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2023年8月29日【新型車】

いすゞ、中型トラック「フォワード」をフルモデルチェンジ

坂上 賢治

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いすゞ自動車は8月29日、16年振りにフルモデルチェンジした中型トラック「フォワード」シリーズを同日より販売開始した。

 

今回のフルモデルチェンジでは、「デザイン」「セーフティ」を中心に、「ホスピタリティ」「コネクテッド」の分野で進化を図り、多彩なラインアップはそのままに、先進安全装備の選択肢を広げて、「運ぶ」を担うドライバーに安全と快適を提供する。

 

そんな新型「フォワード」の主な改良点は以下の通り

 

(1)デザイン
「PLEASURE to CARRY」をコンセプトに、タフさと華やかさを高い次元で両立。中型トラックらしい車格感を演出しつつ、誰もが乗ってみたくなる親しみ易いスタイリングに仕上げた。

 

(1-1)エクステリア
フロントグリルには、新しいいすゞのブランドアイデンティティーである「ワールドクロスフロー」を取り入れた。これは同ブランドとして一貫性のあるグラフィックでありながら、新フォワードでは中型トラックらしい堅牢さを表現している。

 

(1-2)インテリア
タフで機能的でありながら、親しみやすさを感じる室内デザインに仕上げた。人が直接触れるスイッチ類をブラックカラーでゾーニングし、識別性の向上や耐傷性にも配慮した。

 

 

(2)セーフティ
交通死亡事故ゼロを目指し先進安全・運転支援機能を拡充させた。今改良では、近距離ミリ波レーダーの追加とドライバーステータスモニターを追加してアクティブにドライバーをサポートする。加えて検知や警報のみならず、システムが車両を制御することで事故抑制にも貢献する。

 

(2-1)レーンキープアシスト
走行時に車線を検知し、自動的にステアリング制御を行って車線逸脱による事故を抑制する。また高速走行時に車線内の中央走行を維持することで、長時間運転によるドライバーの疲労を軽減させる。

 

 

(2-2)ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)
ドライバーが急病などで安全に運転できない場合に、システムが異常を検知して自動で車両を緊急停止させる。またこれはドライバーによるスイッチ操作でも作動する。

 

 

(2-3)可変配光型LEDヘッドランプ
先行車や対向車の光をセンサーが検知して、ハイビーム走行時、安全走行に必要な範囲を自動で配光すると共に夜間走行時の良好な視界を確保。ドライバーの安全と疲労軽減に貢献する。

 

 

(2-4)ドライバーステータスモニター
ドライバーの居眠り運転や脇見運転などを検知し、警告音とモニター表示で注意喚起を行う。更に過度な眠気を検知した場合、自動的にエアコンが強い冷風を発し、より強く注意喚起することで事故抑制に寄与する。

 

 

(2-5)ブラインドスポットモニター
新たにレーダーを追加したことで、側方衝突警報装置(BSIS:Blind Spot Information System)装着義務化の法規に対応した。また交差点進入時の警報機能に加え、車両直前や左側方、車線変更時の死角に入り込んだ対象物の検知・警報も可能になっている。

 

(2-6)標識認識機能
車両搭載カメラが、最高速度・車両進入禁止・追越禁止・一時停止の交通標識を読み取り、メーターディスプレイに表示。ドライバーの交通標識の見落としを防ぐ。

 

 

(2-7)標識連動型スピードリミッター
カメラが読み取った最高速度標識に合わせて、車両側でスピードリミッター制御を行い、速度超過による事故を抑制する。

 

(2-8)全車速車間クルーズ
全車速車間クルーズをエアサスペンション車にも追加。全車速域で車間距離を維持するように車両を制御する。また先行車が発進し、ドライバーの発進操作がなかった場合は、メーターディスプレイ上でドライバーに先行車発進を知らせる。

 

 

(2-9)電動パーキングブレーキ
電動パーキングブレーキを新規設定。自動で作動/解除する機能を備えドライバーの離席と連動する他、EDSSによる緊急停止でも自動で作動し、安全性の向上とドライバーの負荷軽減に貢献する。

 

 

なお上記の先進安全機能は、それぞれの顧客の立場に立った細かなニーズや、運行形態に合わせて選択できるよう「ベーシック」「スタンダード」「アドバンス」「プレミアム」の4種のパッケージオプションが用意されている。

 

(3)ホスピタリティ
キャビンデザインは広がりを感じるものに一新させ居住性も向上した。実用面でも大型トラック譲りの新高機能シートの採用など車格感の向上にも努めた。

 

また、先進安全・コネクテッド機能の装備追加により、操作スイッチ数や車両からの情報量が増加する中、今改良ではスイッチ類の最適配置を行い、誰にでも使い易いデザインにしてドライバーの多様化に配慮した。

 

(3-1)インストルメントパネルの刷新
インストルメントパネル上のスイッチは、走行中に使うものをドライバーのより近くに配置した。スイッチ類は目的別にゾーニングし、使い勝手の向上を図っている。

 

 

(3-2)メーターパネルの刷新
メーターパネルの中央部に7インチのメーターディスプレイを採用した。シンプルなレイアウト上に、新たに開発した「いすゞオリジナルフォント」によって視認性を向上させた。これにより走行中の可読性を高め、先進安全装備や車両コンディションの情報を的確に伝えられるようにした。

 

 

(3-3)センターディスプレイの新規設定
タッチパネル操作の7インチセンターディスプレイを新採用した。それらによりバックカメラ映像やBluetooth接続による音楽再生機能、SmartDriveLinkTMを利用したスマートフォンのアプリを画面上で操作することが可能となり、車内のエンターテインメント性を高めている。

 

(3-4)高機能シートの新規設定
先の通り大型トラック「ギガ」に採用している高機能シートをクラスを超えて新型「フォワード」にも採用した。シートサスペンションは任意の高さで固定し、乗降時や室内移動時に便利な「電子式サスペンションロック」や、高級乗用車が採用する「吸引式ベンチレーション機能」、「シートヒーター」を装備し長時間でも快適な運転を可能にした。

 

(3-5)収納力
室内空間の利便性を高めるために、最大40リットルを超える収納スペースを確保し、クラストップの使い勝手を実現させている。

 

(4)コネクテッド
2022年10月にサービス提供を開始した商用車情報基盤「GATEX(ゲーテックス)」を利用した、商用車テレマティクス「MIMAMORI」および、いすゞ独自の稼動サポートサービスである「PREISM」を新型「フォワード」でも提供する。

 

特にPREISMではスマホアプリの機能を拡張。車両だけではなくドライバーとも繋がることで安心と安全な稼動をサポートする。

 

車型:車型2RG-FRR90V4

 

仕様:
GVW:8t級
Fカーゴ(ウィング)
フルキャブ・標準ルーフ
エアサスペンション
JH25:達成
JH15:10%達成

安全装備:ADVANCE

 

エンジン/トランスミッション
・4HK1-TCH
177kW(240PS)
・6速スムーサーFx

 

価格
税抜13,733,000円(東京希望小売価格)
税込15,106,300円(東京希望小売価格)

 

国内目標販売台数
16,000台 / 年 (フォワードシリーズ全体)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。