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2019年11月8日【アフター市場】

いすゞの2020年3月期第2四半期決算会見

間宮 潔

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 いすゞ自動車は11月8日、東京・大森の本社で2020年3月期第2四半期(2019年4~9月)連結決算説明会を開いた。上半期の連結売上高は前年同期比1.4%減の1兆201億円、営業利益が同18.4%減の714億円、当期純利益が同29.4%減の398億円と減収減益になった。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 

いすゞ決算説明会

いすゞ決算説明会

 

減収減益/通期見通しで利益を下方修正

 

 主力の普通トラック/小型トラック/バスを含めた日本国内でのCV販売は前年同期比14%増の4万5000台と好調となった。小型トラックが規制前の駆け込み需要を取り込み、過去最高のシェア「46.1%」を獲得した。一方、CVの海外販売はアジアを中心に減少、同5.5%減の10万6000台と不調だった。

 

タイを生産基地とするLCV(ピックアップトラック)事業は10月のモデルチェンジを前にした生産調整が響き、タイ国内と輸出を合わせた台数が同13%減の14万6000台となった。この結果、CV・LCV合わせた販売台数は同7.2%減の29万7000台となり、減収の主たる要因となった。

 

片山社長

片山社長

 

 片山正則社長は国内CV販売に関して、「規制前の駆け込み需要が想定した以上に高かったことでのプラスがあった。小型トラックでは計画に合わせて非常に高いシェアをとることができた。この二つの要因でプラス5000台になった」とコメント。海外CVについては「6000台のマイナスは主にインドネシアが影響しており、小型トラックでシェアを伸ばすことができたが、全需が厳しくマイナスになった」とした。

 

タイ国内でのLCV販売は4000台の減少になったことについて、片山社長は「我々の計画に対して少ない影響幅で済んだ」とし、輸出向けのLCVについては「中近東で改善を図ったが、その地域で、われわれの見方以上に回復が遅れている」と指摘した。

 

いすゞ決算説明会で質問に答える片山社長

いすゞ決算説明会で質問に答える片山社長

 

 決算数値については、片山社長は上期の営業利益が700億円台を確保したことについて、「公表していないが、ほぼ事業計画の通り」とした。ただ「為替の影響が想定以上に大きかった」とし、これを「国内のボリュームアップと、タイ・ピックアップトラック切り替えに伴う減産シロが計画より良かった。並びに費用の部分でカバーし、ほぼ計画通りに着地した」と総括した。

 

なお通期の見通しは、期初(5月発表)の計画通り、連結売上高を2兆1600億円(前期比0.5%増)と据え置いたが、タイにおけるバーツ高にともなうLCV事業の収益性の低下(120億円)をカバーできないとし、営業利益を期初の1650億円から1500億円(同15.1%減)に、当期純利益も1000億円から900億円(同20.7%減)に下方修正した。

 

 通期の販売台数も、期初の64万7000台から63万4000台(前期比2.2%減)に下方修正した。国内CVは期初8万2000台から8万5000台(同1.9%増)と上方修正したが、上期好調の反動を織り込んだ。海外CVは期初の23万3000台から21万7000台(同2.5%減)に下方修正。LCVは期初通り33万2000台(同2.9%減)としたが、タイ国内を8000台上方修正し、17万1000台(同5%増)とするも、LCV輸出を期初に比べ1万台少ない16万1000台(同10%減)に下方修正した。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。