NEXT MOBILITY

MENU

2023年6月14日【新型車】

ジャガー、60年代が蘇る復刻Eタイプをリリース

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

1935年、ウィリアム・ライオンズ卿により設立されたジャガー傘下部門のジャガー・クラシックは、同ブランドを体現するアイコニックな存在「E-TYPE」を称え、2台1組・7組限定の「E-TYPE ZP COLLECTION」を製作する。

 

この「E-TYPE ZP COLLECTION」は、これまでの「E-TYPE」の足跡を伝えるもので、その名称はレース用に改造を施した7台の初期車両に由来している。

 

かつて1960年代当時、ジャガーのチーフデザイナーだったクロード・ベイリー氏は、量産型「E-TYPE」をジュネーブモーターショーで世界初公開した翌日に7台の「ZP」車両の詳細仕様を公表。

 

 

この「ZP」車両は1961年4月15日に開かれたGTカーレースのオールトンパーク・トロフィーで、各々に「ECD 400」および「BUY 1」の登録番号が付けられて出走。グラハム・ヒルとロイ・サルバドーリのドライブにより1位と3位を獲得した。その後1964年にかけて通算24回の表彰台を獲得している。

 

「E-TYPE ZP COLLECTION」は、この1961年に初優勝を果たしたオリジナルのレース車両からインスピレーションを得たカラーリングを採用。従って今回の制作車はドロップヘッドクーペとフィックスドヘッドクーペの2台1組で構成される。

 

その特徴は、「E-TYPE」のレースの伝統を記念する専用ディテールと共にBluetooth接続、ナビゲーション機能を備えたジャガー・クラシック・インフォテインメント・システムを持つなど現代的なクルマとしての使いやすさを兼ね備えている点にあるという。

 

 

5速マニュアル・トランスミッションは、すべてのギアにシンクロメッシュ機構を備え、ヘリカルカットギアと強化鋳造アルミニウムケーシングを採用することで信頼性と耐久性を向上させ、クロスレシオギアのスムーズな変速を可能にした。

 

なお更に2023年後半に、ジャガーのSV BESPOKEパーソナライゼーションチームは「E-TYPE ZP COLLECTION」にインスピレーションを得た限定モデルとして「F-TYPE ZP EDITION」を発表予定としている。

 

このモデルは、5.0リッター V型8気筒スーパーチャージドエンジン(265bhp)を搭載した最後のジャガー製スポーツカーとなり、同限定モデルのうち14台は「E-TYPE ZP COLLECTION」を購入したユーザーのために割り当てられる。

 

 

車両概要は以下の通り

 

ドロップヘッドクーペ

– グラハム・ヒルがドライブしたインディゴブルーの「ECD 400」から着想を得たオールトンブルーで塗装。
– ボンネットとドアにあるラウンデル(ゼッケンを表示するための丸いエリア)はホワイトで仕上げ、フロントエアインテークの内側には、同色のリップスティックを装着。オリジナル車両を忠実に再現するため、グリル全体のモチーフバーとフロントオーバーライダーは削除。
– ジャガー・クラシックのエンジニアはノーズを再加工し、さらに40時間以上かけて手作業で仕上げ完璧な美しさを追求。
– クローム仕上げのバンパー(フロント/リア)。
– ワイヤーホイールおよびジャガーヘリテージのロゴ入りホイールキャップ。
– 1961年当時の仕様を正確に再現するために、ブナ材のステアリングホイール、溶接されたボンネットルーバー、ロック可能なキー付きの外部ボンネットラッチ(「ZP」ロゴ付き)と革製ボンネットストラップを採用。
– リアエンドには「ZP」および「JAGUAR」ロゴを、燃料フィラーキャップ、車両カバー、ルーフカバーにも「ZP」ロゴをレイアウト。
– フロントフェンダー後方のシルバーのシールドの中にはユニオンジャックと「E-TYPE」のシルエット、「Project ZP」のレタリングを配置。
– インテリアは、ブリッジ・オブ・ウィアー社のレッドレザーを採用し当時と同じくハードデュラトリム仕上げ。
– ゴールドのグラウラー・ホーンボタンに加え、アルマイトアルミニウムのセンターコンソールには、英国の彫刻アーティストであるジョニー“キング・ナード”ダウェル(Johnny “King Nerd” Dowell)が手掛けたビスポークのパネルを追加。オールトンパークのサーキットレイアウト、ヒルの名言「In a race my car becomes part of me, and I become part of it(レースで車は私の一部となり、私は車の一部となった)」、そして栄光の勝利を象徴する月桂樹の冠(ペアのもう1台と組み合わせるために半分)が描かれている。

 

 

フィックスドヘッドクーペ
– ロイ・サルバドーリが勝利を収めた「BUY 1」からインスピレーションを得て製作。
– オリジナル車両のパールグレーに着想を得たクリスタルグレーのエクステリアカラーを採用。クリスタルという名称は、サルバドーリが「E-TYPE」で初めて勝利を収めたクリスタルパレスから由来。
– ドロップヘッドと同様、ホワイトのラウンデル、クローム仕上げのバンパー、溶接されたボンネットルーバー、専用のサイドグラフィックディテールを装備。さらに英国バーミンガムのジュエリークォーターに拠点を置くスペシャリスト、ヴォートンズ(Vaughtons)と協力し製作したエクステリア・エンブレムも装着。
– ダークネイビーのブリッジ・オブ・ウィアー社のレザーインテリアと、それにマッチするハードデュラトリム、ブナ材のステアリングホイールを採用。
– アルマイトアルミニウムのセンターコンソールのパネルには、月桂樹の冠(残りの半分)、クリスタルパレスのサーキットレイアウト、車両のシルエットに加え、ロイ・サルバドーリのニックネームであった「King of the Airfields(飛行場の王)」の文字を彫刻。

 

 

最後にリリースされる各車両には、当時、ドライバーのヒルとサルバドーリが着用していたものを再現したヘルメットが付属する。これらは、1950年代からヘルメットを製造してきた英国の専門メーカー、エバーオークのビル・ヴェロ(Bill Vero)が製造したもの。

 

 

そして、インテリアと同じレザーを使い、ジャガー・クラシックのトリムエキスパートが製作した、テーラード・レザーのヘルメット収納用バッグ、車両ハンドブック用のレザーポーチも提供される。更に「ZP」ロゴ入りの専用車両カバーと、トランクフロアの下に収納できる特注のジャッキ(専用の収納バッグ付き)も付属する。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。