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2023年10月5日【自動車・販売】

マツダ、「ロードスター」をビッグマイナーチェンジ

松下次男

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大幅改良の狙いは先進安全機能など「電気電子プラットフォームの全面刷新」

 

マツダは10月5日、小型オープンスポーツカーの「ロードスター」を大幅商品改良し、同日から予約を開始したと発表した。発売は2024年1月中旬を予定。商品開発本部の齋藤茂樹主査はオンライン商品説明会で大幅改良の狙いについて先進安全機能など「電気電子プラットフォームの全面刷新」を掲げた。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

ロードスターは1989年の発売以降、長く人気を続けるモデルだ。現行モデルは4代目。2015年に発売し、これまでに国内で類型約5・6万台販売した。

 

 

通常、スポーツカーは新車投入後、2年目がピークとなるが、4代目ロードスターは投入後7年目で反転、拡大し、8年目の「昨年、過去最高の販売台数を達成した」と国内商品マーケティング部の大関卓也氏は話す。

 

要因について、大関氏はコロナ禍で「移動手段が変化した」ことやロードスターは毎年、継続進化を続ける中、軽量化を追求した特別仕様車の「990S」が人気となったためと分析した。

 

 

コネクティッドの進化や人馬一体の走りを進化させる性能進化にも腐心

 

ちなみにロードスターはこれまでにグローバルで約190万台、国内で約22万台販売する。最大市場は北米で、続いて欧州、日本となっており、この3市場で97%を占める。

 

 

今回、大幅商品改良したの「ロードスター(ソフトトップモデル)」、「マツダ ロードスターRF(リトラクタブルハードトップモデル)」。齋藤主査はロードスターの大幅改良の目的について3点を掲げた。

 

一つ目が先進安全技術およびコネクティッドの進化。二つ目が「人馬一体の走りを進化させるためのダイナミック性能」の進化。そして最後がデザインの進化だ。

 

現行ロードスターは今年で9年目に入るが、自動車を取り巻く環境は大きく変化しており、「より安全に、より環境に優しい」性能が求められ、ロードスターも例外でないという。国際基準への対応も求められている。

 

 

そこで電気電子プラットフォームを全面刷新。定速走行や車間距離を保つレーダー・クルーズ・コントロース(MRCC)や後退時検知機能のスマート・ブレーキ・サポート(SBS―RC)をロードスターに初採用し、先進安全技術を進化させた。

 

デファレンシャルギヤの差動制限力の変化で旋回挙動も安定させる

 

コネクティッドも刷新。画面の縁部分をできるだけ狭くしたフレームレス構造を初採用したほか、スマートフォンからアプリを通じて車の状態を確認し、万が一の事故の際には自動で救急車を手配するコネクティッドサービスを搭載する。

 

先進安全機能を今回、一新したことについて齋藤主査はクルマの構造上、従来の機能では搭載が難しかったが、「先進安全機能が進化したことで実現できた」と話す。

 

 

この結果、今回の改良は4代目ロードスターで最大の商品改良となったという。
ダイナミクス性能では、加速・減速時のデファレンシャルギヤの差動制限力を変化させることでクルマの旋回挙動を安定させる新開発のアシンメトリックLSDを採用。1・5リットルエンジンも出力を3キロワット向上した。

 

これにより電動パワーステアリングおよびエンジンパフォーマンスフィールの進化とあわせ、リニアで軽快な走りに磨きがかかったとした。

 

デザイン面ではランプ類をLED化し、ホイールデザインを一新。ヘッドランプはデイタイムランニングライトへと変更し、スピード感やライトウエイトスポーツカーらしさを表現させている。

 

 

ストイックな走りはSシリーズに託し、同車ならではのDNAは残す

 

ホイールは、中央から周辺へまっすぐに伸びたスポークが車軸からタイヤに動力を確実に伝えるようなデザインを採用。これによりスポーツカーとしての力強さや精緻さを表現させたとしている。

 

 

ボディカラーではソリッドカラーのような鮮やかさとメタリックカラーならではの陰影感をバランスさせた「エアログレーメタリック」を新たに追加した。

 

 

今回の大幅商品改良にあわせて「ロードスターS レザーパッケージ V セレクション」が追加された。特別仕様車の990Sは廃止されており、齋藤主査は同等のグレードとしてSシリーズを推奨した。

 

車両価格(諸費税込み)はロードスター(ソフトトップモデル)が289万8500円~367万9500円。ロードスターRF(リトラクタブルハードトップモデル)が379万6100円~430万8700円。旧価格に比べて20万円から30万円強値上げされている。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。