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2019年10月4日【トピックス】

マクラーレンが東京・有明に世界初の中古車販売店をオープン

山田清志

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 マクラーレンの中古車販売店が10月4日にオープンした。同販売店はマクラーレン・オートモーティブ・アジアの販売店、マクラーレン東京が東京・有明の東京テクニカルセンター内に新設したもので、名称は「マクラーレン クオリファイド東京」。世界初の認定中古車販売店だ。そこにはどんなマクラーレンの狙いがあるのか。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

 

自銘柄の代替えが増えて新たなフェーズに

 

有明水素ステーションのすぐ近くにあるマクラーレン クオリファイド東京は、湾曲した大きな窓を採用して非常に明るく、開放感ある8mの吹き抜けのエントランスと、2階にはソファやテーブルなどを置いたVIPルームがある。英国にある本社の雰囲気を取り入れ、マクラーレンの世界観を演出したそうだ。そして、敷地にはマクラーレンの中古車がズラリと並ぶ。

 

 マクラーレンは現在、中・長期戦略「トラック25」を推進中で、積極的な新車攻勢をかけている。日本での販売も好調で、グローバルで米国、英国に次ぐ第3位のポジションに位置している。

 

 

「今年5月に国内の保有台数が1000台を超えるという節目を迎えた。そのなかで自銘柄の代替え、つまりマクラーレンからマクラーレンに乗り換えるお客さまが非常に増えている。
そこで、今までの新車中心のビジネスとともに、これからはお客さまのケアをより充実させるようなアフターサービス、さらには下取りとして入ってくる良質な中古車を新しいお客さまに提供する活動をもっと積極的に展開していくフェーズに入った」とマクラーレン・オートモーティブ・アジア日本支社代表の正本嘉宏氏は説明する。

 

これまでは代理店が認定中古車を買い取り、販売していたが、マクラーレン自身が中古車ビジネスを展開し、ユーザーを囲い込もうと考えたわけだ。しかも、マクラーレンの中古車販売は世界的にも増加傾向にある。

 

「昨年同時期と比べると、全世界で27%増、日本が属するアジアパシフィックに関しては48%増と大きく成長している新しい分野となっている」と正本氏。文字通り、中古車ビジネスを展開するにはうってつけの時が来たということだ。

 

 

単に整備するだけではマクラーレンの中古車とは呼ばない

 

 もちろん、展開するからにはマクラーレンならではのサービスを用意する。正本氏によれば、マクラーレン クオリファイドには、大きなポイントは大きく3つという。まずは最高の車両品質、次に安心した保証内容、そして万一の時をカバーするためのロードアシスタンスだ。

 

特に最高の車両品質について、正本氏は「単に整備するだけではない」と強調し、「マクラーレンはレーシングコンストラクターから始まっているブランドであり、お客さまの中にも実際にサーキットを走るユーザーも多くいる。
ということは、一般的に整備をして販売するだけではダメで、マクラーレンらしい究極のセッティングをクオリファイドといえどもしなければいけない」と付け加える。

 

 

当然、その整備はマクラーレン・オートモーティブが主催するトレーニングを受けた認定メカニックが、基準に応じてしっかりと行う。そして補修パーツはすべて純正のものを使う。そのすべてをクリアして初めてマクラーレン クオリファイドと呼ばれる。通常の認定中古車とは違うというわけだ。

 

「これからグローバルでマクラーレン クオリファイドとブランドとして徹底して強化していく。今までマクラーレンにはちょっと近寄りがたかったという新しいお客さまにも、マクラーレンが自信を持って提供するマクラーレン クオリファイドを体験してもらいたい」と正本氏は話す。

 

 また、マクラーレン東京CEOの川本錦一氏も「マクラーレン中古車ビジネスのリーダー的存在になるための責任感と期待感でいっぱい。世界から注目を浴びているので、中古車のクオリティと保証、安心のロードサービスのアシスタンスなどで、しっかりとマクラーレンビジネスに邁進していきたい」とその意気込みを述べた。

 

今年の販売台数が9月末時点で約300台と、昨年の販売台数225台を大きく超えてしまったマクラーレン。その新たな挑戦がこれから始まろうとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。