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2020年11月26日【エレクトロニクス器機】

GM、電動化ポートフォリオへの投資を強化

NEXT MOBILITY編集部

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ゼネラルモーターズ(GM)の会長兼CEOメアリー・バーラ氏は11月26日(現地時間)、GMが2020年代の半ばまでに、グローバルマーケットにおいて完全電動化モデルを30車種投入すると明らかにした。2025年末までに、米国におけるGMのラインアップの40%を、アルティウム」バッテリーを搭載した電気自動車(EV)にする予定。

 

 

さらにGMは、2025年までのEVおよび電動自立走行車(AV)への総投資額を新型コロナウイルスの大流行以前に計画した200億ドルから270億ドルに引き上げることも同時に発表した。

 

 

バーラ会長兼CEOは「気候変動は現実のものであり、GMはすべての人がEVに乗ることでその解決策の一端を担いたいと考えています。私たちは、EV事業における強みを生かしてラインアップの完全電動化への移行を進めており、その成長に注力しています。バッテリー、ソフトウェア、車両のインテグレーション、製造、そしてカスタマー・エクスペリエンスに関して急速に競争優位性を構築しており、EVの開発計画をさらに加速させていきます」と述べている。

 

 

バーチャルで行われた「バークレイズ・グローバル・オートモーティブ・カンファレンス」において、バーラ会長兼CEOとGMのグローバルプロダクト開発・購買・サプライチェーン担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントのダグ・パークス氏が発表したGMの主な計画は以下の通り。

 

 


 

 

• GMは2025年までに世界で30車種のEVを投入し、そのうち3分の2以上を北米で販売。キャデラック、GMC、シボレー、ビュイックは、業務用、アドベンチャー向け、パフォーマンスカー、ファミリーユースのすべての価格帯にEVをラインアップする。

 

• 技術の進歩により、GMが以前に公表した「アルティウム」ベースのEVの推定航続距離は400マイルからさらに伸び、バッテリーをフル充電状態で最長航続距離が450マイルになった。

 

• GMの多用途な「アルティウム」プラットフォームは、マスマーケットから高性能車両まで、あらゆる車両のための基盤を提供し、全てのモデルが単一の共通セルに交換可能な推進部品を組み合わせて構成される。

 

 

 

 

• GMでは、設備投資や製品開発チームの半分以上がEVとAVのプログラムに向けられている。

 

• GMの第2世代の「アルティウム」化合物は、現在の半分以下のコストで2倍のエネルギー密度を実現するとされており、GMではすでにこの次世代技術のプロトタイプのテストを行い、2020年代半ばには利用可能になると予想している。

 

 

 

 

•取得済特許や現在出願中の特許により「アルティウム」技術は、EVをガソリンエンジン車と同程度の価格に近づけることが期待されている。

 

• 「ハマーEV(GMC HUMMER EV)」と「キャデラック リリック」の両プログラムは、後日発表される他の車種とともに前倒しで進められている。

 

• GMは、電気システム、インフォテインメント・ソフトウェア、制御系エンジニアからなる3,000人に加え、Java、Android、iOS、その他のプラットフォームのデベロッパーを雇用している。

 

• GMは、ホンダと共同開発したハイドロテック燃料電池技術と共に「アルティウム」EVのアーキテクチャー、バッテリー、そして推進システムのライセンス先を引き続き開拓していく。

 

• GMは販売店と協力しながら、セールスおよびサービス能力とソフトウェアを駆使したイノベーションを活用して、EV愛用者と新規EV顧客に優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供していく。

 

 

■新型コロナウイルス大流行にもかかわらず、GMはEV改革を推進

 

 

「アルティウム」バッテリーはすでに電動化で画期的な成果を上げており、バッテリーパックのコストは「シボレー ボルトEV」よりもほぼ40%低くなっている。2020年、新型コロナウイルスの世界的大流行にもかかわらず、GMのEVに対する取り組みはさらに加速している。「アルティウム」の技術を初公開してからわずか8カ月の現在、GMは、2020 年代半ばまでに導入を予定している第2世代の「アルティウム」バッテリーパックが、現在搭載しているバッテリーよりも60%低いコストでエネルギー密度は2倍になると予想している。この第2世代のバッテリーセルは、以下により、ガソリンエンジンと同等までコストを下げることができる。

