NEXT MOBILITY

MENU

2023年4月20日【自動車・販売】

英JLR、EV施策で今後5年間・150億ポンドを投資へ

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

炭素中立・ADS・AI・人材に5年間で150億ポンド(約2兆4,900億円)投資

 

2023年4月19日、英国ゲイドン発:ジャガー・ランドローバー(JLR)は(英国ゲイドン発)4月19日、世界をリードするモビリティ企業を目指し、事業革新計画を発表した。

 

この計画のなかで、まずは英ヘイルウッドの施設をBEV専用の生産構造へと改装。これにより次世代のミッドサイズSUVは、エレクトリファイド・モジュラー・アーキテクチャー(EMA/Electrified Modular Architecture)を採用するピュアBEVになる事を表明している。

 

 

具体的には、ゲイドンのJLRセンターに於ける記者会見で登壇したJLRのエイドリアン・マーデル最高経営責任者(CEO)は、「REIMAGINE」戦略を今後も強力に推進していく事を明言。

 

電動化を中心に据えたモダンラグジュアリーな自動車メーカーになるため、事業のポジショニングを再構築する事について改めて説明した。それによるとJLRは、2025年までにネットキャッシュフローをプラスに転換させ、2026年までに2桁のEBITマージンを達成するという財務目標を掲げた。

 

英マージーサイドのヘイルウッド工場は、ピュアBEV専用工場に改装

 

エイドリアン・マーデルCEOは、「2年前、私たちはREIMAGINE戦略を立ち上げる事が出来た。

 

それ以来、記録的な需要を喚起する事が出来たDEFENDERファミリーを皮切りに、高評価を受けた〝RANGE ROVER〟〝RANGE ROVER SPORT〟で大きな進歩を遂げる事が出来た、結果、パンデミックと半導体不足という深刻な逆風を受ける中でも第3四半期に利益を計上する事が出来ている。

 

 

加えて本日、英ヘイルウッド工場の刷新と、次世代のミッドサイズSUVアーキテクチャーを完全に電動化する事を発表出来た事を、今はとても誇らしく思う。

 

この投資計画の実行により、我々はモダンラグジュアリーな電動車の未来を見据えて新技術の開発に着手。2039年までに排出ガス量実質ゼロにする目標を可能にしていく」と述べた。

 

英マージーサイドのヘイルウッド工場は、ピュアBEV専用工場に改装

 

更にマーデルCEOは、「我々JLRは、次世代の電動化ロードマップを踏まえて今年後半から新型〝RANGE ROVER〟BEVモデルの予約受注を開始する。

 

次世代ミッドサイズ・モダンラグジュアリーSUVとして最初のBEVモデルは、RANGE ROVERファミリーから2025年に発売する予定だ。

 

 

なおこのモデルは、マージーサイドのヘイルウッド工場で生産する。これは英国自動車産業の未来に対するJLRのコミットメントを改めて再確認したものとなる。

 

その一方で〝RANGE ROVER〟と〝RANGE ROVER SPORT〟に採用しているフレキシブルなモジュラー・ロンギチューディナル・アーキテクチャー(MLA:Modular Longitudinal Architecture)は、内燃エンジン(ICE)、ハイブリッド車、BEVの生産用に今後も維持していく。

 

House of Brandsアプローチでモダンラグジュアリーの立ち位置を確立

 

これによりJLRは、排出ガス量実質ゼロという目標に向けて、様々な速度で歩みを進めている世界各国毎のニーズを満たすべく、それぞれのブランド(RANGE ROVER、DEFENDER、DISCOVERY、JAGUAR)独自の特徴を強化しながら柔軟な体制も併せて構築(House of Brands/ハウス・オブ・ブランズアプローチの実行)していく。

 

 

このHouse of Brandsアプローチについて、JLRチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるプロフェッサー・ジェリー・マクガバンOBEは、「私たちのREIMAGINE戦略にとって最も重要な要素は、House of Brandsアプローチの採用にある。

 

これは自然な進化であり、特徴的な英国ブランドの独自性を高め、それを更に強化する事を目的としている。私たちの最終的な目標は、お客様のために真にエモーショナルで魅力的なドライビング体験を提供する事だ。

 

それを達成する事で時間の経過と共に、私たちのブランドの長期的な価値が高まり、併せて永続的なサステナビリティも実現させる事も可能になる」と語っている。

 

 

ジャガーを再構築。最初モデルは英国ソリハルで生産する4ドアGTに

 

またJLRはジャガーを再構築し、その最初のモデルは英国ウェストミッドランズのソリハルで生産する4ドアGTになる事を明らかにした。

 

これはジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を備え、10万ポンドを上回る価格になる。この新型モデルは「JEA」と名付けられた新しい専用アーキテクチャーをベースに開発される。

 

 

この新しいジャガーの4ドアGTモデルの詳細は今年後半に発表される。2024年には一部の市場で発売し、2025年には最終顧客へ向けて納車を開始する予定だ。

 

これについて先のマクガバンOBEは、「私たちは、モダンラグジュアリー・ブランドとしてのジャガーを、根本的に再構築した。ジャガー変革の鍵は、そのデザインが他のどのクルマにも似ていないという事だ。」と付け加えた。

 

 

一方、マーデルCEOは、「ラグジュアリーSUVというカテゴリーを生み出した〝RANGE ROVER〟BEVは今年後半に予約受注を開始する。

 

 

また再構築を果たしたジャガーからは3つのBEVを投入する。その最初のモデルは2025年となる。これにより私たちは、モダンラグジュアリー・ビジネスを目指すメーカーとして新しい電動化の時代に足を踏み入れる事になる」と結んでいる。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。