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2019年11月8日【アフター市場】

ホンダ、2020年3月期第2四半期連結決算会見

松下次男

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インド市場の四輪、二輪の販売減が響く

 

 ホンダが11月8日発表した2020年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績(国際会計基準)は、インドでの販売減や為替影響などが響き減収減益となった。加えて、部品調達上のトラブルから新型車の生産が滞ったことや下期も厳しい市場環境を予測していることを踏まえ、通期見通しを下方修正した。倉石誠司副社長は本社で開いた決算発表会見で「米中などの主要国では市場の伸びを上回っており、前年越えを目指す。一方で、品質問題で販売が伸ばせなかった。インド市場の低迷も大きい」と述べた。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

 

4~9月の6カ月累計業績は減収減益

 

 4~9月の6ヵ月間累計の連結業績は売上高が7兆7253億円で前年同期比1・8%減、営業利益が4726億円で同8%減、当期純利益が3688億円で同19%減となった。四輪車の販売台数は256万2千台と同0・4%増となったものの、インドでスクーターなどが落ち込み二輪車の販売台数は1001万9千台と同6・1%減となった。

 

 部品品質問題について倉石副社長は調達先の生産ラインで不具合が見つかり、8月に全面改良した新型軽ワゴンの「N-WGN」の生産を一時止めて品質確認後に生産再開したため、販売台数に影響が出たという。新型「フィット」も同じ部品を使うため、発売を延期せざるを得なかったとし、「製造ラインでばらつきが出たのが原因だ。生産量が増えたのも要因」と分析した。

 

代表取締役副社長、倉石誠司氏

代表取締役副社長、倉石誠司氏

 

為替影響や日本での部品供給制限影響なども利益を圧迫

 

 通期の連結業績見通しは売上高15兆円(前期比5・3%減)、営業利益6900億円(同5%減)、当期純利益5750億円(同5・8%減)に修正。期初見通しから売上高で6000億円、営業利益で800億円、当期純利益で700億円それぞれ引き下げた。グループ販売台数については四輪車497万5千台(同6・5%減)、二輪車1990万台(同1・7%減)の販売計画へ下方修正し、前回見通しからそれぞれ13万5千台、45万台引き下げた。

 

 通期の四輪車販売台数見通しを市場別にみると、日本で5万5千台、北米で1万台、欧州で5千台、アジアで5万5千台、その他市場で1万台それぞれ前回見通しから引き下げた。二輪車についてはアジアの販売台数を大幅に下方修正した。

 

専務取締役、竹内弘平氏

専務取締役、竹内弘平氏

 

 日本市場では、上期N-BOXやN-VANが好調に推移し、市場の伸びを上回る販売台数を達成した。前年同期比でも四輪車は9・5%増となった。一方で、市場環境の悪化や部品調達上のトラブルの影響があり、通期では全需、ホンダの販売台数ともに前年度を下回ると予想した。

 

アジア地域で2輪も微減、通期見通しを下方修正

 

 米国では、セダン市場が縮小し、全需も上半期は前年割れとなった。今年の四輪車市場は1700万台弱と微減を予測。これに対し、ホンダは第2四半期の3か月間でみると、プラスを達成。通期でもCR-Vハイブリッドの新規投入やパスポートの投入効果などで前年越えを目指す。

 

執行役員、森澤治郎氏

執行役員、森澤治郎氏

 

中国は現地の中国汽車工業協会が7月に今年の四輪車市場を2668万台と前年比5%減の見通しへ下方修正したが、新車効果などにより上期2割弱の伸びと好調だったホンダは2019年度「過去最高を目指す」と強気の姿勢をみせた。

 

二輪車では、上期インドで2割弱落ち込んだほか、タイで前年同期に比べ約1割の減少となった。その他のアジア地域でも微減となった。インド市場については個人消費が低迷するなど早急な回復は難しいと予測する。
4~9月期の事業別の売上高営業利益率は四輪事業が3・7%(前年同期4%)、二輪車が14%(同16・2%)だった。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。