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2020年7月29日【トピックス】

日野自動車、今期業績で営業黒字を目指して合理化推進

間宮 潔

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日野自動車・ロゴ

 日野自動車は7月29日、期初未定とした2021年3月期連結業績見通しを明らかにした。売上高は前期比22.3%減の1兆4100億円、営業利益を同96.4%減の20億円とし、強靭な企業体質づくりの推進と「黒字化する覚悟」(山根健人・専務役員)を示した。ただ経常利益以下の損益については、なお不透明な経営環境にあることから公表を見送った。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 

 今期の販売予想は、日野ブランドで14万2500台(前期比21%減)、受注生産するトヨタブランドで8万8800台(同36.3%減)とし、大幅な落ち込みを織り込んだ。
 期初の予想に対して、国内販売は5万9000台と据え置いたが、海外販売は回復のスピードが落ちていることから期初の9万1000台から7500台圧縮する8万3500台に下方修正した。

 

 その結果、グローバル販売台数は期初予想の15万台から14万2500台に圧縮、トヨタ分も期初の見通しより減少幅を拡大させた。
 日野は販売ボリュームの減少だけでなく、流通段階での在庫調整をすすめ、次なる需要回復に備える。このため今期の生産台数は日野車で12万6400台(同26.2%減)、トヨタ車8万8800台(同39.1%減)を見込んでいる。

 

 29日の2021年3月期第1四半期決算発表会(電話会議)では、中根専務役員に加えて、佐藤真一CFOが出席、4~6月期の業績を明らかにした。
 それによると、売上高は3004億円(前年同期比32.7%減)とし、営業利益は前年の136億円から一気に赤字にとなるマイナス106億円、経常利益も118億円の赤字とした。また、当期純利益も前年の66億円から81億円の赤字になった。第1四半期としては2009年のリーマンショック以来の赤字だ。

 

 同第1四半期でのグローバル販売台数は、2万7924台(前年同期比33.7%減)。うち国内販売は1万2516台で同15%減としたが、海外販売がアジアを中心に大きく落ち込み、同43.8%減の1万5408台となった。

 

 地域別では、コロナ渦による影響が想定以上に深刻だったインドネシアで同73.2%減の1498台だった。一方、タイは同31.2%減の2115台となり、「6月単月では1000台に迫るまで回復している」とした。先進国の米国では大都市でのロックダウンの影響もあり、同42.4%減の1991台と停滞している。

 同社は、こうした厳しい経営環境の中で原価低減や働き方改革によって、販売面の収益悪化、279億円の赤字を圧縮し、最終81億円の赤字に抑えた。

 

 なお通期では、1000億円の赤字(営業利益段階)が見込んでいる。このうち国内販売で220億円、海外販売で500億円、トヨタ事業で170億円、その他で110億円の赤字を想定しているが、これを固定費の徹底的な圧縮、キメの細かい原価改善努力を推進することによって吸収する方針だ。

 

 中根専務役員は、「来年以降も厳しい環境は続くが、ピンチをチャンスに変えて、チャレンジ2025で目指す姿の実現に向けて取り組んでいく」と語った。
 また「市場の変化をきめ細かくとらえ、販売オプチュニティをしっかりとり込んでいく」とも述べた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。