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2019年7月30日【トピックス】

日野20年3月期第1四半期連結決算、海外販売は15・8%減

松下次男

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インドネシアをはじめ、アジア市場の需要減速が響き、減収減益へ

 

 日野自動車が7月30日発表した2020年3月期第1四半期(2019年4~6月)連結決算は、主力市場のインドネシアをはじめとしたアジア市場の需要減速が響き減収減益となった。東京都内で決算発表会見を開いた中根健人、佐藤真一の両取締役専務役員は、「商談件数の増加などインドネシアは販売台数回復の兆しが出てきた」としながらも、円高と通商問題をリスク要因に掲げて、先行きも厳しい市場環境となる可能性を示唆した。このため、通期予想は期初見通しを据え置いたが、第2四半期段階で改めて市場動向を精査する考えを表明した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

 2019年度第1四半期の連結損益状況は売上高が4462億円で前年同期比4・5%減、営業利益が136 億円で同28・7%減、当期純利益が66億円で同48・6%減となった。グローバル販売台数は4万2149台で同12・1%減となり、国内市場で1万4726台と同4・3%減となったほか、海外市場が2万7423台と同15・8%減の大幅な落ち込みとなった。

 

 とくに第1四半期決算に大きく響いたのが日野が主力市場としているインドネシアの動向だ。大統領選挙の余波があり、「市場回復が遅れ、販売台数は想定を下回った」とし、前年同期比33・6%減となった。一方で、直近では「商談やファイナンスはプラスとなっており、販売回復の兆しが出てきた。さらにインフラ投資が始まれば、日野の強みである建設関連の車両が伸び、収益に寄与してくる」と期待感を示した。

 

商談件数増加等インドネシア市場回復の兆し、リスク要因は米中貿易摩擦の波及

 

 国内市場は小型トラックの排出ガス規制強化に伴う駆け込み需要で総需要は伸びたが、日野は前年同期が高水準だった分、大中型トラック、小型トラックともに販売台数、シェアを落とした。米国、タイ、さらにトヨタ向け車両・ユニット売上はほぼ計画通りとなった。

 

 通期見通しは、期初予想の売上高1兆9600億円、営業利益900億円、当期純利益560億円から変更しなかった。しかし、第1四半期決算で下振れしたこともあり、「原価低減活動を積極化させたい」とした。さらに、リスク要因として米中貿易摩擦を取り上げ、「中国経済の落ち込みから、アジア全体の市場に減速感をもたらす」と懸念を表明した。これらの動向を第2四半期以降、見極めたいとした。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。