NEXT MOBILITY

MENU

2023年12月19日【新型車】

マクラーレンの新型スーパーカー「GTS」、最高速度は326km/h

山田清志

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

マクラーレン・オートモーティブは12月19日、新型スーパーカー「GTS」を発表した。GTSは「GT」の後継モデルで、スーパーカーのドライビング・ダイナミクスに加え、快適な乗り心地、洗練性、ラゲッジスペースを望むドライバーに満足してもらえるよう、日常的なドライブや長旅にも適した設計になっているという。(経済ジャーナリスト 山田清志)

 

0-100km/h加速はわずか3.2秒

 

GTSを支えるのはカーボン・ファイバー製モノコック・シャシーの「モノセルII-T」で、ミッド・エンジンのマクラーレン・スーパーカーに求められる強度、超軽量構造、剛性を誇る。しかも標準のコンポジット製ルーフは、再生カーボン・ファイバーが使用されている。こうした選択は、軽量スーパーカーならではの刺激的なドライビング・エクスペリエンスを実現しつつ、乗り心地を損なうことなく、不要なノイズ、ハーシュネス、振動を排除するうえで役立っているという。

 

DIN車両重量は1520kgとクラス最軽量で、パワーウェイトレシオはセグメントトップの418PS/tを誇る。4.0リッターM840TE型V8ツインターボ・エンジンの最高出力は635PSで、GTより15PS向上した。GTSにはローンチコントロール機能が標準装備され、これを稼働させると、0-100km/h加速をわずか3.2秒、0-200km/h加速を8.9秒で達成できる。最高速度は326km/hだ。

 

 

7速SSGトランスミッションを搭載し、始動時のデフォルトであるコンフォード・モードではなめらかでシームレスかつ素早い変速が可能で、リラックスしながら軽快な加速を実現する。これ以外に、ドライバーがスーパーカー・エクスペリエンスを強化できるドライビング・モードとして、スポーツとトラックの2つがある。

 

スポーツモードはドラマチックな緊迫感を高め、瞬間的なイグニッションカット技術によって、一層速くアグレッシブな変速ができる。トラック・モードはそれをさらに一段階高め、ギアボックスのパフォーマンスを最大化しつつ、シフト間のトルク・ロスを最小限に抑える。どのドライビング・モードでも、ステアリング・ホイールに装着するシフトパドルを使って。マニュアルでのギアチェンジが可能となっている。

 

ブレーキディスクはフロントが390mm、リアが380mmで、すべてカーボン・セラミック製。ブレーキシステムには6ピストンの軽量アルミニウム製キャリパーを備え、驚異的なフィールとパフォーマンスを実現したそうで、100km/hからわずか32mで停止する制動力を誇る。

 

 

荷室容量は実用的な570リッター

 

また、前方の視界も良好で、広々としたガラスのテールゲートやガラス張りのCピラー、大型リア・クォーターウィンドウにより、後方視界も良くなっている。アンダーボディのグランドクリアランスは、車両リフト機能によって110mmから130mmに拡大できる。GTSの車両リフトシステムはGTのシステムから強化され、わずか4秒でノーズを昇降でき、2倍以上のスピードアップを果たした。

 

リアのカーボン・ファイバー製アッパー・ストラクチャーをモノコック・シャシーに組み込む設計によって、パッセンジャー・セルの後方には、利便性の高い広いラゲッジスペースが生まれた。そのカーゴエリアの容量は420リッターで、ノーズにも150リッターの収納スペースが設けられているので、荷室容量は合計570リッターとなり、現在発売されているマクラーレン車の中で最も実用的なスーパーカーになるそうだ。

 

インテリアは、このモデルが誇るパフォーマンス・レベルと洗練されたラグジュアリーな空間を融合したデザインとなっている。インテリアを彩るのは、精密な研磨加工やローレット加工を施したアルミニウム製のスイッチやコントロールで、その中にはステアリング・ホイールのシフトパドルや、グロスブラックのインフォテイメント・スクリーン・サウンド、センター・コンソールのギア・セレクター、エア・ベント、ウインドウ・スイッチなどがある。

 

 

10.25インチのデジタル・インストゥルメント・ディスプレーを装備し、鮮明でシャープなグラフィックによって、車速、ギア、エンジン回転数といったドライビングに不可欠な情報を表示する。また、標準装備のナビゲーションシステムも統合され、ターン・バイ・ターン方式で方向を示す。

 

中央には、7インチの縦型タッチスクリーン式インフォテイメント・システムも搭載。10コア・プロセッサーによってシャープに素早く反応し、スマートフォンスタイルのメニューや入力方法により、操作も簡単となっている。HEREのナビゲーションマップとリアルタイムの交通情報が表示される衛星ナビゲーション、ブルートゥース通話、メディア・ストリーミングに加え、DAB規格のデジタルラジオを標準装備。さらに、12スピーカーで構成されるバウワーズ&ウィルキンスの高級オーディオ・システムを搭載している。

 

エクステリアのカラーパレットも刷新され、マンティス・グリーン、タンザナイト・ブルー、アイス・ホワイトが新たに加わった。また、発表時のカラーであるラヴァ・グレーはGTS専用の新色で、このメタリックカラーには、光をとらえてきらめく赤いラメが配合されていて、他のグレートは一線を画す特徴的な効果を生み出すそうだ。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。