NEXT MOBILITY

MENU

2022年11月16日【テクノロジー】

JDパワージャパン、日本車の先進機能・体験調査

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

総合イノベーションランキングはスバルが2年連続第1位

 

CS(顧客満足度)調査のJ.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二)は11月16日、2022年の日本自動車テクノロジーエクスペリエンス( Tech Experience Index、略称TXI )調査の結果を発表した。

 

同調査は年に一回、新車購入後2~13ヶ月経過したユーザーを対象に、自動運転支援をはじめとする各種機能・装備について、購入した新車の装備有無や利用上の不具合経験、利用評価、今後の意向等を捉えている。

 

 

具体的には、機能・装備毎の不具合経験と利用評価を元にエグゼキューションインデックスを算出。更に全ての機能・装備別エグゼキューションインデックスと装備普及率を元に、各ブランドがどれだけ迅速、効果的に新しい機能・装備を市場導入しているかを示す総合イノベーションインデックスを算出。今回で実施2回目。

 

ランキング分類のため車載装備・機能など基準となった調査要素や対象

 

実施期間は2022年5月~6月、調査対象は新車購入後2~13ヶ月経過したユーザー( 18歳以上 )、調査方法はインターネット調査、調査回答者数は20,797。

 

評価要素となった20の先進機能・装備の詳細
<利便装備>
デジタルルームミラー、車載ドライブレコーダー、指紋認証※、グラウンドビューカメラ、ジェスチャーコントロール、リアシートリマインダー、降車時安全支援

 

 

<安全・運転支援>
自動運転支援、アクティブレーンチェンジアシスト、緊急時自動操舵支援、ドライバーモニタリング、フロントクロストラフィックワーニング、リモートパーキングアシスト、後退時衝突被害軽減ブレーキ

 

<エネルギー/サステナビリティ>
外部給電※、電気自動車エネルギーアシスタント、ワンペダルドライブ

 

<インフォテインメント/コネクティビティ>
ARディスプレイ※、スマートフォンのデジタルキー、AIアシスタントを介した車外からの車両操作。

 

その他の機能・装備(インデックス算出には含まない参考機能・装備として聴取):
アダプティブクルーズコントロール、Android Auto、Apple CarPlay、衝突被害軽減ブレーキ、車載ナビゲーションシステム、充電スケジュール管理※、前方衝突ワーニング、車線逸脱ワーニング、レーンキープアシスト、OEMのスマートフォン用アプリ、リアクロストラフィックワーニング。※印は2022年に新たに調査対象となった機能・装備

 

ラグジュアリーブランドを中心に先進技術の装備が進む

 

調査にあたって取り上げた20の先進機能・装備で、個々車両1台当たりの平均装備数は1.9個。車種類別では、軽自動車で1.4個、マスマーケットブランドの登録車で2.2個、ラグジュアリーブランドの登録車で3.3個となっており、ラグジュアリーカーを中心に先進機能・装備の浸透が進む状況が伺えるという。

 

上記20の先進機能・装備の中で装備率が高いのは、車載ドライブレコーダー( 69% )、後退時衝突被害軽減ブレーキ( 44% )、自動運転支援( 35% )などで、それぞれ前年より1~4pt装備率が伸びた。

 

 

機能・装備で異なる評価と意向、一部機能・装備は大幅な改善を望む

 

ドライブレコーダーは装備率が69%、次回装備意向率(必ず欲しい)が62%と、20の先進機能・装備中最も高い。

 

ただ既に一般装備化しているため利用評価は相対的に低く( エグゼキューションインデックス:778pt/10段階の総合評価(評価)と不具合指摘数により1,000pt満点で算出 )、競合への差別化装備とはなり難い。

 

これを強みとするためには、ユーザーのニーズや使い方を踏まえた機能・性能の大幅な強化が必要となる。

ワンペダルドライブや外部給電などEV関連の機能・装備は、電気自動車の普及が進んでいないため市場全体としての普及率は低い。しかし利用者の評価は高く、ワンペダルドライブのエグゼキューションインデックスは20の先進機能・装備中最も高い850pt。

 

外部給電は3番目に高い826pt。次回装備意向もワンペダルドライブが44%、外部給電が51%と高かった。つまりEVだからできる新しいカーライフスタイルを積極的に明示していくべきとした。

 

対して最も不具合指摘が多かったのは、ジェスチャーコントロール( 41.6P/P100、装備を利用したことがある車両100台当たり41.6箇所の不具合指摘数 )、次いでスマートフォンのデジタルキー( 17.1P/P100 )。次回装備意向もジェスチャーコントロールは15%、スマートフォンのデジタルキーは23%と低かった。

 

機能・装備の利用促進や評価改善には販売店スタッフのユーザーサポートが不可欠

 

各機能・装備の利用方法に関する販売店スタッフの説明有無別評価で十分な回答者数が得られた機能・装備の傾向をみると、いずれも販売店スタッフの説明があった場合の評価はなかった場合の評価よりも高かった。販売店から説明を受けて機能・装備を習熟する事は機能・装備評価にプラスになるとした。

 

説明有無による評価差が最も大きかったのはドライバーモニタリング( 説明あり:817pt /説明なし:772pt、45pt差 )、次いでアクティブレーンチェンジアシスト( 836pt /793pt、43pt差 )。

 

販売店スタッフが機能・装備について習熟することはもちろんのこと、販売店スタッフがユーザーに接する限られた時間で効率的・効果的にユーザーに情報提供できる説明方法や支援ツールの開発なども必要であろうと結んでいる。

 

2022年日本自動車テクノロジーエクスペリエンス調査・各部門No.1

 

【ブランド別アワード】

総合:スバル 
ラグジュアリー:メルセデス・ベンツ

 

 

【先進技術カテゴリー別アワード】
<利便装備>
マスマーケット:トヨタ アルファードのデジタルルームミラー。

<安全・運転支援>
マスマーケット:スバル フォレスターの後退時衝突被害軽減ブレーキ。
※<利便装備><安全・運転支援>のラグジュアリーブランド、<インフォテイメント/コネクティビティ><エネルギー/サステナビリティ>カテゴリーは社内基準を満たさず不成立。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。