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2019年8月1日【自動車・販売】

マツダ、2020年3月期第1四半期連結決算会見を実施

松下次男

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日本、北米、中国で新車販売が減少し、本業の儲けを示す営業利益が79%減へ

 

 マツダが8月1日発表した2020年3月期第1四半期(2019年4~6月)連結決算は、グローバル販売台数が二桁減となったことや円高などが響き、本業の儲けを示す営業利益が70億円と対前年同期比79%減の大幅な減益となった。

 

 東京都内で決算発表会見した藤本哲也常務執行役員は第2四半期以降、販売の質的改善取り組みの継続・強化や新世代商品の第2弾CX-30の投入などにより「期初計画を目指す」と強調した。
 藤本常務執行役員は第1四半期、大幅な減益となった要因について「為替、一過性なパワステ訴訟関連の品質費用の発生、それに販売台数の弱含み」を掲げた。

 

グローバルの販売台数は対前年同期比12%減の35万3千台。これは期初計画から2万4千台の未達となり、とくに米国で1万2千台、日本と中国で4千台期初計画を下回った。
 この結果、第1四半期の連結業績は売上高が8489億円で前年同期比3%減、当期純利益が52億円で同75%減となった。

 

 販売台数が対前年同期比14%減の10万台と計画未達に終わった北米については、新世代商品第1弾の「マツダ3」が高価格帯では計画を上回ったものの、セダン市場そのものが縮小していることや量販帯で苦戦したことが響いた。しかし、販売奨励金(インセンティブ)を抑制するなどの販売の質的改善の取り組みを続けていることから「市場別収益では、米国は改善している」(梅下隆一執行役員)と述べた。

 

第2四半期以降、販売の質的改善に向けた継続強化や新世代商品CX-30で巻き返し

 

 日本では、マツダ3は販売計画を上回ったものの、既存車種の販売が想定を下回った。これにより前年同期に比べ約2割減となった。中国も新型モデル切り替え前のため、苦戦した。

 

 これに対し、第2四半期以降、地域特性にあわせた施策を展開し、巻き返しを図る。日本では、トレードサイクルマネジメントの取り組み強化や高い残価を活用した代替促進策などを実施。米国ではトレンドの改善や販売ネットワーク改革によるビジネスモデル転換などを推進する。

 

車両では、マツダ3の価値伝達活動の強化、CX-5の告知強化など展開する。また、グローバルレベルでインセンティブの抑制、高価格帯へのシフトなど販売の質的改善に向けた取り組みを継続・強化する考えを打ち出す。

 

 商品面では、新世代商品の第2弾となる新型コンパクトクロスオーバーSUVのCX-30を今夏から欧州などへ投入する。すでに同車は4月から本社工場で生産開始しているほか、メキシコ工場でも年内に生産を開始する予定だ。

 

 藤本常務執行役員はこうした施策を打ち出すのは「販売が想定を下回る弱含みとなったため」とした。通期見通しはグローバル販売台数、財務指標ともに期初公表値を据え置いた。ただし、円高や世界的にセダンマーケットの厳しさが増していることなどから「適切なタイミングで(計画を)見直す」考えも示唆した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。