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2020年2月7日【トピックス】

いすゞの2020年3月期決算、減益予想

間宮 潔

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 いすゞ自動車は2月7日、東京・浜松町で2020年3月期の第3四半期連結決算(4~12月累計)を発表した。連結売上高は前期比4.4%減の1兆5183億円、営業利益は同21.1%減の1137億円、当期純利益は同28.3%減の674億円と「減収減益」の決算とした。過去最高の収益を計上した前期と比べると様変わりの業績となった。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 

いすゞ決算の全景

 

営業利益の増減要因は、原価低減活動で94億円のプラスとしたものの、その他項目で減益となった。売上変動/構成差で175億円、経済変動(鋼材値上げなど)で69億円、為替変動で123億円、労務費・一般管理費の増加などで31億円の減少を余儀なくされた。

 

南真人取締役常務執行役員(企画・財務部門統括)は第3四半期(3カ月)の数値について、「中間期決算時に説明した通り、各国の需要の低下、あるいは排出ガス規制に伴う在庫対応相当があり、前年より低い水準になる」とし、「想定通り」と説明した。

 

 第3四半期(10~12月)グローバル販売台数はコマーシャルビークル(CV)、ピックアップトラック(LCV)合計で、前年同期比17%減の13万7000台と大きく落ち込んだ。

 

特に国内の小型トラックは9月実施の排出ガス規制を前にした駆け込み需要が上期に発生し、その反動が下期にでた結果、国内CV部門が同24%減の1万5000台と大きく落ち込んだ。
海外CV部門は同20%減の4万6000台で、インドネシアの回復遅れや新たに豪州の景気減速の影響が出始めている。

 

一方、タイにおけるLCV国内出荷は同8%減の4万2000台で、家計債務に対する審査の厳格化などが影響した。LCV輸出も同21%減の3万4000台となり、インドネシア、豪州の景気減速が響いた。

 

いすゞ決算で説明に当たる幹部

 

ちなみに第3四半期(4~12月)の累計グローバル販売台数は前年同期比10%減の43万4000台となった。CV合計が同8%減の21万2000台、LCV合計で同13%減の22万2000台となった。
これに対して、通期のグローバル販売台数は、前回予想より2万6000台少ない60万8000台(前年比7%減)とし、下方修正した。

 

 国内CVは前回に予想より1000台少ない8万4000台(同1%増)とし、「必達」の数値とした。海外CV は前回より8000台少ない20万9000台(同6%減)した。タイLCVでは前回予想より6000台少ない16万5000台(同1%増)と下方修正したが、「新型ピックアップトラックの投入で挽回を図る」とした。

 

輸出LCVでは中国、インドネシア、豪州の減少を織り込んで前回発表より1万1000台少ない15万台(同16%減)とした。この結果、通期の連結売上高は、前回発表より600億円下方修正して2兆1000億円(前期比2%減)、営業利益も80億円下方修正する1420億円(同20%減)、当期純利益も50億円減額の850億円(同25%減)にいずれも下方修正した。

 

いすゞの南真介取締役常務執行役員

 

下方修正の大きな要因としては、米中間の摩擦がアジア全体に広がっているとの見方を示した。
新型肺炎の影響に関連して、「いますぐ生産が滞ることはない」としながらも、「長期化すれば、何らかの影響がでてくる可能性がある」とした。
現在、いすゞは重慶市と南昌市に関連工場、合弁工場があり、中国からの部品調達(エンジン部品)もある。「ティアワン、ティアツーも含め在庫状況を調べ、代替案など慎重に見極めている段階」とした。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。