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2018年10月3日【オピニオン】

ディーゼルゲートで揺れ続ける独・自動車業界

坂上 賢治

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 独・アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット)の取締役会会長職にあったルパート シュタートラー氏が、去る6月18日にミュンヘン検察庁に身柄を拘束されて既に3ヶ月を超えた。(坂上 賢治)

 

この間、当局による同氏の拘束は続いており、終わりがないように見えるディーゼルゲート(Dieselgate)と呼ばれる同スキャンダルはドイツ国内で依然続いている。

 

シュタートラー氏拘束の経緯は、予てよりドイツ当地でも取り沙汰されてきた排出ガス不正の捜査上に同氏の関与が浮上してきたことによるもの。

当時、ミュンへン検察当局がシュタートラー氏の拘束を決断した理由は、同氏を拘束せずに放置していると、ポルシェに対するシュツットガルト検事の予備調査等で証人に影響を与えるなど、一連の詐欺行為について証拠隠滅の可能性があると判断したことによる。

 

 

 そんなシュタートラー氏は、2007年よりアウディの経営責任を担ってきたが、それ以前は、かつてフォルクスワーゲングループの会長職にあったフェルディナント・ピエヒ氏をサポートする職責にあった。

 

同社グループは、世界中で約1100万台のディーゼル車に排ガス基準の測定値を潜り抜けるソフトウェアを取り付けたとされ、このディーゼルゲートで、自ら300億ドルを超える罰金刑をたぐり寄せただけでなく、複数の自社経営幹部が刑事罰の容疑者になるという状況を作り出した。

 

 

またフォルクスワーゲンの元CEOのマルティン・ヴィンターコーン氏は、米国で陰謀や詐欺などの重罪で起訴されたが、米国司法省が訴追して以降、米国側と直に接触する機会が得られず逮捕されるに至っていない。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。