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2021年6月10日【イベント】

JAIA、輸入電動車普及促進イベントを開催

山田清志

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日本自動車輸入組合(JAIA)は6月10日、東京都千代田区の大手町三井ホールで「今から始める2035年~輸入電動車普及促進イベント」を開催した。JAIA加盟13社の代表が集結し、それぞれ自慢の電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を持ち寄り、電動車の普及促進をアピールした。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

 

4月から新たなプロジェクトを展開

 

「昨今、世界各国でカーボンニュートラル実現の気運が高まる中、電気自動車やプラグインハイブリッド車を含む電動車の急速な普及に期待が寄せられている。例えば、ドイツでは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策を背景に補助金が増額され、同国の2020年乗用車新規登録において、電気自動車は前年比3.1倍、プラグインハイブリッド車は前年比4.4倍になった」

 

JAIAのティル・シェア理事長(フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン社長)は冒頭の挨拶でこう話し始めた。カーボンニュートラルに取り組まなければ、これから自動車会社は生き残れないということかもしれない。

 

日本市場でも、今年1月に発表した政府の施政方針演説で、2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%実現が明言された。また6月2日には、政府が2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略で、充電インフラに関して、公共用の急速充電器3万基を含む充電器15万基を設置し、2030年までにガソリン車並みの利便性を実現するという方針が打ち出された。

 

 

そんな中、JAIAは4月から「輸入電動車普及促進プロジェクト」を展開。これまでどちらかと言えば特別なものとして捉えがちだった電動車が、これからは当たり前、ニューノーマルになっていく今、輸入車インポーターが一丸となって、BEVやPHEVなどの輸入電動車の魅力を発信することで電動車の普及促進を図ろうとなったのだ。実は、この裏にはショッキングな出来事があった。

 

日本ユーザーの50%が輸入電動車を知らなかった

 

国内の自動車市場で、輸入車の割合は登録車全体の約1割を占め、輸入電動車の販売台数も増加傾向にある。例えば乗用車については、BEVの販売台数は2020年、前年比200%を超え、電動車の割合は1.1%だったという。しかし、JAIAが行った2020年の調査で分かったのは、日本の自動車ユーザーの約50%が、輸入BEVやPHEVについて知らなかったことだった。

 

そこで、輸入電動車普及促進プロジェクトを展開するとともに、「輸入電動車の認知を高めてもらうために、今回のイベントを企画した」(シェア理事長)というわけだ。そして、会場に各社自慢の電動車11台を並べ、輸入電動車の魅力をアピールした。

 

 

ちなみにその11台とは、BMW「iX」、メルセデス・ベンツ「EQA250」、ボルボ「XC40 PHEV」
プジョー「e-2008GT」、アウディ「e-トロン・スポーツバック55・クアトロ」、FCA「ジープ・レネゲート・トレイルホーク 4xe」、テスラ「モデル3」、ジャガー「I-PACE」、ストリートスクーター「D17」、ポルシェ「タイカン・ターボS」、フォルクスワーゲン「e-ゴルフ・プレミアム」だ。

 

「電動車の普及には、政府による再生可能エネルギー供給の増加や、電動車への車両購入補助などの支援継続に加えて、目的や用途にあった充電インフラの拡充が不可欠。JAIAは公共充電設備の拡充や集合住宅における充電器の設置が、電動車の普及には非常に重要だと考えている。東京23区における登録車に占める輸入車の割合は約25%、港区においては50%となっており、特に都心部における充電設備の充実は喫緊の課題として捉えている」とシェア理事長は強調し、政府や関係省庁に働きかけていくそうだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。