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2019年5月13日【トピックス】

いすゞ決算、過去最高の収益確保したが次期業績は減益予想

間宮 潔

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 いすゞ自動車は5月13日、東京・大森の本社で2019年3月期の連結決算を発表した。売上高は前期比3.8%増の2兆1492億円、営業利益は同6%増の1768億円、経常利益は同8.9%増の1890億円となり、過去最高の収益を確保した。

 

当期純利益も同7.4%増の1134億円を計上した。ただし昨年11月に公表した事業計画と比べると、売上高で約200億円、営業利益で約72億円のショートとなり、片山正則社長は「後半期に見込んだ新興国での主力車種での需要回復でギャップが生じた」と説明した。

 

いすゞ自動車 片山正則社長

 

 当該期におけるグローバル販売台数は、前期比3.3%増の64万8千台で、うちCV(商用車)部門が同比3.7%増の30万6千台、LCV(ピックアップトラック)が同比3%増の34万2千台となった。

 

このうち国内のCV販売は前期比3.8%増の8万3千台で、大・中型車を指す普通トラック販売での売り方改革の継続、ライバル社の販売攻勢を受けて苦戦し、シェア「31.8%」で2ポイント強落とした。

 

 一方、国内の小型トラック販売は排出ガス規制前の駆け込み需要などもあり、シェアを2ポイント強アップさせて「40.6%」に再び40%の大台に戻した。

 

海外市場におけるCV販売は、中近東での後退、中国での足踏みがあったものの、北米やインドネシア、エジプトの伸びに支えられ、前期比3.7%増の22万3千台とした。

 

タイでのピックアップトラック事業はタイでの販売が前期比5.8増の16万3千台と計画通りとしたが、輸出では期待を外し同0.6%増の17万9千台にとどまった。

 

 次期(2020年3月期)業績予想は売上高で2兆1600億円(前期比0.5%増)、営業利益1659億円(同比6.7%減)、経常利益1700億円(同比10.1%減)、当期純利益1000億円(同比11.9%増)に設定した。

 

年間120億円規模の原価低減活動を推進するが、原材料費(鋼材など)や物流費(燃料など)など経済変動で100億円、タイバーツ高など為替変動で40億円、その他費用増で88億円の費用増が見込まれ、減益予想となる。

 

今期はピックアップトラックの開発費、立ち上げ費用もかさみ、我慢の年になる」とした。

 

グローバル販売台数は、ほぼ前期並みの64万7千台とした。うちCV(商用車)部門が同比2.9%増の31万5千台、LCV(ピックアップトラック)が同比2.9%減の33万2千台とした。

 

 国内のCV販売は普通トラックの全需が8万9千台と昨年に比べ2千台縮小するほか、小型10トラックが9月の排出ガス規制車投入に伴う買い控えを織り込んで7千台少ない10万3千台としたことから前期に比べ1千台少ない8万2千台とした。

 

 タイのLCV事業は、前期に比べ1万台少ない33万2千台を計画している。欧州および中国への輸出が減るほか、タイ国内もモデルチェンジを前にしていること、また丁寧な販売を継続することからボリュームで足踏みすることを織り込み、2千台少ない16万1千台と予想した。(佃モビリティ総研・間宮 潔)

 

 


 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。