメルセデスベンツブランド車の一部、さらにボルボモデルの対策部品供給が開始される。

 

 

 対策部品は、欧州を中核に補修市場向け排気制御システムを提供しているオランダメーカーの「Bosal(ボーサル/Bosal International N.V.)」がシステム生産と販売を担当し、7月下旬から8月上旬に対策部品の提供を開始する。

 

当面の対応車両はダイムラーは、C、E及びVクラスとGLKとなり、モデル名としてはC220/250CDI、E220/250CDI、V220CDI及びGLK220CDI。

 

ボルボでは、2.0および2.4リットルのディーゼルエンジン(ユーロ5対応)を搭載したXC60、XC70、560、V60およびV70が対象となる見込み。

 

なおBMWのこれに準じた対応は、8月中旬以降となる見込みでX3・2.0D、318D、320D、325D、518D、520D及び525Dに組み込まれた2リットルのディーゼルエンジン搭載車が対象となる。

 

 システムは車両下回り、排気システムの中間部に尿素水溶液のアドブルー(AdBlue/純水に高純度の工業用尿素を溶かして製造する無色・透明の水溶液)のタンクを搭載するもので、触媒内部の排出ガスに対して、この尿素水溶液を噴霧して大気汚染の原因とされている窒素酸化物を窒素と水に分解する。

 

改良システムの機能は、既にADACによるプロトタイプテストは経て認証されている。改良に掛かるコストは3000から3600ユーロ。車両搭載に掛かる装着時間は約3時間。この費用負担は原則として車両ユーザー自身が負担することになる。

 

但し、ダイムラーなど一部の自動車メーカーは、ドイツ政府が定めたディーゼル車両の走行規制を実施中のリンブルフアンデアラーン、ルートヴィヒスブルク、ミュンヘン、ロイトリンゲン、シュトゥットガルト及び隣接する地域の車両ユーザー(通勤で車両利用するユーザーの他、障害者などの条件設定あり)を対象に改良プログラム対応に係る補助金として、車両1台あたり最大3000ユーロ相当のコストを支出する方針を打ち出している。

 

なお現段階ではBMWは旧型車両の改良よりも新たな環境対策車の販売促進に力を入れたい意向だ。

 

 補助金を支出する自動車メーカーは、同改良に伴う顧客保証は行わない。但しドイツ自動車連盟は事前テストに於いて改良に伴う不具合発生の可能性は極めて低いと語っている。

 

システムの装着保証は、装置提供メーカーによる100,000kmの走行距離保証または最大5年間の耐用年数のいずれか早い方で条件となる。

 

改良車は、車両に独連邦自動車交通局が承認した改造キットが取り付けられている措置が反映され、搭載車両に対して書面が発行される。この結果、車両としてユーロ5認定車の状態ではあるが、現状の走行禁止区域での同措置から解放される。

 

車両使用にあたっては、追加されたアドブルータンクが空になった時、燃料フィラーフラップが自動的にロックされることになるため、近隣のガソリンスタンド等で入手できるアドブルーの補給が走行上の必須条件となる。

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松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。