NEXT MOBILITY

MENU

2019年10月30日【トピックス】

日野自動車、2020年3月期第2四半期連結決算会見を実施

松下次男

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日野自動車は10月30日、2020年3月期第2四半期(4~9月)連結決算を発表し、通期業績見通しを下方修正した。米中貿易摩擦などを背景に、インドネシアを主とした海外のトラック販売台数減や為替が響いた。第2四半期決算も累計実績も減収減益となった。下義生社長兼CEO(最高経営責任者)は都内で開いた決算発表会見で「今期の収益を重く受け止め、収益力強化に取り組んでいく。これにより下期さらなる上積みを目指すとともに、来期以降の収益拡大につなげたい」と述べた。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

通期見通しを下方修正、2Q累計実績は減収減益

 

 2020年3月期連結決算見通しは売上高を1兆9000億円(前年度比4・1%減)、営業利益を680億円(同21・6%減)、当期純利益を400億円(同27・2%減)に修正。期初予想に比べ売上高で600億円、営業利益で220億円、当期純利益で160億円それぞれ引き下げた。アジアを主体に市場の回復が鈍く、19年度のグローバル販売台数計画を期初見通しから16万台引き下げ193万台(同5%減)へと下方修正したのが主な要因だ。
 19年度第2四半期累計決算の実績は、売上高が9461億円で前年同期比1・2%減、営業利益が328億円で同14・1%減、当期純利益が186億円で同23%減となった。グローバル販売台数は9万3831台と同6・3%減のマイナス。とくに海外販売台数が5万7976台と同12・9%減と大きく落ち込んだのが響いた。国内販売はトラックの排ガス規制の影響から3万5855台と同7%のプラスだった。半面で、下期は反動減を見込み、通期では前年並みを予想。

 

 

インドネシアを主とした海外販売減や円高が響く

 

 第2四半期累計業績をみると、とくに主力市場のインドネシアで大中・小型トラックとも販売台数が想定を大きく下回ったのが業績悪化の要因だ。「着実に市場は回復基調にあるものの、想定より大きく遅れている」とし、販売台数は1万3829台(前年同期比28・5%減)にとどまった。年度見通しも期初予想から8千7百台下方修正した。米国は7235台と同9・4%増のプラスとなったものの、先行きは不透明として通期予想を2千3百台下方修正した。タイは6192台(同4・7%減)とほぼ計画どおりの推移となった。

 

 

収益力強化に取り組み、下期は目標に上乗せを

 

 これに伴い通期の海外の販売台数予想を12万4千台(前年比5・8%減)と期初公表から1万6千台下方修正した。トヨタ向け事業は、SUVの販売増やタイでのユニット販売が伸び、上期は車両、ユニット販売ともプラスだった。通期の販売台数予想も13万8500台と期初公表から800台上乗せした。為替は通期予想を1ドル107円の設定と期初の110円から円高方向に修正。とくにオーストラリアドルや新興国通貨に対し、円高基調となっているのが利益圧迫要因になっているとの懸念を示した。
 下社長兼CEOはこうした厳しい環境下に対し中期計画のチャレンジ2025に沿って「収益構造改革を推進する」と強調。各領域で収益構造を見直すとともに、全ての領域で原価低減を徹底し、抜本的な業務効率化を図りたいとした。これにより今回の公表値から下期「さらなる上積みを目指したい」と述べるとともに、来期以降の収益拡大へつなげていく方針を示した。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。