NEXT MOBILITY

MENU

2019年4月16日【オピニオン】

独検察、VWのヴィンターコーン元CEOを排ガス不正で起訴

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 当時VWは、米国の排出ガス規制から免れるために車両規定の試験実施時にだけ、有害物質の排出量を抑える違法なソフトウエアを搭載してこれをクリアした。その後グループ傘下を含み、欧米で延べ905万台の車両販売を消化。

 

2014年5月の時点で、社内の不正行為が逃れようのない事実であると認識されて以降も、世界中で約1100万台のディーゼル車を販売して各国の消費者や当局を欺き、経営トップとして責任ある行動を怠った罪は重いと述べている。

 

なお同起訴発動に伴い、名前自体が明らかにされてはいないが、当時の同社幹部4人も併せて起訴したと発表している。

 

 ヴィンターコーン氏は社内不正が発覚した直後に、企業の混乱をもたらした責任を取るかたちで辞任。しかし今も排出ガス不正事件に関して、不正が明るみになる直前に至るまで、これらの事実をまったく把握していなかったと主張している。

 

 

これを契機にVWブランドに対する信頼感は地に落ち、同社は通算280億ユーロ(約3兆5千億円)超の罰金刑並びに賠償刑を自らでたぐり寄せてしまった。

 

また複数の自社経営幹部が、刑事罰の容疑者になるという深刻な状況をも作り出した。

 

 結果、ヴィンターコーン氏は、不正発覚の震源地となった2018年の米国で、排ガス規制逃れを認識しながらも証券を発行し続けて、米国の投資家を欺いたとして米証券取引委員会(SEC)から陰謀や詐欺などの重罪で起訴された。

 

しかし米国司法省が訴追して以降、米国側と直に接触する機会が得られず、未だ米当地で逮捕されるには至っていない。

 

次ページへ

1 2 3
CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。