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2023年3月16日【新型車】

独VW、新型BEV「ID.2all」をワールドプレミア

坂上 賢治

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独・フォルクスワーゲンブランドは3月16日の未明( 日本時間 )、手頃な価格と車体サイズを持つ新型BEVコンセプトのワールドプレミアの様子をオンライン配信した。( 坂上 賢治 )

 

 

新型車両は、フォルクスワーゲンブランドに於いてピュア電動車のDNAを受け継ぐ〝ID.2allコンセプト〟で、コンセプトという名を冠しているものの、その量産バージョンが早くも2025年中に発表される予定だ。

 

なお同車は、フォルクスワーゲンブランドが2026年までに発売する10台の新電気モデルの1つとなっている。

 

 

そのスタイリングは、先行して市場投入されたID.4よりもふくよかなカーブを持つ5ドアハッチバックボディを備えており、ボディを支えるプラットフォームはMEBエントリープラットフォームとなっている。

 

車格は、前後方向では標準仕様のゴルフよりも234mm短い全長4,050mm × 全幅1,812mm × 全高1,530mm × ホイールベース2,600mm。

 

 

搭載されるバッテリー容量についてはコンセプトモデルらしく明らかにされていないものの、航続距離の目標値はWLTPテストサイクルで最大450キロメートル。

 

DC急速充電ステーションでは、搭載バッテリーを20分で10~80パーセント充電出来るとしている。なお自宅または公共のAC充電ポイントで最大11kWで充電するオプションも提供される見込みだ。

 

気になる動力性能は、166kW / 226psを発生する電動モーターがフロントに搭載される。これによりゼロから時速100キロメートルまでの加速が7秒未満となっている。

 

想定車両価格は、フォルクスワーゲンブランドのBEVとしては初の25,000ユーロ未満のプライスタグが付くとされる。

 

 

この新型車両の発表についてフォルクスワーゲンの乗用車部門を担うトーマス・シェーファーCEO( 最高経営責任者 )は、「我々は、フォルクスワーゲンが世界のオーナードライバーに愛されるブランドにするという目標を掲げて事業構築を改めて組み立てている最中です。

 

そうした目的を踏まえて今日、ご披露した〝ID.2allコンセプト〟は、フォルクスワーゲンブランドを未来に向けて推し進めていくためのひとつの指針を示しています。

 

お客様にとってより手頃で、最高の技術と卓越したデザインを持つ電動モビリティ。 我々はこのコンセプトを大衆に受け入れて貰うためのBEV開発に邁進しています」と語った。

 

 

続いて登壇したのは、セールス・マーケティング、アフターセールスを担うブランド管理委員会メンバーのイメルダ・ラベ氏で、「私達はフォルクスワーゲンの典型的な美徳を、新たな価値の構築を目指す新型モビリティへと移し換えています。

 

それは最高のクラフトマンシップに支えられたハードウエア品質。これに優れたソフトウェアを組み合わせた新たなデジタル価値の提案です。その一端は、MEBエントリープラットフォームの新たな進化段階にも現れています」と説明。

 

これを受けたブランド管理委員会のメンバーのカイ・グルニッツ氏は、「ID.2allコンセプトは、電動モーターで前輪を駆動する初のMEB車になります。

 

同車はMEBエントリープラットフォームが実現した柔軟性の高さを活用しており、技術に裏打ちされた日常の使いやすさという面で新しい基準を打ち立てています。

 

 

強化されたMEBエントリープラットフォームでは、効率的な駆動効率を支えるバッテリー配置とリファインされた充電技術を搭載しています。併せてID.2allコンセプトではデザインにも力を注力しています」と述べた。

 

車両デザインについて乗用車部門のデザイントップを務めるアンドレアス・ミント氏は、「同車は、安定性、好感度、興奮の3つの柱に基づく新しいデザイン言語で組み立てられています。

 

特に強調したいのはかつて初代ゴルフのために開発されたCピラー デザインの踏襲です。ID.2allコンセプトは、このシグネチャーを新たに解釈したIDシリーズ最初のフォルクスワーゲンです。

 

 

更にその他のデザイン上の特徴では、4輪が踏ん張ったような力強いスタンスを持つボディフォルム、親しみやすい顔、時代を超越したエレガントな印象にあります。

 

インテリアでは、フォルクスワーゲンのブランドイメージを踏襲したボリュームコントロールを備えたインフォテインメントシステム。すっきりさと高品質さを保つ印象。また独立したエアコンブロックなどが目を惹く事と思います。

 

 

機能面でも妥協は無く、収納容量は490~1,330リットル( 後席は40対60の分割式、助手席のバックレストも倒すと2.20メートルの長尺が確保される )で、トランクの床下は長方形の収納ボックスがあり、後部座席の下にも容量50リットル の別の収納エリアがあるなど、上位クラスの車両を凌駕する余裕のある空間が確保されています」と説明した。

 

なおロングホイールベースのIDバズ、ID.7サルーンなどに続いて2026年には新たなコンパクトな電動SUVが登場する予定としており、更に20,000ユーロ未満の電動車の開発にも精力に取り組んでいるとした。

 

 

これにより同社は、競合他社に対して最も幅広いラインナップの電動車を揃えるメーカーとなり、これらによって欧州圏の電動車のシェアの8割を手中にする計画を推し進めると結んだ。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。