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2019年11月1日【トピックス】

マツダ 2020年3月期第2四半期連結決算会見を実施

松下次男

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北米、中国の販売減が響き減収減益、営業利益は14%減

 

 マツダが11月1日発表した2020年3月期第2四半期(4~9月期)連結決算は、北米や中国などでの販売減が響き減収減益となった。これを踏まえ、日本や北米、ASEAN(東南アジア諸国連合)の販売台数計画を見直し、20年3月期の業績予想を下方修正した。藤原清志副社長は都内で開いた決算発表会見で「今は販売の質を落とさない取り組みを続けることが重要。これにより中期計画期間中に、5%以上の売上高営業利益率を実現したい」と強調した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

 

通期見通しを下方修し正販売の質を落とさない政策を継続、北米は2Q黒字化を達成

 

 20年3月期の通期見通しは売上高、営業利益を期初予想からそれぞれ2000億円、500億円引き下げ、3兆5000億円(前期比1・8%減)、600億円(同27・1%減)に修正した。当期利益についても370億円引き下げ430億円(同31・9%減)の予想に見直した。
 第2四半期連結業績(累計)は売上高が1兆7066億円で前年同期比1・3%減、営業利益が258億円で同13・5%減、当期純利益が166億円で同30・3%減の実績となった。日本、北米、中国の販売台数がマイナスとなるなど、グ ローバルの販売台数が73万1千台の実績にとどまり、前年同期に比べ6万5千台、8%の減少となった。 北米に投入した新型「マツダ3」が上級クラスでは好調に推移したものの、量販価格帯で苦戦。インセンティブ(販売奨励金)競争が激しいなか、「あえて量を追わず、販売費用の抑制や売り方の改善策を追求した」ことなども台数減の要因となった。半面で、販売費用の抑制・単価改善の効果で4~9月は312億円の改善と達成。米国事業についても第2四半期の3カ月ベースで米国事業は黒字となった。為替はユーロや豪ドルなどで円高となり、上期375億円の悪化となった。

 

決算実績と見通しを語る常務執行役員・企画領域統括補佐、財務担当の藤本哲也氏

決算実績と見通しを語る常務執行役員・企画領域統括補佐、財務担当の藤本哲也氏

 

量産EVを20年に市場投入するのに伴いラージ商品群はステップ・バイ・ステップで拡大

 

 こうした上期の実績を踏まえ、通期のグローバル販売台数を見直した。期初予想に 対し北米で2万5千台、日本で1万4千台、中国で1万台、ASEANで1万1千台引き下げるなど合計で6万8千台引き下げ、グローバルの販売台数計画を155万台(前年比1%減)へと下方修正した。 決算発表にあわせて藤原副社長は2020-25年3月期の6年間の中期経営計画の施策、取り組みを公表した。この中で、2025年3月期までの販売計画について2018年4月に公表していた新世代商品群を主体にした商品戦略から、新世代スモール商品群が変わらいないものの、新世代ラージ商品群は一気に増やさず、商品力を強化した現行世代商品群を活用しながらステップ・バイ・ステップで世代移行を進めていく方針へ修正する考えを示した。今年の東京モーターショーで公開した初の量産EV(電気自動車)「MX-30」を2020年に市場投入するのもラージ商品群を少し先送りする要因という。

 

中期経営計画を語る代表取締役・副社長執行役員、社長補佐、グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス統括の藤原清志氏

中期経営計画を語る代表取締役・副社長執行役員、社長補佐、グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス統括の藤原清志氏

 

プレミアムブランドを目指すのではなく、高い商品価値に対し納得感のある価格を提供

 

 また、中期経営計画の後半3年間に順次投入する縦置き直列6気筒エンジン搭載車やプラグインハイブリッド車(PHV)のラージ表品群は「高価格を目指すのではない」とし、高い商品価値に対して納得感のある価格で提供すると表明。「我々はプレミアムブランドを目指しているわけではない」と述べた。
 財務指標では、今年春に25年3月期のグローバル販売目標を18年4月の公表値の200万台から約180万台へ引き下げ公表したが、今回もこの目標値は据え置いた。売上約4・5兆円、売上高営業利益率5%以上も同様だ。

製品について語る取締役・専務執行役員、企画領域・渉外・MDI&IT統括の古賀亮氏

製品について語る取締役・専務執行役員、企画領域・渉外・MDI&IT統括の古賀亮氏

販売面について語る執行役員、ブランド推進・グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス担当の梅下隆一氏

販売面について語る執行役員、ブランド推進・グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス担当の梅下隆一氏

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。