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2022年4月7日【テクノロジー】

マツダ、ラージ商品群の技術情報と国内向けCXー60を公表

松下次男

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EV移行期における内燃機関の高効率化で環境低減に貢献

 

マツダは新シリーズのラージ商品群の技術情報を公開し、その第一弾となるクロスオーバーSUV「CX―60」の日本仕様を4月7日、発表した。ラージ商品群は直列6気筒エンジンやPHEV(プラグインハイブリッド)、多段変速機などで構成されるマツダの上級車シリーズ。CX―60は今年初秋に発売する。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

ラージ商品群技術フォーラムと題し、オンラインで記者会見した廣瀬一郎専務執行役員は世界的にEV(電気自動車)化の動きが加速する中で内燃機関によるラージ商品群を投入することについて「電動化への移行期は、多様な商品が混在し、内燃機関の高効率化追求は脱炭素化に寄与する」とその意義を強調した。

 

 

公表したラージ商品群のパワートレインは直列6気筒エンジンや48ボルト(V)マイルドハイブリッド、それにマツダ初となる直列4気筒エンジンと組み合わせてPHEV(プラグインハイブリッド車)などで構成される。

 

排気量、気筒数の増加で、エンジン燃焼を効率化、上級志向にも対応

 

廣瀬専務は「世界的にEVへの移行が進む中にあっても克服すべき課題は多く、一方で、内燃機関は残り、カーボンニュートラル液体燃料、バイオ燃料などの選択肢も現実のものとして十分、考えられる」としたうえで、「内燃機関を効率面でゴールといえるところまで進化させたい」と話す。

 

 

このため、排気量、気筒数を増やすことでエンジンの高効率化を実現し、ラージ商品群に向けて開発中の3・3リットル直列6気筒ディーゼルエンジンはカーボンニュートラル燃料、バイオ燃料にも対応する。

 

これに8速AT(変速機)との組み合わせやマイルドハイブリッド、PHEVなどのマルチソリューションを用意し、脱炭素化に貢献したいとしていた。実際、ラージ商品群の燃費は従来のスモール商品群に上位クラスに匹敵するという。

 

引き続きCX-70、80、90の商品展開を計画

 

開発に当たっては、ビルトインブロック構想、モベルベース開発などこれまで培って手法やソフトウエアファーストを活用することで、多様な商品群を一括で開発し、開発費は前世代比25%低減できるとした。

 

 

ラージ商品群の商品構成はCX-60を皮切りに、SUVのCX-70、80、90などをシリーズ化する計画だ。

 

商品の特色は、エンジン、モーター、トランスミッションを同軸上に置くとともに、縦置きエンジン、後輪駆動方式の4輪駆動方式などを採用。これによりバランスの良い重力配分が可能になるうえ、レイアウトの応用性が広がるとしていた。

 

 

ラージ商品群の第一弾のCXー60を公表。今年初秋に発売

 

そのラージ商品群の第一弾となるのがクロスオーバーSUVのCX-60。欧州向けに続き、4月7日に日本仕様をプレミアした。

CX-60日本仕様は「ドライビングエンターテイメントSUV」をコンセプトに、2列シートミッドサイズSUVとして発売する。

 

 

パワートレインは2・5リットルガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせたマツダ初のプラグインハイブリッドシステム「e―スカイアクティブ PHEV」、直列6気筒ディーゼルエンジンに電動化を組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステム「e―スカイアクティブ D」。

 

 

それに高出力化をクリーンな排ガス性能を同時に実現した直列6気筒ディーゼルエンジン「スカイアクティブ―D 3・3」、2・5リットルガソリンエンジン「スカイアクティブ―G 2・5」の4タイプを用意する。

 

販売目標や価格については、明言しなかった

 

さらにドライバーの異常を検知し、事故回避や被害軽減を支援する「ドライバー異常時対応システム(DEA)を初採用する。

車両サイズは、全長4740ミリメートル、全幅1890ミリメートル、全高1685ミリメートル、ホイールベース2870ミリメートルの大きさ。

 

 

ラージ商品群の第一弾をSUVで出すことについては「世界的にSUV市場が大きく伸びている」ことや「国内でこのクラスのSUVが少ない」ことなどを要因に掲げた。
販売目標や価格については、「発売時期に公表する」として明言しなかったが、マツダ車からの「上級志向も少なくない」など同一銘柄のほか、上級クラスの他銘柄、輸入車からの乗り換えを期待する。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。