 

 

 

 

• より高いエネルギー密度とより少ない非活性材料の使用量を実現し、エネルギーを生成する部分に余裕を持たせたセル設計。

 

• GMとLG化学との合弁会社「Ultium Cells LLC」の製造効率の改善。

 

• セルやモジュールの数を減らすことを可能にした、車両とバッテリーパックの統合性の向上。

 

• より安価な正極、活性材料の削減、新しい電解質の採用、さらにGMのバッテリーで初のリチウム金属アノードの採用。

 

GMは、この次世代「アルティウム」セル化合物のマルチレイヤープロトタイプに関して、数百回ものテストサイクルを実施した。生産型セルは、2020年代半ばまでに完成する予定。

 

「アルティウム」プラットフォームには新しい化合物やセルタイプを受け入れるのに十分な柔軟性があり、アーキテクチャーを再設計する必要がない。「アルティウム」バッテリーはモジュールレベルのサービスが容易になるため、パッケージ全体の交換よりも修理費用が安くなる。

 

エグゼクティブ・バイス・プレジデントのバークス氏は「GMのEV開発はスピードアップしており、コストも急速に下がっているため、私たちの『アルティウム』EVプログラムは第1世代から黒字化するものと期待しています。変化の激しいこの業界の開発競争で優位性をもたらすものは、GMの革新的なEVコンポーネントのコストや性能だけでなく、GMの他の先進的なシステムである『スーパークルーズ』や『ビークルインテリジェンスプラットフォーム』、伝統的なポートフォリオの中で開拓された技術とどのようにして統合するかが重要なのです」とコメントしている。

 

GMは、ミシガン州ウォーレンのグローバルテクニカルセンターにある化学・材料システム研究所において、これらセルの開発作業の大部分を行っている。この施設には、ポリマーミキシング、スラリー、コーティングマシン、セル組立室を備えた製造ラインがある。GMでは2021年に、次世代「アルティウム」バッテリー化合物を開発するための全く新しいバッテリーイノベーションラボとマニュファクチャリングテクノロジーセンターの建設に着手する予定だ。

 

 

■EVの導入と改革のペースを加速

 

 

「アルティウム」のモジュラー駆動システムで柔軟性のある特性に加えてバッテリー技術の進歩、仮想開発ツールの利用、そして「ハマーEV」の開発プロセスで学んだ教訓により、GMは当初の計画よりもはるかに早くEVを市場投入することが可能になった。

 

2022年モデル「ハマーEV(GMC HUMMER EV)」の開発期間は、約50カ月から26カ月に短縮され、この記録が現在のベンチマークとなっている。
あわせて以下の12車種の開発スケジュールも前倒しとなった。

• 「ハマーEV(GMC HUMMER EV)」
• EVピックアップトラックを含むGMCの「アルティウム」を搭載した派生モデル3車種
• ピックアップトラックやコンパクトクロスオーバーなどシボレーEVの4車種
• キャデラックの4車種

 

さらに、ビュイックのEVラインアップに「アルティウム」ベースのEV2車種を導入する。「ハマーEV(GMC HUMMER EV)」の次に発売されるEVはキャデラック初の完全電動化モデル「リリック」で、予定より9カ月早く、2022年の第1四半期に投入される予定。

 

バーラ会長兼CEOは「『アルティウム』の開発は、すでに顧客や投資家のGMに対する見方を変えています。私たちは経営陣として、EVへの移行を加速させるために、さらに迅速に行動していくことを決意しています。GMが築く全車電動化の未来は、GMが他と比べてあらゆる点で優れていることの集大成です。それによってGMはすべての人にEVを提供し、利益を上げて成長し、株主への利益を生み出すことができるのです」と述べている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。